症例は76歳,女性.4年前,直腸膀胱瘻に対しS状結腸双孔式ストーマ造設.軽度肥満で長期にステロイド剤内服中であった.最近,ストーマ傍ヘルニアを指摘されていたが,イレウス症状の増強とストーマ管理も難しくなってきたため腹腔鏡下にヘルニア根治術を施行した.挙上結腸内側に長径10cm,短径5cmのヘルニア門を認めた.挙上結腸が鍵穴状の中央部に収まるようにParietex
TM parastomal meshを巻き付け,ヘルニア門を覆いタッカーで固定.更に,挙上結腸には有茎の大網を巻き付けるように縫合固定を行い鍵穴中心部の補強を行った.術後経過良好で術後6日目に退院となり,術後1年経過したが再発は認めていない.肥満や糖尿病・ステロイド内服中などの感染高リスク例には,meshを用いた腹腔鏡下ヘルニア根治術が有用であると考えられた.
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