日本大腸肛門病学会雑誌
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54 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 宇都宮 高賢, 黒川 彰夫, 菊田 信一, 川野 豊一, 八尾 隆史
    2001 年 54 巻 7 号 p. 471-477
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    痔核は出血,血栓形成で発症し,痔核手術後にも突然多量の出血を時に来す。その原因について,Goligher分類3~4度の3ヵ所の痔核切除組織(13人)と,直腸切断術を行った患者の痔核部位(12人,コントロール群)を比較検討しその意義について推察した.切除痔核では,コントロール群に比較して動脈数では同数であるものの,径は2倍(p<0.Ol)の大きさを示した.静脈は,コントロール群の2倍の数が,径では,各部位で3~5倍の大きさ(p<0.01)を示し,形も星状不正を,内膜面も凹凸不整を示した.静脈血管内には血栓形成を認め,血栓も血管壁より剥離遊離していた.移行上皮,粘膜内に多数の拡張血管を認め,粘膜筋板を貫く血管に続き,粘膜下で動脈と吻合している静脈洞に移行していた.以上からみて,痔核出血は,粘膜内の拡張血管が損傷を受けることにより,動静脈吻合部を介して,粘膜筋板を貫く血管を逆流し動脈性の出血を来し,血栓による止血凝固機構は容易に破綻することにより再出血する可能性が示唆された.
  • 亀井 秀策, 渡邊 昌彦, 長谷川 博俊, 向井 万起男, 北島 政樹
    2001 年 54 巻 7 号 p. 478-482
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性.既往に子宮内膜症があり偽閉経療法をうけていたが,41歳時に排卵誘発剤の使用時に腹痛を認め近医にて腸閉塞と診断された.保存的に加療されたが,月経終了とともに症状は軽快した.42歳時に月経開始と同時に再び同所見を認め,当院に紹介受診となった.上下部消化管を精査したが異常を認めず,腹部MRIにて両側の卵巣〓腫を認めた.月経時に腸閉塞が発症したことより小腸の異所性子宮内膜症を疑い小腸造影にて終末回腸に狭窄を認め,回腸子宮内膜症と診断した.外科的治療の適応と考え腹腔鏡併用回盲部切除術および腹腔鏡下右卵巣摘出術を施行した.病理組織学的には回腸筋層内に子宮内膜組織の増生を認め,腸管子宮内膜症と診断した.腸管子宮内膜症は比較的稀だが,月経随伴性の腹痛をみた際に本疾患を疑うことが重要と考えられた.また腹腔鏡下手術は腹腔内の観察および術後のQOL向上に有効であり,今後さらに適応が広がると思われた.
  • 緒林 誠, 清水 紀子, 高野 保名, 西森 武雄, 天野 良亮, 西上 隆之, 松本 誉之, 荒川 哲男
    2001 年 54 巻 7 号 p. 483-488
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.主訴は腹部膨満感,腹痛,便秘.腹部単純CT検査で下行結腸下部の腫瘤様陰影と口側腸管の拡張を認め,大腸内視鏡検査ではS状結腸下行結腸移行部のすぐ口側に全周性の腫瘍を認め下行結腸癌によるイレウスと診断した.イレウスチューブの経肛門的挿入を試みたが不可であったため,経鼻的にイレウスチューブを小腸まで挿入留置した.翌日腹痛が激しくなり,腹部単純X線検査でfreeairがみられたため緊急に開腹術施行.開腹すると盲腸から上行結腸中部までが黒色で著明に拡張し,盲腸に2カ所穿孔を認めた.回盲部切除を施行し切除断端を人工肛門とした.病理組織検査で広範な粘膜下出血と壊死を認めたが,異型細胞はみられなかった.以上より本病変は閉塞性大腸炎によるものと診断した.本症は大腸癌イレウスの約7%にみられるが,広範な粘膜下出血,壊死や穿孔を合併した症例はまれであるためここに報告した.
  • 松本 昌久, 丸田 守人, 前田 耕太郎, 内海 俊明, 佐藤 美信, 滝沢 健次郎, 升森 宏次, 松岡 宏
    2001 年 54 巻 7 号 p. 489-492
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    骨盤内への放射線治療は,しばしば放射線腸炎を引き起こし,時に難治的な下血により大量の輸血を必要とする場合がある.著者らは,放射線直腸炎の晩期障害に対し,サラゾピリン,ステロイド投与などの保存的治療に抵抗し,下血を繰り返し大量の輸血を要した患者に,エカベトの注腸投与を行い炎症の改善を得た症例を経験したので報告する.症例は,66歳の男性で,膀胱腫瘍に対し,65.2Gyの放射線治療を受け,照射後15カ月後より下血を認めるようになった.貧血のため入院し,禁食,サラゾピリン,ステロイドの投与により一時的に炎症は改善したが,食事を摂取しての外来通院では,下血と輸血を繰り返した.放射線直腸炎の晩期障害に対しエカベト1gを50mlの微温湯に混濁し,1日2回注腸投与により,食事を摂取しているにもかかわらず炎症の改善と貧血の進行が抑えられた.今後,本療法が放射線直腸炎の新たな治療法となる可能性もあり報告する.
  • 竹川 茂, 桐山 正人, 伊藤 博, 川村 泰一, 伊井 徹, 小島 靖彦, 渡辺 騏七郎
    2001 年 54 巻 7 号 p. 493-497
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は50歳女性で,粘血便,便秘を主訴として来院した.既往歴として47歳時に子宮筋腫で子宮全摘術を受けている.身体所見上直腸診で直腸前壁に弾性硬の粘膜下腫瘤を触知し,注腸造影検査で直腸に表面が網目状構造を呈する全周性狭窄と,その肛門側に半球状の隆起性病変を認めた.大腸内視鏡検査では直腸に半球状の粘膜下腫瘤病変とその口側の狭窄所見を認めたが,粘膜面に異常は認めなかった.骨盤CT検査では両側卵巣の嚢胞性病変と直腸の著明な壁肥厚を認めた.以上の所見より直腸子宮内膜症と診断し低位前方切除術を施行した.切除標本では両側卵巣のチョコレート嚢胞と,直腸の4.5×2.5cm大の粘膜下隆起性病変を認めた.組織学的にこれら病変には異所性子宮内膜組織が認められ,腸管子宮内膜症と診断した.さらに直腸傍リンパ節と腸間膜リンパ節にも異所性子宮内膜組織を認めた.腸管子宮内膜症のリンパ節病変の報告は極めて稀で貴重な症例と考えられた.
  • 河原 秀次郎, 黒田 陽久, 向井 英晴, 佐藤 慶一, 小野 雅史, 鈴木 俊雅, 久保 宏隆, 平井 勝也, 青木 照明
    2001 年 54 巻 7 号 p. 498-499
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 井上 雄志, 手塚 徹, 高崎 健
    2001 年 54 巻 7 号 p. 500-501
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 54 巻 7 号 p. 503-543
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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