目的:後方浸潤をともなう直腸癌に対する仙骨合併切除の周術期経過と根治性について検討した.
方法:1991~2002年において,後方浸潤をともなう直腸癌36症例(原発性;5例,局所再発;31例)を対象とし,骨盤内臓全摘+仙骨切除(TPES;25例)と直腸切断+仙骨切除(APRS;11例)を行った.なお,仙骨切除は仙骨前アプローチで行った.
結果:両術式における手術時間,出血量,Morbidity,術後在院期間は,APRS症例で296.0±72.6分,2,443±1,697m1,45%,38.4±18.4日,TPES症例で441.6±111.7分,3,257±2,251ml,68%,62.4±30.6日であった.組織学的後方浸潤の程度別の5年生存率は,仙骨皮質浸潤8例;0%,仙骨前結合織浸潤9例;14.8%,非浸潤19例;49.8%であり,予後に有意差を認めた.
結論:後方浸潤直腸癌に対する仙骨前アプローチによる仙骨合併切除は比較的安全な根治手術法と思われるが,仙骨皮質への浸潤例では根治的意義は少ない.
抄録全体を表示