60歳, 男性.膀胱三角, 右尿管口, 精嚢, 直腸Raに浸潤した進行S状結腸癌に対し, neobladder作成と, 結腸一肛門管吻合により, stomaを作成しない広範囲骨盤内臓摘除術 (pelvic exenteration) を施行, 良好な術後QOLを得た.両側内腸骨動脈切除, 側方郭清を伴う超低位前方切除術, および膀胱前立腺切除術において, DSTによる結腸一肛門管吻合を施行, さらに回腸を用いたneobladderを作成し外尿道口に吻合した.多数のドレナージチューブを応用し, 各吻合部の安静を確保した.とくにtube cecostomyと経胃的イレウス管により, 術後14日間, 排便排ガスの抑制が可能であった.さらに骨盤内吻合部の固定, および骨盤死腔炎の防止目的に, 大網を骨盤内に誘導, 固定した.患者は合併症なく, 術後23日目に退院.術後半年時点で尿, 便失禁は認めず, 良好な術後QOLが得られている.適応を選択し, 積極的に考慮されるべき術式と考えられた.
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