(目的)肉眼的周囲臓器浸潤を認めた大腸癌症例における,周囲臓器合併切除の意義について検討した.(対象と方法)1983年から1999年までに当科で切除された大腸癌557例のうち,Si.Ai大腸癌66例(12%)を対象として,臨床病理学的因子,予後について検討した.(結果)66例中55例(83%)に他臓器合併切除が施行され,組織学的根治度は根治度A27例,B8例,C31例であった.58例で病理組織学的検討が可能で,組織学的にsi.aiが確認された症例は33例37臓器(57%)であった.Si.Ai症例は占居部位では横行結腸と盲腸,組織型では低分化腺癌に多く,またリンパ節転移率は有意に高値であった.全症例の5年生存率は34%で,根治度別には根治度A61%,B19%,CO%であった.根治度A,B症例において,リンパ節転移陰性例は陽性例に比して有意に予後良好であったが,si.ai症例とse.a2以浅症例の間には,予後に差を認めなかった.(結語)根治度B以上が期待できれば,積極的な合併切除が治療成績の向上につながると考えられた.
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