日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
63 巻 , 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
臨床研究
  • 岩川 和秀, 井上 仁, 清地 秀典, 梶原 伸介, 西江 学, 濱野 亮輔, 宮宗 秀明, 大塚 眞哉, 岩垣 博巳
    2010 年 63 巻 4 号 p. 191-196
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    胃癌からの転移性大腸癌はまれで,原発性大腸癌との鑑別が問題となるだけでなく,治療方針も確立されていない.今回我々は胃癌治癒切除後の大腸転移に対して切除術を行った7例を経験したので臨床病理学的検討を加えて報告する.胃癌手術時の平均年齢は63歳であり,女性6例,男性1例であった.胃癌の肉眼形態は4型が3例,2型が2例,1型と3型がそれぞれ1例であった.組織型は7例が低分化腺癌が主体であった.転移再発までの期間は平均3年8カ月で,転移部位は直腸が3例,下行結腸が2例で,上行結腸と回盲部がそれぞれ1例であった.転移性大腸癌と術前診断されたのは4例であった.施行された術式は結腸半側切除3例,低位前方切除2例,結腸部分切除1例,直腸切断術1例であった.組織型は全例低分化腺癌であった.転移形式は全例に播種性が疑われたが,2例にリンパ行性,1例に直接浸潤も考えられた.大腸術後平均生存期間は2年3カ月であった.未分化型の胃癌術後に大腸に病変を認めた場合には大腸転移の可能性を念頭に置く必要がある.限局した病変であれば大腸癌に準じた切除により比較的良好な予後が期待できる.
症例報告
  • 四万村 司, 須田 直史, 小林 慎二郎, 櫻井 丈, 月川 賢, 宮島 伸宜, 大坪 毅人
    2010 年 63 巻 4 号 p. 197-200
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    内臓悪性疾患の臍転移はSister Mary Joseph結節(SMJN)といわれ,発見から死亡まで1年以内との報告も多く,悪性疾患の予後不良因子として認知されている.今回臍部の発赤,疼痛を主訴に来院し精査の結果,上行結腸癌の臍転移と診断した症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は60歳,男性.平成19年初旬より臍部の発赤,疼痛を認め近医を受診.臍周囲炎の診断で消毒処置を施行していたが,改善しないため1カ月後に紹介受診となった.当院初診時には臍部に1cm大の硬結を触知し発赤,疼痛を認めた.内臓悪性疾患の臍転移を疑い精査を施行し,上行結腸癌の臍転移,腹膜播種と診断した.全身状態,腹膜播種などの状況を考慮し化学療法を施行したが,発症後15カ月で死亡した.本症に対しては速やかな診断,化学療法と適切な時期の外科治療の組み合わせにより予後の延長の可能性があると考えられた.
  • 西島 弘二, 宮下 知治, 二上 文夫, 西村 元一, 藤田 秀人
    2010 年 63 巻 4 号 p. 201-205
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男性.粘血便を主訴に来院し,精査にて直腸Raに径6.5cmの1型腫瘍を認め,腹腔鏡補助下低位前方切除術を施行した.病理組織学的には大部分は中等度から高度異型の管状絨毛腺腫であり,一部に高~中分化腺癌を認めた.癌の中央部分ではmicropapillary carcinoma(以下MPC)成分を認め,粘膜下層への浸潤をともなっていた.軽度のリンパ管侵襲を認めたが,リンパ節転移や他臓器転移は認めなかった.術後約2年目に単発性肺転移を認め,胸腔鏡補助下左肺上葉部分切除術を施行した.MPCはリンパ管様の空隙に囲まれた線維血管性間質を欠く微小乳頭状癌胞巣を組織学的特徴とする癌であり,再発や遠隔臓器への転移が高頻度で,悪性度の高い組織型であることが示唆されている.大腸癌での報告は少ないが,大腸癌においてもMPC成分を有する場合は,通常型の大腸癌に比較し,悪性度が高い可能性があり,厳重な経過観察が必要であると考えられた.
  • 安岡 利恵, 埴岡 啓介, 門谷 洋一
    2010 年 63 巻 4 号 p. 206-211
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    大腸憩室症の合併症には,憩室炎,出血,穿孔,狭窄などがあり,保存的治療が奏効しなければ時期を逸さず手術を考慮せねばならない.今回我々は,結腸十二指腸瘻をはじめ,広範囲の狭窄など多彩な合併症を併発した大腸憩室炎の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例:37歳,男性.5年前より反復性大腸憩室炎の診断で加療していたが完治せず,下部消化管造影検査などで回腸結腸瘻,結腸十二指腸瘻,結腸膵尾部瘻,腸間膜内膿瘍と広範囲にわたる狭窄を認めた.保存的治療が奏効せず,結腸亜全摘+回腸S状結腸端々吻合および胃瘻造設術を施行した.病理組織学的にも異型性細胞は認めず,憩室は炎症細胞浸潤および肉芽組織をともなっており,急性および慢性的な炎症を繰り返す多発性大腸憩室炎と診断した.
  • 五代 天偉, 白井 順也, 原田 浩, 深野 史靖, 田村 功, 鈴木 紳一郎, 下山 潔
    2010 年 63 巻 4 号 p. 212-216
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性で,肛門痛を主訴に当院を受診した.内外痔核,随伴性裂肛の診断で手術予定となったが,術前の下部消化管内視鏡検査にてS状結腸に10mm大の隆起性病変を認めた.生検で悪性リンパ腫の疑いと診断された.CT検査,Gaシンチ検査にて全身検索を行ったが明らかな病変は認めなかった.S状結腸原発悪性リンパ腫と診断し,腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.病理組織診断ではmalignant lymphoma,B-cell,diffuse large sized cellであった.今回我々はS状結腸原発悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.
  • 藤本 浩一, 大西 始, 山本 康久, 大西 長久, 大西 信行, 大西 博
    2010 年 63 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    鼠径部に悪性腫瘍が存在する頻度は少なく,大腸癌による転移性病変は更に稀である.今回われわれは,直腸癌が精索へ転移した1例と,S状結腸癌が鼠径ヘルニア嚢へ転移した計2症例を経験した.いずれも鼠径部の転移性腫瘍であるが,その発生様式に違いがみられる.ともに腫瘍を切除し,原発巣と転移巣の病理学的検索を行った.日常の診療で鼠径部の腫瘤といえば,鼠径ヘルニアが多く,これを念頭に誤って手術を施されることもある.進行大腸癌では,転移性の鼠径腫瘍も存在することを示唆する興味深い2例を経験したので報告する.
  • 畑 泰司, 三宅 正和, 池田 公正, 島野 高志
    2010 年 63 巻 4 号 p. 223-227
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は71歳女性.約1年半前の検診で便潜血陽性を指摘され大腸精査を行った.大腸内視鏡検査で肛門部に小ポリープを認めるも経過観察となっていた.今回,左鼠径部に径20mm大のリンパ節腫脹を認め生検をしたところ,扁平上皮癌のリンパ節転移と診断された.再度大腸内視鏡検査を施行したところ小ポリープのあった部位に10mm大のIIa病変を認めた.生検で扁平上皮癌と判明.cStage IIIbの肛門管癌と診断した.これに対し5FU(1,750mg/m2/dayの24時間静注weekly)+CDDP(7mg/m2の5日投与2日休薬)の化学療法に全骨盤放射線療法(合計40Gy/20fr)を施行し画像上PR inと判定した.さらに放射線療法を追加し(合計66Gy)CRとなった.放射線化学療法が著効した肛門管扁平上皮癌の一例で貴重な症例であり報告する.
  • 中島 紳太郎, 諏訪 勝仁, 大津 将路, 北川 和男, 大熊 誠尚, 藤田 明彦, 山形 哲也, 岡本 友好, 柏木 秀幸, 矢永 勝彦
    2010 年 63 巻 4 号 p. 228-234
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/03/31
    ジャーナル フリー
    傍ストーマヘルニアはストーマ造設にともなう比較的頻度の高い合併症で,腸閉塞や嵌頓などの合併症はもとより,管理困難にともなうストーマ保有者のQOL低下を引きおこす可能性があり,外科的治療が考慮される疾患である.これまで本疾患に対する治療法として筋膜縫縮術や再造設術が主に行われていたが,再発率や侵襲性の問題から,十分な結果が得られていなかった.近年,メッシュを用いた修復法の良好な治療成績が報告されているが,統一された術式がないのが現状である.
    今回,我々は膀胱癌術後の傍尿路ストーマヘルニアに対するComposix® meshを用いた修復術後の再発ヘルニアに対してComponents separation法を用い再修復した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
feedback
Top