日本大腸肛門病学会雑誌
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53 巻, 5 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 緒方 裕, 森 眞二郎, 赤木 由人, 亀井 英樹, 徳原 宏治, 宮城 佳昭, 金澤 昌満, 野副 安宏, 尾田 仁, 犬塚 清久, 早渕 ...
    2000 年 53 巻 5 号 p. 257-262
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    遠隔転移を伴わないA1以深の下部直腸癌19例を対象とし,直腸癌に対する術前照射効果例選別の可能性について照射開始早期のアポトーシス誘導能およびp53,p21の免疫組織化学的発現状況より検討した.アポトーシス細胞は照射開始後早期に増加し,照射開始後1週のAIが10以上(AI高値)は10例,10未満(AI低値)は9例であった.AI高値例の腫瘍縮小率は58.2±6.8%とAI低値例の39.5±12,0%に比べ有意に高率であった.またAI高値例の奏効率は100%と低値例の22%に比べ有意に高率であった.術前の生検組織におけるp53陽性は11例(57.9%),p21陽性は6例(31.6%)であった.p53陰性例の腫瘍縮小率は58.4±11.5%と陽性例の42.7±10.9%に比べ有意に高率であった.さらにp53(一)かつp21(+)症例では,腫瘍縮小率は64.5±6.6%と高値を示した.AI高値例は低値例に比べ有意に組織学的照射効果gradelb以上の症例が多かった.各パラメーターのgradelb以上の効果例予知能を算定すると,AI高値は,sensitivity90%,specificity89%,accuracy89%,positive predictive value90%といずれも高値を示した.一方,p53発現陰性やp21発現陽性,あるいはそのコンビネイションのsensitivityはそれぞれ60%,40%,30%と低値を示した.以上より,照射開始後早期の生検組織のアポトーシス誘導能を用い直腸癌の放射線効果例を選別できる可能性が示唆された.
  • 神山 剛一
    2000 年 53 巻 5 号 p. 263-268
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    特殊な便器や造影剤を必要としない簡易式の直腸造影を考案し,従来の排泄性直腸造影法と比較した.本法は側臥位にてバルーンカテーテルを用いて直腸内にバリウム液を注入し,安静時,肛門管収縮時,怒責時とレントゲン撮影を行うものである.安静時と怒責時の直腸肛門角は従来法と比較して有意に鋭角であったが(安静時;p<0.0001,怒責時;p<0.01),収縮時はほぼ同様な値を示した.また骨盤底位置は安静時,収縮時,怒責時の全ての体勢で簡易式に比べ従来法の値が高値を示した(p<0.0001).しかしながら両者の測定値はそれぞれの体勢において有意に相関した.重力などの影響で直腸の形態が変わるため両検査で得られる値は大きく異なるもののそれぞれは相関したことより,骨盤底の解剖学的計測については簡易式直腸造影は排泄性直腸造影と同等の意義があると思われた。
  • 丸山 亮, 中野 眼一, 野口 剛, 内田 雄三
    2000 年 53 巻 5 号 p. 269-272
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    診断に苦慮した肺結核合併,結核性肛門潰瘍の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.主訴は肛門痛,肛門の4時を中心に,口側縁が歯状線に達する潰瘍を認めたが,軟膏および緩下剤を用いた保存的治療に抵抗性であった.本症例では,潰瘍からの浸出液を認めなかったため,塗抹検査,培養は施行できず,さらに局所麻酔下の生検からも確定診断を得ることができなかった.最終的には腰椎麻酔下に病変部を大きく切除することにより,病理組織学的に結核性肛門潰瘍の診断が得られ,抗結核剤の内服にて潰瘍は治癒した.さらに術後3ヵ月目に,喀痰培養から肺結核の診断が得られ,肛門への感染経路として,肺病変からの結核菌を含む喀痰の嚥下による感染,血行性感染などが考えられた.難治性肛門潰瘍の診断に際しては,本疾患を鑑別疾患にあげることは無論のこと,本疾患が疑われた場合には,肺病変の合併に留意せねばならない.
  • 宮本 礼子, 遠藤 俊吾, 加藤 博之, 吉松 和彦, 橋本 雅彦, 小林 敏, 小川 健治, 芳賀 駿介, 梶原 哲郎
    2000 年 53 巻 5 号 p. 273-276
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    虫垂粘液嚢腫は決してまれな疾患ではないが,その重積例の報告は少ない.今回,われわれは便潜血陽性を契機に無症状で発見された虫垂粘液嚢腫の盲腸への重積例を経験したので報告する.症例は45歳,女性.検診で便潜血陽性を指摘され,当科を受診した.大腸内視鏡検査にて,盲腸の粘膜下腫瘍様の隆起を認め,腹部CT検査,超音波検査で回盲部に嚢胞状腫瘤が描出された.さらにMRI検査では,ムチンと考えられる内容物で充満した虫垂の粘液嚢腫が盲腸へ重積する像を認めた.以上より虫垂粘液嚢腫と診断し,周囲のリンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.切除標本は虫垂根部が嚢胞状に腫大し,その内容はムチンで,病理組織学的にはMucinous cyst adenomaであった.
  • 福永 亮朗, 高橋 基夫, 鈴木 康弘, 狭間 一明, 吉田 直文, 川上 敏晃, 加藤 紘之, 藤田 美悧
    2000 年 53 巻 5 号 p. 277-281
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は86歳女性.下血を主訴に当科を受診.CFにて結腸脾弯曲近傍に長さ約24cmの巨大な有茎性ポリープを認めた.内視鏡的にはポリープは全体に正常粘膜で覆われていた.手術適応として当科に転科し,open polypectomyを施行した.切除標本は組織学的には粘膜上皮,粘膜筋板は正常で,粘膜下層にリンパ管と静脈の拡張を伴う浮腫状の結合組織で構成されておりCMSEP(Colonic muco-submucosal elongated polyp)に相当する病変と考えられた.外科的に切除し,合併症,再発なく現在経過観察中である.
  • 山田 治樹, 江口 英雄, 藤井 秀樹, 安留 道也, 飯野 弥, 松本 由朗
    2000 年 53 巻 5 号 p. 282-285
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は58歳の女性.健診で便潜血反応陽性を指摘された.大腸内視鏡検査で,S状結腸に15×10×8mmの表面発赤調の有茎性ポリープが認められた.鉗子生検材料で腺管絨毛腺腫と診断されたため,内視鏡的ポリペクトミーを勧めたが,患者の家庭の事情により経過観察となった.9か月後には病変は亜有茎性の腫瘤へ,その3か月後には無茎性の隆起性病変へと変化し,SM'癌の診断にて腹腔鏡補助下にS状結腸切除術を施行した.病理組織学的には,腫瘍の一部に腺腫成分を認める中分化腺癌で,深達度はmpであった.大腸腫瘍の自然史を考えるうえで,prospectiveに腫瘍の形態変化を観察できた貴重な症例であり,その経過を報告する.
  • 外山 裕二, 角田 仁, 馬場 広, 江藤 公則, 長田 康彦, 廣国 敏昭, 黒木 政純, 日高 久光
    2000 年 53 巻 5 号 p. 286-289
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    直腸脱の男女差を患者背景と肛門機能の面から検討した.発症年齢は,男性平均34.8歳,女性平均72.9歳と,若年男性,高齢女性の傾向が顕著だった.女性の直腸脱では健常者に比べて若年から最大随意圧の低下が見られたのに対し,男性の直腸脱では加齢による最大随意圧の変化はみられなかった.この最大随意圧の低下は外括約筋力の低下をしめすものであり,主に出産やいきみの習慣などからきた陰部神経の神経原性変化によるものと考えられる.以上のことから,男性では生来の形態的あるいは機能的異常が直腸脱の要因となっており,女性では出産,いきみの習慣などの後天的要素が直腸脱の要因となっていると推測している.
  • 渡邊 正志, 森 環樹, 大城 充, 窪田 覚, 鳥越 義房, 辻田 和紀, 寺本 龍生, 小林 一雄
    2000 年 53 巻 5 号 p. 290-293
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 53 巻 5 号 p. 294-325
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 53 巻 5 号 p. 326-338
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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