日本大腸肛門病学会雑誌
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51 巻, 6 号
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  • 石川 文彦, 斎藤 典男, 幸田 圭史, 滝口 伸浩, 小田 健司, 早田 浩明, 中島 伸之, 更科 廣實, 布村 正夫, 増田 豁
    1998 年 51 巻 6 号 p. 369-378
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸mp癌における局所再発,遠隔転移の危険因子を検索し治療方針決定の一助とするため,術前治療例を除く44例を臨床病理学的に検討した.根治度A,B43例中局所再発3例,遠隔転移3例,局所再発と肝転移合併1例で,局所再発の危険因子は,リンパ節転移,先進部組織の中,低分化腺癌の存在,リンパ管侵襲(ly2.3),遠隔転移の危険因子は,リンパ節転移,静脈侵襲(V2.3)であった.また下田分類におけるNPG typeは局所再発,遠隔転移をきたしやすい傾向を認めた.リンパ節転移,NPG typeを予後規定因子とし,無因子群,1因'子群,2因子群に分類すると,累積5年生存率は各々100%,87.8%,50.0%であった.無因子群は神経温存手術で十分であるが,1,2因子群では十分なリンパ節郭清を行い,骨盤神経叢温存術の採用には慎重を期すべきであり,とくに2因子群には術前後の補助療法をも考慮する必要があるものと考えられた.
  • 馬場 秀文, 田中 克典, 菅 重尚, 鈴木 文雄, 大高 均, 守谷 孝夫
    1998 年 51 巻 6 号 p. 379-385
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    巨大直腸絨毛癌に対して経肛門的局所切除を施行し,治癒した症例を経験した.症例は57歳,女性で1992年4月8日肛門外腫瘤脱出・嵌頓を主訴として入院した.約12cm大の絨毛腫瘍がみられたが,潰瘍や硬結などの浸潤癌を疑わせる所見はなかった.注腸造影,生検組織診断および腹部CT検査で直腸に限局した絨毛腫瘍と診断し,4月21日経肛門的局所切除術を施行した.腫瘍は12,5×12.5cm,広基性腫瘍で組織学的にはwell differentiated adenocarci-noma in tubulovillous adenoma,深逹度m,また切除断端に癌組織を認めなかったため,治癒切除と判断した.現在術後5年再発もなく,また直腸肛門部の狭窄もみられない,絨毛腫瘍のみが肛門外脱出した症例では腫瘍の大きさにかかわらず表在癌であることが多く,手術侵襲および肛門機能温存という立場からまず局所切除を行い,その後の病理検索で追加手術の有無を考慮する必要があると考える.
  • 与儀 喜邦, 菊池 二郎, 瀬戸口 敏明, 土持 昭男
    1998 年 51 巻 6 号 p. 386-393
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    虫垂重積症の1例を報告する,症例は69歳女性.右下腹部痛を主訴に当院を受診.臍下右側に圧痛を伴う腫瘤を触知した。来院時の腹部超音波検査でmultiple layer signを認め,さらに先進部に一致して腫瘤像が描出され腸重積を疑った.腹部CT検査でリング状の肥厚した腸管壁と石灰化を伴う腫瘤を認め,注腸造影にて横行結腸での腸重積と診断した.第5病日の大腸内視鏡検査時には横行結腸部の重積は解除されており,盲腸部に表面平滑な球状の腫瘤を認めた.同時期の超音波検査で右下腹部にmultiple concentric ring signを呈する腫瘤像と虫垂に一致した嚢胞状エコーが描出された,開腹術にて虫垂重積症と診断し,整復後に虫垂切除術を施行した.病理組織学的検査にて,粘膜内に限局する虫垂原発の腺腫内腺癌と診断された.虫垂癌を合併した虫垂重積症は極めて稀である.術前の検査所見より,腹部超音波検査が本疾患の診断に有用であると考えられた.
  • 前田 耕太郎, 丸田 守人, 内海 俊明, 小森 義之
    1998 年 51 巻 6 号 p. 394-398
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    回腸嚢肛門吻合術後の瘻孔は難治であり,種々の手術的治療が行われているが回腸嚢を切除せざるを得ない症例が多い.著者らは回腸嚢肛門吻合術後の再発性複雑瘻孔に対して,経仙骨的アプローチを付加した手術を施行したので報告する.症例は43歳の男性で,4年4か月前に潰瘍性大腸炎に対して大腸亜全摘術,直腸粘膜抜去,回腸嚢肛門吻合術,回腸瘻造設術を施行された,回腸瘻閉鎖後1年目に肛門周囲膿瘍で発症し,2回の瘻孔の手術を受けたが各々1か月後に再発し保存的に治療されていた.瘻孔は11時の回腸嚢肛門吻合部に内口,肛門周囲の4時方向に2次口があり,挙筋上の回腸嚢後方を約半周迂回する複雑な瘻管を有していた.2次口よりのcoring outと経仙骨的アプローチによる瘻管切除,内口の切除・再縫合,回腸瘻造設を施行し,術後10か月現在再発はない.挙筋上の複雑瘻孔に対する経仙骨的手術は,瘻管を直視下に処置できる有用な術式と考えられた.
  • 前田 壽哉, 大矢 和光, 山田 恭司, 岩崎 光彦
    1998 年 51 巻 6 号 p. 399-402
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌危険群として,子宮体癌・乳癌の既往は重要な因子として知られている.今回われわれは,卵巣悪性腫瘍患者からみた大腸重複癌について臨床病理学的に検討を行った.対象は1975年~1985年に当院産婦人科において手術を施行した卵巣悪性腫瘍195例のうち大腸癌を重複した6例である.6例中4例(66.7%)において卵巣悪性腫瘍の組織型は類内膜腺癌であり,類内膜腺癌22例における大腸癌合併頻度は18.2%と高率であった,大腸癌と子宮内膜癌の重複はLynchsyndromeIIに特徴づけられる用に密接な関係を持つが,子宮内膜癌と類似の組織形態である卵巣の類内膜癌と大腸癌の重複についても性ホルモン依存性の癌としての関係が示唆された.すなわち卵巣悪性腫瘍,とくに類内膜癌の患者においては大腸癌発生の危険群として術前および術後経過観察時における注意深い大腸検査が必要と思われる.
  • 内藤 春彦, 宇根 良衛, 近藤 啓史, 高橋 宏明, 高岡 正実, 有倉 潤, 藤田 昌宏
    1998 年 51 巻 6 号 p. 403-408
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸癌肝転移H3の2例に5-FU持続肝動注を行い,腫瘍縮小を見たため肝切除施行し,Ibの組織学的化学療法効果を認あた.両者とも肝動注開始から2年6カ月,4年5カ月で肝肺転移をきたし死亡したが,残肝再発部位は切除端が1例,それ以外が1例であった.CT画像にて腫瘍陰影が消失した部分にも残肝再発が認められたので,画像上腫瘍が消失しても必ずしもviable cellが消失したことを意味せず,肝切除後のさらなる肝動注化学療法の必要性が示唆された.
    索引用語:大腸癌肝転移,肝動注化学療法,肝切除療法
    大腸癌の肝転移はHlで切除可能であれば必ずしも予後は悪くはない.しかし,H3(両葉に5ケ以上の転移巣を有する)ともなれば,その扱いは難しく,また予後はきわあて悪い.肝転移に対しては肝動注化学療法の効果が良いことは最近では広く受け入れられている.近年,われわれはこのような摘除不能肝転移でも可及的に肝動注を行い,腫瘍摘除をめざす治療方針を取っている,これまで当科で扱った大腸癌肝転移51例中H3は19例であるが,肝動注を施行し,動注後に肝切除を行い得たのは2例である.これらにっき大腸癌研究会の大腸癌取扱規約に沿った臨床病理学的検討を行い,その問題点を検討する.
  • 本馬 周淳, 上原 博, 山田 護, 大城 崇司, 草野 敏臣, 武藤 良弘
    1998 年 51 巻 6 号 p. 409-410
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 河原 秀次郎, 平井 勝也, 青木 照明
    1998 年 51 巻 6 号 p. 411-412
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 51 巻 6 号 p. 413-425
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 51 巻 6 号 p. 426-436
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 51 巻 6 号 p. 437-455
    発行日: 1998年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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