日本大腸肛門病学会雑誌
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66 巻 , 5 号
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原著
  • 百目木 泰, 萩原 信悟, 伊藤 友一, 藤田 昌紀, 椿 昌裕, 加藤 広行
    2013 年 66 巻 5 号 p. 323-329
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    【目的】術前PET/CT検査を用いて3次元融合画像を作成し大腸癌手術の術前シミュレーションとしての有用性を検討した.【対象および方法】2005年10月から2010年4月までの期間,大腸癌と診断されPET/CTを施行し,血管構築ならびにcolonographyを行った146例を対象とした.16列MDCTを搭載したPET/CT装置(Siemens)を用いて撮影し,Workstation上でPET画像,CT angiography,air-colonographyを融合し画像を作成した.血管動定率を求め,PET/CT導入前後の低侵襲手術達成率を比較した.【結果】血管同定率は回結腸動脈:100%,右結腸動脈:100%,左結腸動脈:95.1%,上直腸動脈:100%であった.PET/CT導入前後の低侵襲手術達成率はそれぞれ25.3%,70.5%で,PET/CT導入後が高かった(P<0.0001).【結語】PET/CTを用いた3次元融合画像の術前シミュレーションとしての有用性が示唆された.
臨床研究
  • 小林 成行, 久保 雅俊, 遠藤 出, 大谷 弘樹, 宇高 徹総
    2013 年 66 巻 5 号 p. 330-334
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    目的:大腸癌開腹手術における有用な創感染予防策を明らかにする目的で,創感染危険因子の検討を行った.対象と方法:2009年1月から2010年12月までに当科で待機的開腹手術を行った初発大腸癌134例を対象とし,創閉鎖法,皮下ドレーンの有無,腫瘍部位,BMI,術前併存疾患の有無,ASAスコア,手術時間の各臨床因子と創感染の関係について後ろ向きに統計学的検討を行った.結果:創感染発生例は19例(14.2%)であった.単変量解析では,創閉鎖法が埋没法6.5%,スキンステイプラー法31.7%で,有意に埋没法で創感染の発生が少なかった(p=0.0003).また,ASAスコア(p=0.003),手術時間(p=0.0006)も有意な創感染危険因子であった.多変量解析では,創閉鎖法(p=0.002),ASAスコア(p=0.02),手術時間(p=0.02)が有意に独立した創感染危険因子であった.結論:真皮埋没縫合による創閉鎖が,有用な創感染予防策であることが示唆された.
症例報告
  • 諏訪 勝仁, 羽生 健, 鈴木 俊亮, 中島 紳太郎, 岡本 友好, 矢永 勝彦
    2013 年 66 巻 5 号 p. 335-339
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    60歳,男性.近医で内痔核に対しPPH®による直腸粘膜環状切断術(以下PPH)を施行され,その後も下血,下痢が続くため当科を受診した.直腸診ではPPH縫合線に小指頭大の硬結を触知するのみであった.大腸内視鏡検査では上部直腸に全周性の2型病変と,PPH縫合線上に直径15mmの2型病変が認められ,それぞれの生検から中分化管状腺癌が検出された.PPH縫合線上の病変は口側病変からのimplantationと考えられた.腹部CTでは多発性肝転移(H2)が認められ,この時点では切除不能と判断されたが,局所コントロール目的で主病変のみを切除するHartmann手術を施行した.術後化学療法が奏効し,肝切除術が行われたが,再発による肝不全のため初回手術45ヵ月後に死亡した.本症例では肛門手術術前の大腸検査の必要性が示唆された.
  • 矢野 匡亮, 浜畑 幸弘, 小池 貴志, 指山 浩志, 堤 修, 辻仲 康伸
    2013 年 66 巻 5 号 p. 340-346
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    症例は64歳の男性.肛門から脱出する腫瘤と下血を主訴に前医を受診した.出血を伴う約6cm大の弾性軟の腫瘤の脱出を認め,用手的に腫瘤を還納された後に当院を紹介受診した.入院後の精査の結果,腫瘤はS状結腸脂肪腫と診断され,これが先進部となって腸重積をきたし,腫瘤が肛門から脱出したと考えられた.経過からこれまでも腸重積を繰り返してきたと考えられ,今後も繰り返す可能性が高いため切除の適応であると考えられた.腫瘍径が大きいため内視鏡的切除の適応はなく,外科的切除の適応であると判断した.腸重積は解除され,腸管の減圧ができた状態で手術の施行が可能であったので,より低侵襲な単孔式腹腔鏡下S状結腸部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では粘膜下層に成熟脂肪細胞の密な増生を認め,脂肪腫と診断された.
  • 富岡 寛行, 小沢 俊総, 曽田 均
    2013 年 66 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    症例は73歳女性.41歳時直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術,57歳時多発結腸癌に対し結腸全摘術および回腸人工肛門造設術の既往あり.また合併症としてC型肝炎を認めた.68歳時より回腸ストーマ周囲より出血を繰り返すようになった.72歳時出血の量および頻度ともに悪化傾向を認め,腹部造影CT検査で回腸ストーマ周囲に静脈瘤の形成を認めた.逆行性経静脈的塞栓術を施行したが,1年後に再出血をきたしたためストーマ再造設を施行した.現在軽度の出血を繰り返すが,保存的に軽快するため経過観察中である.門脈圧亢進症の原因として,ウイルス性肝炎が多い本邦においては,肝予備能および生命予後の点から過大侵襲を避けた治療選択が重要である.
  • 山崎 信義, 杉藤 正典, 神山 篤史, 西澤 雄介, 小林 昭広, 伊藤 雅昭, 齋藤 典男
    2013 年 66 巻 5 号 p. 353-357
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    膀胱亜全摘後の回腸導管作成例で空腸導管症候群様の症状を来した症例を経験した.症例は69歳女性.子宮内膜症のため子宮全摘術を受けた後に骨盤内異所性子宮内膜症からの発癌に対し放射線治療が行われていた.直腸腟瘻を契機に発見された直腸癌に対し,Hartmann手術,膀胱亜全摘,腟合併切除,回腸導管作成尿路変更術を施行.回腸導管は放射線の影響の少ない回腸末端より100cmの部位を26cm長で作成した.尿管ステント抜去後に食思不振,全身倦怠感が出現.低Na血症,高K血症,高BUN血症,高Cre血症,尿中Na排泄亢進を認め,空腸導管症候群様症状と診断.補液および塩化ナトリウム,陽イオン交換樹脂内服にて症状軽快,電解質の正常化を得て退院した.外来通院中であるが,依然として電解質補正が必要な状態が継続中である.回腸導管作成症例でも急激な電解質異常やCreの上昇時は空腸導管症候群様症状に注意する必要がある.
  • 門馬 智之, 菊地 大輝, 渡辺 洋平, 小野澤 寿志, 鈴木 聡, 中村 泉, 大木 進司, 吉田 典行, 竹之下 誠一
    2013 年 66 巻 5 号 p. 358-363
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    フルニエ症候群は,会陰部に生じる急性壊死性筋膜炎で,急激な経過をたどり,早期に適切な治療を施さなければ予後不良となる疾患である.今回われわれは,肛門管癌に対し,化学放射線療法(chemoradio therapy;CRT)を施行後,フルニエ症候群を発症した症例を経験したので報告する.症例は79歳の男性で,肛門管癌に対し,S状結腸双孔式人工肛門を造設したのち,S-1併用(100mg/body)にて50.4GyのCRTを施行した.CRT終了後一旦退院となったが,退院10日目に発熱,肛門部痛を主訴に外来を受診し,フルニエ症候群の診断で入院となった.広範囲ドレナージ術,抗生剤投与,追加ドレナージおよび局所洗浄の継続にてフルニエ症候群は軽快した.フルニエ症候群発症後3ヵ月目のCTで多発肝転移の出現があり,全身化学療法の方針となり転院となった.これまで,肛門管癌を含む直腸癌に対するCRT後に発症したフルニエ症候群の報告はなく,文献的考察を加え報告する.
  • 藤原 一郎, 高垣 敬一, 西尾 康平, 埜村 真也
    2013 年 66 巻 5 号 p. 364-368
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/08
    ジャーナル フリー
    直腸肛門部悪性黒色腫は比較的まれで予後不良な疾患であるが有効な治療法は確立されていない.今回われわれは本疾患に対し腹会陰式直腸切断術を行い術後局所再発に対してweekly paclitaxel療法を行った1例を経験したので報告する.
    症例は54歳,男性.2008年7月に肛門痛と排便時の出血を主訴に来院した.肛門管にかかる直腸Rbに約7cm大の黒色の潰瘍底を伴う腫瘍を認めた.腹会陰式直腸切断術を行い術後補助化学療法としてDAC-Tam療法を3コース行ったが2009年2月のPET/CT検査にて局所再発を指摘された.次にweekly paclitaxel療法(paclitaxel 80mg/m2を1週間ごとに3週連続投与,1週間休薬を1コース)を開始したところ約1年間腫瘍の増大を認めなかった(SD).その後,腫瘍の緩徐な増大を認め患者は2011年2月に永眠されたがその間本療法による有害事象はほぼ認めずQOLは良好に保たれた.
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