日本大腸肛門病学会雑誌
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64 巻 , 2 号
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原著
  • 栗原 浩幸, 金井 忠男, 石川 徹, 金井 慎一郎, 張 文誠, 金井 亮太, 黒田 敏彦
    2011 年 64 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    病態:坐骨直腸窩膿瘍の原発口は通常後方正中の肛門小窩である.感染原因物質は内括約筋を頭側に斜走して後方深部隙(III P)に到り原発巣膿瘍をつくる.膿瘍の圧が高まり外括約筋を深いところで貫くと高位(III Ha),浅いところで貫くと低位坐骨直腸窩膿瘍(III La)になる.手術:原則は原発巣と膿瘍最深部までドレナージすることである.肛門縁から約2cm離れた6時方向で切開を加える.鉗子を後方深部膿瘍(III Pa)に向かって進め,原発巣膿瘍をまずドレナージする.膿瘍がIII HaやIII Laに進展していると,鉗子の先端が抵抗なくその部位に進み,さらに排膿が得られる.この場合,III Paを通り膿瘍腔の最深部までドレーンを挿入する.成績:III HaやIII LaはIII Pa経由で全例が排膿できた.切開時III HaやIII Laが存在した初回切開症例において,根治手術時にIII HやIII Lに瘻管形成を認めなかった症例は15/24例(62.5%)であり,適切な切開により痔瘻を単純化させ得ることが示唆された.
  • 飯田 豊, 片桐 義文, 鬼束 惇義
    2011 年 64 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    目的:大腸癌化学療法における胸部留置型中心静脈カテーテル法(CVリザーバー)の長期成績を検討した.対象:胸部留置型CVリザーバーを用いて化学療法を行った進行再発大腸癌81例を対象とした.化学療法は全例がmFOLFOX6/FOLFIRI(+ベバシズマブ)を施行されていた.手技:局所麻酔下,皮下ポケット作成を先行し,その後,鎖骨下静脈穿刺をリアルタイム超音波誘導下に行った.結果:累積観察期間35,705日間.平均手術時間30分.成功率98.8%.術中合併症なし.ポート留置後合併症は,皮下ポケット感染1例,上大静脈血栓症1例,ポート反転2例で,1,000カテーテル留置期間あたりの発生頻度はそれぞれ,0.03,0.03,0.06であった.ポート除去は1例(1.2%),ポート再留置は2例に施行した.結論:大腸癌化学療法におけるリアルタイム超音波誘導下胸部留置型CVリザーバーは安全で,長期成績も良好であった.
  • 山口 貴也, 稲次 直樹, 吉川 周作, 増田 勉, 内田 秀樹, 久下 博之, 横谷 倫世, 山岡 健太郎, 下林 孝好, 稲垣 水美
    2011 年 64 巻 2 号 p. 62-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    目的:腹腔鏡下手術時に腸管拡張を抑え,良好な術野展開を可能にするための最適な前処置法の確立.方法:腹腔鏡下手術を行った67例をmagnesium citrate(MGC,マグコロールP®高張液)またはpolyethylene glycol electrolyte solution(PEG,ニフレック®等張液)を前処置として使用した2群に割り付け,手術時の小腸および大腸の拡張をスコア化し比較検討する.結果:全症例および大腸癌症例において,MGCがPEGと比較し小腸(上部,中部,下部)および上行結腸,横行結腸の拡張を有意に抑制した.結語:MGC高張液を用いた前処置法は腹腔鏡下手術時の腸管拡張を抑制し,術野の展開を容易にすることで安全な手術を行うことに寄与すると考えられた.
臨床研究
  • 小篠 洋之, 荒木 靖三, 野明 俊裕, 藤 勇二, 中川 元典, 岩谷 泰江, 鍋山 健太郎, 豊永 敬之, 高野 正博, 白水 和雄
    2011 年 64 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    目的:キャンピロバクター腸炎の臨床的特徴を明らかにするためにretrospectiveに検討した.対象と方法:2007年1月から2008年12月までに便培養検査でキャンピロバクター腸炎と診断した39例.成績:男性24例,女性15例,平均年齢は35.9歳.発生時期は4月から6月に多く,鶏肉関連食品の摂取既往があったのは7例であった.下痢はほとんどの症例に認められ,大腸内視鏡では点状発赤(73~75%)や褐色調の出血斑(24~44%),粘膜の浮腫(35~36%),顆粒状変化(11~17%)などの所見が比較的高率に認められた.9例に対し全大腸内視鏡検査が施行され回盲弁のびらん・潰瘍を4例に認めた.治療は対処療法のみで症状が軽快したのは30例,また9例は入院治療を要した.結論:本疾患における簡便な大腸内視鏡検査は重症度の把握や粘膜生検による鑑別診断,治療方針の決定において重要であると思われる.
  • 内野 基, 池内 浩基, 坂東 俊宏, 松岡 宏樹, 松本 譽之, 竹末 芳生, 冨田 尚裕
    2011 年 64 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎に対する肛門温存手術では,loop ileostomyを造設し分割手術とする場合が多いが,stoma造設にともなう合併症に留意する必要がある.今回,再手術につながるoutlet obstructionに注目し検討した.Loop ileostomy造設法を筋膜鞘縦切開(A)30例,十字切開(B)30例,さらに挙上腸管のrotationによる捻れを考慮し,ileostomy口側が6時方向(A)30例,3時方向(C)29例に分けて前向きに検討した.Outlet obstructionは,(A)5/30(16.7%),(B)12/30(40%)(p=0.04)と有意に(B)で多く,挙上腸管が捻れにくい(C)で1/29(3.4%)(p=0.09)と少ない傾向にあった.十字切開法や挙上腸管の捻れはoutlet obstructionの原因となるために推奨できない.Loop ileostomy造設時には,筋膜縦切開で,捻れの少ない腸管挙上を行うことが推奨される.
症例報告
  • 伊藤 正朗, 加瀬 肇, 下山 修, 金本 秀之, 吉田 公彦, 岡田 嶺, 高橋 知徳
    2011 年 64 巻 2 号 p. 78-82
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性.19歳のとき,多量の下血にて人工肛門を造設した.最近肛門からの下血が頻回となり下部消化管内視鏡検査を施行した.左半結腸~肛門にかけて全周性に粘膜下に拡張した静脈を思わせる色調変化と粘膜面の浮腫を認めた.また,腹部超音波検査および造影CT検査で肝外側区域に肝細胞癌を疑う腫瘤を認めた.そのため,腹会陰式直腸切断術および肝外側区域切除術を施行した.手術時,骨盤内に充満する黒赤色の大腸と血管腫様の腸間膜を認めた.結腸および直腸の剥離操作では大量出血をきたし止血に難渋した.病理検査では海綿状血管腫と診断され,肝臓については肝細胞癌と診断された.術後経過は良好で退院となった.大腸のびまん性海綿状血管腫は比較的まれな疾患で,治療は外科的切除が必要である.今回,術中大量出血をきたした手術症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
  • 佐久間 晶子, 吉松 和彦, 横溝 肇, 大澤 岳史, 島崎 朝子, 松本 敦夫, 大谷 泰介, 塩澤 俊一, 成高 義彦, 小川 健治
    2011 年 64 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,男性.腹痛,下痢を主訴に近医受診,大腸内視鏡で0-Is+IIc型S状結腸癌(SM深部浸潤疑い)と診断され,手術目的に当科に紹介され入院した.当院での大腸内視鏡検査所見では,同部位の白苔をともなう潰瘍のみで,生検では軽度異型であった.以上よりS状結腸癌の自然脱落と診断した.前医の所見で深達度は粘膜下層深部浸潤が疑われること,局所に癌遺残の可能性もあることから根治切除を勧めたが,患者本人の希望により経過観察とした.その4カ月後の大腸内視鏡検査で,潰瘍瘢痕に隣接する発赤調の不整な粘膜を認め,生検はGroup 5であった.脱落後の再燃と診断し,腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行した.摘出標本による病理組織学的な深達度は粘膜内癌であった.本症例のように自然脱落が疑われる大腸癌では,明らかな癌遺残のない場合,深達度や根治性の判定が困難で,治療方針について慎重に検討する必要がある.
  • 金澤 周, 塩澤 学, 田村 周三, 稲垣 大輔, 山本 直人, 大島 貴, 湯川 寛夫, 利野 靖, 今田 敏夫, 赤池 信
    2011 年 64 巻 2 号 p. 88-92
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性.主訴は血便.下部消化管内視鏡検査で肛門縁から8cmの部位に全周性狭窄をともなう2型病変を認め,生検で高分化型腺癌の診断であった.注腸造影検査では上部直腸から直腸S状部にかけて全周性の狭窄像を認めたが,腸管外への造影剤の流出は認めなかった.CTでは仙骨前面から両側梨状筋に至る広範な骨盤内膿瘍形成を認め,直腸癌の腸間膜側への穿通による骨盤内膿瘍の診断でHartmann手術およびドレナージ術を施行した.手術所見では仙骨前面から両側骨盤壁内へ広がる膿瘍腔を認め,約100ml の膿性の排液を認めた.直腸癌の直腸間膜側への穿通から,広範な骨盤内膿瘍を形成し,特異的なCT像を呈した症例を,文献的考察とともに報告した.
  • 山田 真美, 宮崎 道彦, 安井 昌義, 池永 雅一, 三嶋 秀行, 中森 正二, 辻仲 利政, 竹田 雅司, 眞能 正幸
    2011 年 64 巻 2 号 p. 93-96
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    HIV感染者において肛門疾患は頻度が高い併存症の一つである.今回極めて稀な尖圭コンジローマ(以下コンジローマ)充満痔瘻の一例を経験したので報告する.症例は35歳,男性.HIV陽性にて当院免疫感染症科通院中であった.肛門痛を主訴に当科を受診し7時に原発口と思われる裂肛をともなう隅越分類IILS型の痔瘻と肛門上皮にコンジローマの散在を認めた.また,二次口にコンジローマの露出,集積を認めた.根治手術は瘻孔切開術(fistulotomy)の予定であったが瘻管切除術(fistulectomy)を施行した.切除標本では肉眼的に原発口から二次口まで白色充実性腫瘍が充満しており,コンジローマが痔瘻瘻管内に充満していると思われた.病理組織学的にも瘻管壁内の表皮が乳頭状に瘻管内に増殖したcondyloma acuminatumと診断した.
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