Rectoceleの病態を直腸肛門内圧から検討した結果,安静時,収縮時の直腸肛門内圧からは,安静時肛門管内圧,肛門管長,収縮時肛門管長の高値など肛門排出抵抗の増大が認められたが,直腸肛門反射,直腸壁感受性,直腸貯留能には異常を認めなかった.怒責時の直腸肛門内圧では,肛門管内圧は高く,怒責時肛門管内圧腹圧較差(anismus index:AI)が正であり,paradoxical sphincter contraction(PSC)を認め,負の対照例とは明瞭に判別された.怒責時,安静時,収縮時の肛門管内圧の関係からみた便排出能(evacuation grade:EG)は,rectoceleでは排出困難の高度な例が多く,AIとは正の相関を認め,便排出困難の原因はPSCに伴うpelvic outlet obstructionによると考えられた.恥骨直腸筋の前方縫縮を加えた直腸前壁補強はrectoceleの直腸前壁膣腔内膨隆を改善し,AI,PSC,EGも改善され,有効な方法と考えられた.
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