日本大腸肛門病学会雑誌
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54 巻, 4 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 阿部 裕, 板橋 道朗, 城谷 典保, 亀岡 信悟
    2001 年 54 巻 4 号 p. 239-246
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    Hand-assisted laparoscopic surgery(以下HALS)が及ぼす生体侵襲を種々のパラメーターから測定し,従来手術法と比較し患者が受ける臨床効果について評価を行った.対象は大腸癌手術症例28例とし,HALS群15例,開腹手術群13例について手術時間,出血量,創の長さ,排ガスまでの日数,術前後のWBC値・CRP値・IL-6値,鎮痛剤の使用頻度,合併症および加速度センサーを用いた総括的身体活動量についてprospectiveに比較検討を行った.HALS群は出血量,術後排ガスまでの日数,術後24時間でのIL-6値,術後の鎮痛剤の使用回数において有意差を認めた(p<0.05).加速度センサーを用いた身体活動量測定による術後活動量の回復度もHALS群は有意に良好であり,術前の活動量の90%まで回復する日数も短かった(p<0.0001).HALSは従来の開腹手術と比較し低侵襲であった.HALSを用いることでより良い臨床効果を得られる可能性が示唆された.
  • 正木 ルナ, 前田 壽哉, 大越 修, 山田 恭司, 曽根 辰巳, 山口 晋, 高桑 俊文
    2001 年 54 巻 4 号 p. 247-252
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は63歳女性.1997年5月中旬より39度台の発熱が続き,6月17日不明熱精査目的で入院.6月23日突然の下腹部痛出現.CTにて腹腔内遊離ガスを認めたため,穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術を施行した.開腹所見では,小腸全域の漿膜に白色調変化および硬結を散在性に認めた.回腸末端より約lm口側の回腸に約2mmの穿孔と,さらに約10cm口側回腸に近位小腸への穿通を認めたため,両病変を含めて小腸部分切除を施行した.切除標本では多発潰瘍と穿孔を認め,病理組織学的所見よりnon-Hodgkin Lym-phoma(diffuse pleomorphic,T-cell type)と診断した.小腸原発T細胞性悪性リンパ腫の本邦報告例は,検:索範囲内では自験例を含めて21例と極めて少ない.今回我々は小腸原発T細胞性悪性リンパ腫の穿孔例を経験したので,自験例を含めた本邦報告例の比較検討と併せて,若干の文献的考察を加え報告する
  • 松浦 隆志, 徳光 陽一郎, 橋口 一利
    2001 年 54 巻 4 号 p. 253-257
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    出血性放射線性腸炎は,難治性で有効な治療法がなく,様々な薬物療法やヒータープローブ法などの内視鏡治療が試みられているが,まだ確立されたものはない.我々は血便と著明な貧血を主訴とし,大腸内視鏡検査にて直腸からS状結腸に広範に毛細血管の拡張と著明な出血を認めた難治性出血性放射線性腸炎4例に対し内視鏡下にホルマリン散布を行ない良好な治療効果を得た.年齢は66歳から87歳平均76歳.性差はなく,原疾患としては前立腺癌2例,膀胱癌1例,膣癌1例で,放射線照射線量は60から70Gy,照射から治療までの期間は8カ月から5年であった.散布したホルマリン濃度は2.5%から5%で量は5~65ml,平均17.5mlで全例に良好な止血効果を得た.1例は止血までに3回の散布を要したが,その他の3例は1回のみの散布であった.副作用は散布時の著明な疼痛を2例(50%)に認めたが重篤な合併症は見られなかった.
  • 富永 修盛, 福崎 孝幸, 立石 秀郎, 大澤 政彦
    2001 年 54 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    患者は75歳,男性.下腹部痛を契機として来院された.注腸検査にて,S状結腸に最大径5cmの腫瘤を3個認めた.大腸内視鏡検査で,S状結腸に易出血性,赤色腫瘤を認めた.生検では腺腫であり良性腫瘍と考えられたが,腫瘍径が大きいためS状結腸切除を施行した.肉眼的にS状結腸粘膜面に3分葉からなる腫瘤を認め,それぞれは直径1.5cmの亜有茎隆起で表面にびらんを伴っていた.病理組織学的には,大腸の粘膜下層から粘膜にかけて大小種々の腔からなる血管の増生を認め,大腸血管腫と診断された.
  • 橋本 可成, 裏川 公章, 小野山 裕彦, 安積 靖友
    2001 年 54 巻 4 号 p. 263-266
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    皮膚筋炎に合併する悪性腫瘍としては比較的稀な舌癌と直腸癌の異時性重複癌の1例を経験した.症例は66歳男性で,55歳時に舌癌で手術され,58歳でヘリオトロープ皮疹などから皮膚筋炎と診断されステロイドが投与された.その後66歳時に便潜血反応陽性から直腸癌と診断され,低位前方切除術と肝部分切除が行われた.大腸癌取り扱い規約上はRa,2型,2.2×1.5cm,SS,H1,P0,N0,M0,Stage IVで,病理組織学的には高分化腺癌,ss,ly3,v1,n0,h1であった.術後2年で肺線維症に肺炎を併発し死亡した.皮膚筋炎に合併する悪性腫瘍では胃癌が多いが,自験例のようにに異時性重複癌の合併もみられることから厳重な経過観察が必要である.
  • 青山 浩幸, 丸田 守人, 前田 耕太郎, 内海 俊明, 佐藤 美信, 滝沢 健次郎, 犬飼 健太郎, 加藤 良一
    2001 年 54 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    仙尾部奇形腫は新生児期に発見され手術されることが多く,成人例は稀である.われわれは手術体位や到達法の選択において,嚢胞造影併用ヘリカルCTの多断面再構成像(MPR)及び三次元像(3D)が有用であった成人仙尾部成熟型奇形腫の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性で,殿部の圧迫感を主訴に受診した.注腸,MRIなどの検査所見により仙尾部嚢胞性腫瘍と診断した.術前施行した嚢胞造影併用ヘリカルCTのMPRにて任意の断面にて腫瘍及び周囲臓器を観察,3Dにて仙尾骨及び骨盤との関係をシュミレーションし,体位,到達法を決定した.体位はjack-knife位とし経仙骨的に腫瘍及び尾骨と第5仙椎を摘出したが,容易に,確実に手術が訂能であった.患者は術後,排便排尿機能障害を呈することもなく良好に経過した.
  • 渡辺 敏, 早田 浩明
    2001 年 54 巻 4 号 p. 273-276
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    局所再発進展を有する直腸癌の25死亡例について, 死への過程と各種緩和医療的対処の状況を検討した. 〈結果〉 (1) 死因. 12例が骨盤腔内の再発巣に関連した(骨盤腔内の感染に起因 : 9例, 癌浸潤消化管からの出血死 : 3例). 残る13例の死因は骨盤腔以外に存在した. (2) モルヒネ使用状況について. 個々の投与最高量は0~1,800mg/日 (中央値 : 310mg) であった. (3) 他の鎮痛補助剤の使用状況について. 12例にステロイド剤が, 6例に塩酸ケタミンが, 4例にリドカインが併用された. 〈考案〉 多くの症例は, モルヒネ単独でその疼痛の制御が可能であったが, 他補助剤が必要とされることも多かった. 死因の半数は, 再発癌巣に関連した感染や出血など骨盤腔に起因したものであった. 〈まとめ〉 本病態下でのQOLの改善には, 鎮痛, および局所感染症に対する努力が必要である.
  • 岩垂 純一, 山名 哲郎, 高橋 知子
    2001 年 54 巻 4 号 p. 277-279
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 54 巻 4 号 p. 280
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 54 巻 4 号 p. 281-315
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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