日本大腸肛門病学会雑誌
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53 巻, 6 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 古代より江戸時代末期まで
    衣笠 昭
    2000 年 53 巻 6 号 p. 339-347
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    わが国における古来よりの肛門疾患の治療の変遷を文献を中心に検索し,その方法を現在の治療と比較し解釈した.とくに江戸時代に名声を挙げた本間棗軒の手術術式を詳述し,以後平成11年までの治療の発展につき述べた.
  • 藤川 亨, 高尾 良彦, 穴沢 貞夫, 山崎 洋次
    2000 年 53 巻 6 号 p. 348-352
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    目的:postanal repairによる便失禁改善の機序を明らかにするために,手術前後の肛門機能変化を検討した.対象および方法:postanal repairを施行した10例の非特異性便失禁患者で,incontinence score(以下IS)および直腸肛門内圧の術前と術後3カ月の変化を検討した.結果:ISは術前13±5から術後8±5へと改善が認められた(p<0.01).肛門管最大静止圧は,術前30±13cmH2Oから術後39±13cmH2Oに改善し(p<0.05),肛門管最大随意収縮圧は術前67±40cmH2Oから術後109±90cmH2Oに上昇した(p<0.01).機能的肛門管長は術前3.2±0.4cmであったが,術後は3.6±0.4cmと延長した(p<0.05).しかし,最大耐用量や感覚閾値の改善は認めなかった.結語:postanal repairによる便失禁の改善は,主に肛門管内圧の上昇によるものと考えられる.
  • 富田 凉一, 池田 太郎, 朴 英智, 君塚 圭, 藤崎 滋, 五十嵐 誠悟, 萩原 紀嗣, 柴田 昌彦, 福澤 正洋
    2000 年 53 巻 6 号 p. 353-357
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    75歳以上高齢者直腸脱5例(全例女性,75-82歳,平均77.4歳)の術前とDelorme変法(恥骨直腸筋と外肛門括約筋の縫縮を付加)術後1年目に直腸肛門内圧検査を行い,対照11例(全例女性,61-76歳,平均68.9歳)と比較検討した.対象は全例が経産婦で,慢性便秘による排便時怒責とsoilingを伴っていた.術後soilingについては,消失が2例,軽快が3例であった.検査成績は,術前の括約筋能(肛門管長,最大肛門管静止圧,最大肛門管随意収縮圧),直腸知覚能(最小知覚量,最小耐容量),直腸貯留能(最大耐容量,コンプライアンス)は対照より有意に低下し(それぞれ,p値は0.05未満),術後では,括約筋能には変化なく,直腸知覚・貯留能が正常値に復した.soilingを伴う高齢者直腸脱には,直腸肛門機能不全が存在し,術後soilingの改善は,直腸壁縫縮による直腸知覚・貯留能の回復と恥骨直腸筋縫縮が関与したと考えられた.
  • 大仁田 賢, 磯本 一, 水田 陽平, 山崎 和文, 伊津野 稔, 原口 増穂, 鬼塚 康徳, 竹島 史直, 村田 育夫, 河野 茂
    2000 年 53 巻 6 号 p. 358-363
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸浸潤をきたした成人T細胞性白血病(ATL)の5症例を経験した.男性4例,女性1例で,平均58歳であった.病型は急性型が3例,リンパ腫型が2例であった.大腸浸潤の画像所見は,多発隆起性病変が4例,びまん浸潤型が1例であった.いずれも胃や小腸への浸潤も合併しており,4か月から1年9か月後に死亡した.自験5例を含む本邦報告31例の臨床的検討でも,大腸浸潤は多発する隆起性病変が18例,多発性潰瘍・びらんが5例と病変が多発するものが大半を占め,びまん浸潤型は6例のみであった.96%に胃や小腸への浸潤をきたしており,予後は平均7か月と不良であった.消化管の検索はATLの病態把握に有用と思われた.
  • 今村 幹雄, 高橋 広喜, 國井 康男, 山内 英生, 中嶋 正彦
    2000 年 53 巻 6 号 p. 364-369
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    クローン病と精神疾患の合併について欧米では以前から指摘され,機序については,近年,精神神経免疫学的観点からの説明が試みられているが,未だ明らかでない.当科でも精神疾患を合併したクローン病症例3例を経験した.2例は精神疾患先行で,1例はクローン病の経過中に発症した.症例1は38歳,男性,小腸大腸型クローン病.19歳時,幻聴,妄想,てんかん発作などが出現し,脳萎縮を有する器質性精神障害と診断された.21歳時,下痢でクローン病が発症し,3回の手術歴がある.症例2は32歳,男性,直腸肛門クローン病.19歳時,幻聴,妄想が出現し,精神分裂病と診断された.29歳時,発熱,肛門部出血などでクローン病が発症し,肛門周囲膿瘍の切開排膿を数回受ける.症例3は32歳,女性,小腸大腸型クローン病.17歳時,下痢でクローン病が発症し,回腸狭窄と痔瘻に対する手術歴あり.32歳時,精神的ストレス状況下で反応性神経症が発症す.
  • 梅木 雅彦, 栗栖 茂, 小山 隆司, 高塚 二郎, 高橋 晃, 芦谷 博史, 柴田 正樹, 佐野 暢哉, 高田 育明
    2000 年 53 巻 6 号 p. 370-374
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    尿管溢流による腹痛で発症,lymphangiosis carcinomatosaを呈し,内腔の病変は粘膜下層の高度なリンパ管侵襲によるIs型隆起を示した粘膜病変6mmの直腸癌の1例を報告する.症例は55歳男性.右側腹部痛で来院.精査の結果,右尿管溢流の診断を得た,注腸造影でRsの不整狭窄を認めた.大腸内視鏡検査でRsに径10mmのIs型隆起病変を認め,EMRを施行したところ,粘膜病変6mmの中分化腺癌で,粘膜下層への高度のリンパ管侵襲を伴っていた.びまん浸潤型直腸癌の診断で手術施行,手術所見で,RsからRbの直腸壁の硬化が著明で,右尿管周囲リンパ節,腹部大動脈周囲リンパ節まで転移を認めた,化学療法,放射線療法も行ったが,術後11カ月再発死亡した.本症例は約6mmの微小な粘膜病変がリンパ管侵襲をきたし,sm内のリンパ管に転移することによりIs型の隆起を,もたらした.リンパ管侵襲が漿膜下のリンパ管内まで進展することにより直腸壁の肥厚・硬化をもたらし,さらに右尿管周囲のリンパ節転移によって尿管狭窄から尿管溢流で発症したものであった.
  • 安井 昌義, 柳生 俊夫, 岸渕 正典
    2000 年 53 巻 6 号 p. 375-379
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/12/03
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,女性.主訴は下腹部痛と便秘.注腸検査でS状結腸に狭窄像を,大腸内視鏡検査ではS状結腸に2/3周性の2型病変を認め,またCTにて肝の両葉に計3個のそれぞれ径2cmの転移性腫瘍を認めた.本症例の術前の血中α-fetoprotein値は1612ng/mlと高値を示していたが,S状結腸切除術・肝部分切除術を施行後,血中のα-fetoprotein値は急速に低下した.摘出標本の病理組織診断は中分化型腺癌ss,ly3,v2,n2,H2,stageIVで,AFP免疫組織染色により原発巣にAFP陽性の大腸癌細胞を証明しえた.大腸癌で高AFP血症を示した症例はきわめて稀であり,本邦報告は本症例を含め32例のみであった.肝転移例が多く,予後は不良であると考えられた.
  • 万井 真理子, 吉川 宣輝, 西庄 勇, 三嶋 秀行
    2000 年 53 巻 6 号 p. 380-385
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    当科で経験した大腸癌手術症例2,875例中,多発癌は307例(10.7%)であったが,粘膜内癌を除くと多発癌は133例(4.6%)と半減した.術後10年以上で診断されることもあるが,約7割は術後1年,約9割は術後5年以内に診断された.多発癌は癌家族歴陽性症例や大腸癌家族歴陽性症例が多く,また右側結腸に多かった.同時性第2癌は第1癌の近傍に多かったが,異時性第2癌は全大腸に分布した.同時性では進行癌と早期癌の組み合わせが多く,異時性では進行癌と進行癌が多かった.5年生存率は単発癌より良好であった.以上より,多発癌は稀ではなく,発生には遺伝的因子の関与が考えられた.同時性第2癌は近傍に多く,異時性第2癌は進行癌で術後5年以内に診断されることが多く,また長期の予後がえられることから,術前や術後早期に多発癌を考慮した全大腸の注意深い検索が重要と思われた.
  • 篠原 一彦, 橋本 大定, 星野 高伸
    2000 年 53 巻 6 号 p. 386-387
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 53 巻 6 号 p. 388-397
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2000 年 53 巻 6 号 p. 398-423
    発行日: 2000年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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