痔核は出血,血栓形成で発症し,痔核手術後にも突然多量の出血を時に来す。その原因について,Goligher分類3~4度の3ヵ所の痔核切除組織(13人)と,直腸切断術を行った患者の痔核部位(12人,コントロール群)を比較検討しその意義について推察した.切除痔核では,コントロール群に比較して動脈数では同数であるものの,径は2倍(p<0.Ol)の大きさを示した.静脈は,コントロール群の2倍の数が,径では,各部位で3~5倍の大きさ(p<0.01)を示し,形も星状不正を,内膜面も凹凸不整を示した.静脈血管内には血栓形成を認め,血栓も血管壁より剥離遊離していた.移行上皮,粘膜内に多数の拡張血管を認め,粘膜筋板を貫く血管に続き,粘膜下で動脈と吻合している静脈洞に移行していた.以上からみて,痔核出血は,粘膜内の拡張血管が損傷を受けることにより,動静脈吻合部を介して,粘膜筋板を貫く血管を逆流し動脈性の出血を来し,血栓による止血凝固機構は容易に破綻することにより再出血する可能性が示唆された.
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