日本大腸肛門病学会雑誌
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52 巻, 7 号
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  • -自律神経温存術式の適応拡大を目指して-
    樋口 芳樹, 坂口 正高, 釣田 義一郎, 松田 圭二, 佐々木 慎, 正木 忠彦, 武藤 徹一郎
    1999 年 52 巻 7 号 p. 581-590
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    下部進行直腸癌の予後を自律神経温存の程度, 側方郭清の有無, 側方転移の有無から解析した.臨床病理学的検討から, 術前照射により側方リンパ節転移率の低下を含めたDown-stagingが認められた.生存率を以下のごとく検討した. (1) 術前照射の有無 : 照射群が非照射群より有意に良好であった. (2) 側方郭清の有無 : 照射群では側方郭清施行例と非施行例で生存率に差は見られなかったが, 非照射群では側方郭清非施行例が有意に低かった. (3) 側方転移の有無 : 照射群では側方転移陽性例と非陽性例の生存率に差は見られなかったが, 非照射群では側方転移陽性例の生存率が有意に低かった. (4) 神経温存度 : 照射群では神経温存度と生存率に関連は認められなかったが, 非照射群では全温存例の生存率が低い傾向であった.術前照射により下部進行直腸癌の神経温存術の適-応をより安全に拡大できることが示唆された.
  • 柿坂 明俊, 山本 康弘, 河野 透, 小原 啓, 今村 恵美
    1999 年 52 巻 7 号 p. 591-595
    発行日: 1999年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    生体内分解性消化管吻合リング (biofragmentable anastomosis ring : BAR) における吻合部の治癒機転および縫合不全発生の病態を明らかにするため, 腸切除後の吻合にBARを用いた雑種成犬を使用し, 肉眼的および組織学的に検討した.BARによる吻合では, 内翻状態で固定され, 漿膜側の接している部分において吻合後3日目には組織学的にも癒合が始まっており, 創傷治癒することを認めた.これに対して, BARのリングからはみだす組織が多すぎると, 壊死をきたし, 縫合不全が発生しやすくなるものと考えられた.以上よりBARを用いることは操作が容易で, 短時間で行えるものの, 治癒機転を充分に理解したうえで使用することで, 縫合不全を回避できることが示唆された.
  • 丸山 常彦, 足立 信也, 野末 睦, 轟 健, 深尾 立
    1999 年 52 巻 7 号 p. 596-600
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    腹膜播種性転移による直腸狭窄に対して, 従来は人工肛門造設術が施行されてきた.著者らは患者のQOLを考慮し人工肛門を造設せずに, 狭窄部に対して自己拡張型金属ステントを使用する試みを3症例に施行したので報告する.症例1は45歳, 女性.胃癌再発.症例2は55歳, 女性.卵巣癌再発.症例3は42歳, 女性.膀胱尿管癌再発.自己拡張型金属ステントを透視下に挿入し, 3症例とも腸閉塞症状のすみやかな軽快を認め, 経口摂取が可能となった.1例は退院, 1例は外泊可能となった.直腸金属ステントの適応は狭窄が直腸に限局していて, かつ, 外科的根治手術が不可能な場合と考えている.
  • 井上 靖浩, 大井 正貴, 竹内 謙二, 本泉 誠, 福西 茂二
    1999 年 52 巻 7 号 p. 601-604
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    症例は78歳, 女性.47歳時, 子宮頚癌にて放射線照射を受け, 照射約10年後より現在まで約20年間にわたり, 膣からの排便を認めた.最近になり程度が増強したため当科を受診, 肛門縁から約3cmの直腸前壁に, 後膣円蓋へ交通する小指大の瘻孔を認め, 放射線障害による直腸膣瘻と診断した.高齢であり, 患者の希望もあって, 人工肛門造設や低位前方切除術は行わず, 薄筋弁を用いて会陰部から直腸膣瘻修復術を施行し, 治癒せしめることができた.
  • 山本 聖一郎, 固武 健二郎, 安藤 二郎, 五十嵐 誠治, 築山 巌, 小山 靖夫
    1999 年 52 巻 7 号 p. 605-612
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    転移性膣癌で女性器以外を原発とする腫瘍では大腸癌の頻度が最も高い.著者らは大腸癌の膣壁転移を3例経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.膣への転移形式は3例のうち2例は脈管性であった.膣への同時性の孤立性転移を認めた直腸癌症例では原発巣切除, 膣転移巣切除により術後2年10ヵ月無再発生存中である.肝転移, 嵐径リンパ節転移を伴った直腸癌症例では原発巣切除後に膣転移に対して放射線療法を施行し転移巣は消失したが, 術後2年5ヵ月で癌死した.他方, 盲腸癌の術後6ヵ月に腹膜播種性の膣転移をきたした症例では, 肝, 肺, 腹壁にも転移を認め, 術後7ヵ月で癌死した.大腸癌の膣転移例の予後は概して不良であるが, 局所や遠隔転移が制御された症例では膣転移巣の積極的な切除により良好な予後が期待できる.また外照射や腔内照射, 組織内照射などの放射線療法は非切除症例や切除症例における補助療法として有効であると考えられる.
  • 今村 幹雄, 岩本 一亜, 國井 康男, 山内 英生
    1999 年 52 巻 7 号 p. 613-618
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    稀な横行結腸問膜裂孔ヘルニアを合併し, 内瘻形成で手術適応となった大腸型クローン病の1例を経験した.症例は49歳, 女性で過去8年間, salicylazosulfapyridine (→5-amino-salicylic acid) とエレンタールを用いた栄養療法で加療され, 約1年前に痔痩に対しseton手術を受けた.最近, 下痢が悪化し, 下腹部重苦感と背部痛も出現し, クローン病再燃の診断で入院となった, 注腸造影で小腸の口側寄りと横行結腸問に痩孔を認め, 小腸造影で小腸ループの多くは一塊となり骨盤腔に落ちていた.薬物および栄養療法が奏功せず, 手術を施行した.開腹時, 小腸の大部分は横行結腸問膜に発し骨盤腔に垂れ下がる嚢内に入っており, この部分には病変はなかった.結腸は全長に渡り著明に短縮し, 空腸起始部と横行結腸間に径8mmの瘻孔が存在した.結腸亜全摘, 瘻孔解除および回腸S状結腸端端吻合術を施行した.術後経過は良好で, 下痢も著明に改善した.
  • -本邦報告例の検討-
    小棚木 均, 斎藤 由理, 今 博, 高橋 智和, 村越 智, 伊藤 正直
    1999 年 52 巻 7 号 p. 619-624
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    びまん浸潤型大腸癌における癌の腸管浸潤範囲に応じた診断, 治療上の特徴や問題点を明らかにするため, 自験4例を含む本邦報告239例を対象に, 腸管浸潤の長さが10cm未満, 10~20cm, 20cm以上の3群につき, その割合や臨床病理学的因子, 術前正診率, 治療成績を比較検討した.その結果, 10cm未満の例が約半数を占め, 20cm以上の例は13%に過ぎない.癌の腸管浸潤範囲が長くなるにつれて, 1) 左側結腸を占居する低分化型腺癌が有意に増加する.2) 術前正診率は向上するが依然50%程度であり, 生検で癌と証明される率が低下する.それに伴って炎症性腸疾患と診断される率が増加する.3) 根治切除率が有意に低下し, 20cm以上での根治切除率は10%に過ぎない.そして根治切除が行われても予後はきわめて不良である等が明らかになった.今後, 腸管浸潤範囲を考慮したびまん浸潤型大腸癌の分子生物学的性状の解析と治療法の確立が望まれた.
  • -大腸癌術前検査にBarium enemaは必要か-
    黒崎 哲也, 稲田 省三, 山崎 洋次
    1999 年 52 巻 7 号 p. 625-627
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 前田 耕太郎, 丸田 守人, 内海 俊明, 滝沢 建次郎, 升森 宏次, 小出 欣和, 松本 昌久, 青山 浩幸, 千田 憲一, 石原 簾, ...
    1999 年 52 巻 7 号 p. 628-629
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 52 巻 7 号 p. 630-668
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
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