稀な横行結腸問膜裂孔ヘルニアを合併し, 内瘻形成で手術適応となった大腸型クローン病の1例を経験した.症例は49歳, 女性で過去8年間, salicylazosulfapyridine (→5-amino-salicylic acid) とエレンタールを用いた栄養療法で加療され, 約1年前に痔痩に対しseton手術を受けた.最近, 下痢が悪化し, 下腹部重苦感と背部痛も出現し, クローン病再燃の診断で入院となった, 注腸造影で小腸の口側寄りと横行結腸問に痩孔を認め, 小腸造影で小腸ループの多くは一塊となり骨盤腔に落ちていた.薬物および栄養療法が奏功せず, 手術を施行した.開腹時, 小腸の大部分は横行結腸問膜に発し骨盤腔に垂れ下がる嚢内に入っており, この部分には病変はなかった.結腸は全長に渡り著明に短縮し, 空腸起始部と横行結腸間に径8mmの瘻孔が存在した.結腸亜全摘, 瘻孔解除および回腸S状結腸端端吻合術を施行した.術後経過は良好で, 下痢も著明に改善した.
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