症例は67歳男性.1985年3月,早期胃癌で幽門側胃切除術を受けた(L,Gre,IIc,tub1,sm,ly0,v0,n0,stage IA).1995年7月,貧血の精査で盲腸癌と診断し結腸右半切除術(D
3)を行った.腫瘍は2型,35×25mmで病理組織所見は高分化腺癌,se,Iy3,v1,nl(+),stage IIIaであった.1997年1月,CEAが17.1ng/mlと上昇し,CTで膵尾部,脾の腫瘍と大動脈周囲リンパ節の腫大を認めた.1997年3月,膵体尾部切除,脾摘,残胃全摘,リンパ節郭清を施行した.病理組織学的に盲腸癌の膵,脾転移と診断された.術後CEAは3.1ng,/mlと正常化したが,1998年3月に多発肝転移を認め,1999年1月より癌性腹膜炎となり転移巣切除術後23カ月目に死亡した.大腸癌術後の切除可能な膵,脾転移は極めて稀であるが,切除後長期生存の報告もあり積極的に切除することが望ましい.
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