日本大腸肛門病学会雑誌
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59 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山田 正樹, 瀧田 尚仁, 北島 政幸, 笠巻 伸二, 坂本 一博, 落合 匠, 鎌野 俊紀
    2006 年 59 巻 3 号 p. 113-119
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    目的:抗ヒトOrotate Phosphoribosyl Transferase(OPRT)抗体を用いたOPRT免疫組織化学染色とOPRT酵素活性,臨床病理学的背景因子およびOPRT翻訳領域にあるsingle nucleotide polymorphisms(SNPs)との関連性について検討した.対象:2003年12月から2004年7月までに当科で外科的切除された大腸癌35例とした.成績:OPRT活性は癌部が正常部に比べて有意に高値を示した(p<0.001).また,OPRT免疫組織化学染色においてOPRT蛋白高発現例のOPRT活性は低発現例に比して,有意に高値を示した(p=0.036).OPRTの蛋白発現と臨床病理学的背景因子およびSNPsとの問に関連性は認められなかった.結論:OPRT免疫組織化学染色からOPRT蛋白発現の評価を行うことでOPRT活性を測定する代用となり,さらには5-fluorouracil(5-FU)高感受性群の選別が簡便になると考えられた.
  • 橋本 拓造, 板橋 道朗, 曽山 鋼一, 玉木 雅子, 神戸 知充, 柴田 亮行, 亀岡 信悟
    2006 年 59 巻 3 号 p. 120-123
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    MRI拡散強調画像(DWI:Diffusion Weighted Image)は急性期脳梗塞の描出に用いられる撮像法である.近年,腹部領域でもこれを応用する試みがなされており,癌腫で高いコントラストが得られるとされる.今回,S状結腸癌術後骨盤内再発の局在診断にDWIが有用であった1例を経験したので報告する.症例は26歳男性.初回手術から10カ月を経過した頃より肛門痛を自覚するようになった.CTのみでは再発部位の同定が困難であったためMRIを施行した.前立腺と精嚢の間にT1強調像(TIWI)でlow inten-sity,T2強調像(T2WI)でhigh intensityな腫瘤を認め,DWIで同部は異常集積を呈した.骨盤内再発腫瘍の診断にて摘出術を施行.摘出標本は4cm大の充実性病変であった,進行癌症例の術後follow upにおいてDWIを加えることは診断能を高めるために有用であると思われた.
  • 小澤 広太郎, 金井 忠男, 栗原 浩幸, 石川 徹, 金武 良憲, 金井 慎一郎, 加賀田 豊
    2006 年 59 巻 3 号 p. 124-129
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    平成11年1月から平成16年12月までに当院で施行した手術症例10,686例のうち6例(0.06%)に肛門部嚢胞を認めた.年齢は30歳から64歳(平均51.6歳),5例が男性であった.主訴は嚢胞による肛門部腫脹が3例で,他の症例は付随病変の症状であった.嚢胞は境界明瞭で軟らかく,無痛であり,表面の皮膚に炎症所見をともなっていなかった.大きさは8mmから16mm,位置は12時方向が4例,6時方向が2例であった.嚢胞の内容物は茶褐色から黄色透明の液体であり,粘稠性のもの5例,漿液性のもの1例であった.病理学的には,5例は嚢胞内腔を被覆あるいは嚢胞に付随する肛門腺上皮を認め,肛門腺由来の肛門部嚢胞と診断された.また1例は嚢胞内腔を被覆する上皮に線毛上皮,腺上皮,重層扁平上皮が認められ,奇形腫と診断された.
  • 藤本 浩一, 大西 始, 山本 康久, 大西 長久, 大西 信行, 大西 博
    2006 年 59 巻 3 号 p. 130-134
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    大腸ポリープの既往を有する2症例に対して,経過観察のために施行した内視鏡検査中,いずれも回盲部に糸状で白色調を呈し,一端は粘膜に迷入する寄生虫と思われる虫体を検出した.1例目(雌)は偶然にも虫体が視野内にみられ,アニサキスなどとの鑑別がつかないまま鉗子にて摘出したのち,専門家の判断を仰ぎ鞭虫と判明した.その4カ月後に定期の大腸内視鏡検査下に2例目(雄)の虫体を確認し直ちに本症と診断しえた.
    自験2例には雌雄それぞれが含まれ,一度経験することによりその後の鑑別も可能となった.鞭虫症は,嗜好や食習慣の変化にともない,大腸内視鏡下に遭遇する機会も想定され,回虫,蟯虫,アニサキスなどと共に日常の診療に当たって念頭に置くべき疾患と考える.
  • 森山 初男, 徳石 恵太, 田中 栄一, 野口 剛, 川原 克信
    2006 年 59 巻 3 号 p. 135-138
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.主訴は左側腹部痛,左側腹部腫瘤であり,左側腹部に可動性のない鶏卵大の庄痛をともなう弾性硬の腫瘤を触知した.腹部CT検査,および腹部超音波検査にて魚骨による横行結腸穿通による腹腔内膿瘍と診断した.腹痛が左側腹部に限局していたこと,vital signが安定していたこと,および既往歴が何も存在せず心,肺,肝,腎,などの機能が問題ないと考え,保存的治療(絶食,抗生剤投与)を行った.炎症所見の改善した第13病日より食事を開始し特に問題なく,第30病日に退院となった.退院後4カ月経過した現在,腹部症状を認めず,問題なく経過している.
    魚骨による消化管穿孔,穿通例の報告は本邦でも多数報告されているが,本例のように外科的な処置,または内視鏡による魚骨の除去を行わずに,保存的治療にて改善した報告例はなく,稀な1例である.
  • 飯野 年男, 藤田 明彦, 小田 晃弘, 諏訪 勝仁, 三浦 英一朗, 高尾 良彦, 穴澤 貞夫, 矢永 勝彦, 江川 安紀子, 大村 裕子
    2006 年 59 巻 3 号 p. 139-142
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は,75歳男性.1995年7月,他院にて直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術施行.ストーマの管理が困難となり近医を経由して2003年9月,ストーマ再造設目的にて紹介受診となった.粘膜移植と診断し,外来受診時に硝酸銀焼却処置を施行,並行して炭酸ガスレーザー治療を月に1回程度施行した。施行時は,出血,疼痛ともに軽微であった.炭酸ガスレーザー治療を10回施行した2004年9月の時点で,ストーマの周囲はほぼ平坦化しており,患者の愁訴も消失した.ストーマ周囲皮膚の高度な粘膜移植に対し,硝酸銀焼却と炭酸ガスレーザー治療との併用が有用であった.
  • 小林 建司, 小出 修司, 森本 守, 宮井 博隆, 柴田 直史, 早川 哲史, 田中 守嗣, 宇佐見 詞津夫
    2006 年 59 巻 3 号 p. 143-148
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
    症例は45歳男性.血尿を主訴に当院泌尿器科を受診し,膀胱腫瘍の診断で経尿道的膀胱腫瘍切除(TUR-BT)が施行され,高分化型腺癌と診断された.その後の精査でS状結腸癌の存在も指摘され,膀胱浸潤をともなうS状結腸癌の診断で,S状結腸切除膀胱部分切除術が施行された,術後の病理組織学的検査から,S状結腸癌と膀胱癌は明らかに離れておりS状結腸癌の膀胱浸潤は否定的であった.詳細な切り出しから結腸憩室が膀胱壁内に陥入し,憩室底辺の腺管に膀胱壁内の腺癌が接していた,また膀胱腫瘍近傍の膀胱粘膜には腸上皮化生は認められなかった.このことから本例は結腸憩室の慢性的炎症刺激により膀胱壁内に発癌した腺癌であることが推察される非常に興味深い症例である.
  • 2006 年 59 巻 3 号 p. 149-180
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/06/05
    ジャーナル フリー
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