日本大腸肛門病学会雑誌
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67 巻 , 5 号
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原著
  • 澤崎 翔, 塩澤 学, 五代 天偉, 片山 雄介, 沼田 幸司, 樋口 晃生, 利野 靖, 益田 宗孝, 赤池 信
    2014 年 67 巻 5 号 p. 305-309
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:当院におけるStage II直腸癌の再発危険因子を明らかにする.方法:対象は1990年から2007年の間に当院で根治切除を行った直腸癌Stage II症例133例.臨床病理学的因子に対して単変量および多変量解析を行い,再発危険因子を検討した.結果:男性99例,女性34例,年齢中央値は63歳(34-89歳)であった.5年無病生存率は86.3%,全生存率は94.7%であった.単変量解析では術前CEA>5ng/mlおよび肛門縁から腫瘍下縁の距離≦40mmで有意差を認めた.多変量解析でも同様に術前CEA値,肛門縁から腫瘍下縁の距離が独立した再発危険因子であった.結語:Stage II直腸癌における再発危険因子は術前CEA高値および肛門縁から腫瘍下縁の距離が40mm以下であり,積極的な補助療法を検討すべきと考えられた.
臨床研究
  • 新垣 淳也, 荒木 靖三, 野明 俊裕, 的野 敬子, 鍋山 健太郎, 岩谷 泰江, 岩本 一亜, 小篠 洋之, 佐藤 郷子, 高野 正博, ...
    2014 年 67 巻 5 号 p. 310-316
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:毛巣洞に対する当院で行ったV-Y plastyの手技と成績について報告する.対象と方法:2006年から2012年までの毛巣洞手術症例14例を対象とし,V-Y plastyの手術治療経験についてretrospectiveに検討した.結果:平均年齢31.5歳(16~48歳),全例男性.平均体重75.5kg(63.4~92kg),BMI 26.0kg/m2で,25kg/m2以上の症例は8例(57.1%)であった.病悩期間は平均15.5ヵ月(3日~5年),平均手術時間45.3分,術後合併症は6例(42.9%)のうち,創感染5例,創部不良肉芽形成1例であった.皮弁壊死など重篤な合併症はなかった.術後再発症例は認めていない.考察:病巣切除,一期的創閉鎖,V-Y plastyは,手術手技が容易で再発が少なく安全性が高いことより容認できる手術術式である.今後症例を蓄積しながら慎重な経過観察が必要である.
  • 斉田 芳久, 榎本 俊行, 長尾 二郎, 高林 一浩, 長尾 さやか, 大辻 絢子, 渡邊 良平, 中村 陽一, 高橋 亜紗子, 草地 信也
    2014 年 67 巻 5 号 p. 317-323
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    前向きにリン酸ナトリウム錠(新NaP錠)の受容性と洗浄効果の検証を行った.
    対象と方法:2011年1月から2012年12月の期間で心腎機能異常がない外来大腸内視鏡を施行患者418名を対象とし,患者受容性はアンケートで洗浄効果は内視鏡術者の観察スコアで調査した.結果:新NaP錠の前処置は,添加物変更前のNaP錠(旧NaP錠)と同様に,嘔気・腹痛も少なく,高い受容性が認められた.ポリエチレングリコール含有電解質溶液(PEG)を前処置剤として服用した経験のある患者での次回の服薬希望において,新NaP錠の希望者は63.9%と,PEGの13.4%を大きく上回った.製剤残渣は旧NaP錠と比較して残存率には減少傾向が認められた.結論:新NaP錠の受容性と洗浄効果の高さが確認され,新たな大腸内視鏡前処置剤として有用である.
  • 福田 ゆり, 東 光邦
    2014 年 67 巻 5 号 p. 324-329
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    目的:日帰りや短期入院下での痔核手術が年々増加している.その一方,術後疼痛に悩む患者は多く,現状の疼痛緩和は充分でない.芍薬甘草湯の幅広い鎮痛効果は以前より知られ,痔核手術後の使用で効果が報告されているが,われわれは術前からの芍薬甘草湯投与でより有効性を認めたため報告する.対象と方法:手術を行う患者を無作為に芍薬甘草湯未使用群,術後投与群,術前術後投与群に分け,術後7日間の疼痛スケール(VAS)を比較した.結果:術前術後投与群は手術当日をはじめ,手術翌日を除く6日間において未使用群と比較し有意差をもって疼痛緩和を認めた.また,術前術後投与群は手術当日における若年者のVASが未使用群のみならず術後投与群と比較しても有意差をもって低下した.疼痛緩和までの期間も術前術後投与群は未使用群より有意に短縮した.結語:痔核術後の鎮痛法として術前からの芍薬甘草湯投与は容易で効果に優れ,今後広く勧められる方法と考えられた.
症例報告
  • 宇野 能子, 中島 紳太郎, 武田 光正, 北川 和男, 阿南 匡, 小菅 誠, 衛藤 謙, 矢永 勝彦
    2014 年 67 巻 5 号 p. 330-335
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    近年,ストーマ脱出に対する自動縫合器を用いた修復術は短期ではあるものの良好な成績が示されており,自施設で施行し良好な経過を得た2例を経験したので報告する.症例1は84歳の男性で,ストーマは単孔式で右中腹部に造設されており,脱出長は約12cmであった.全身麻酔下にストーマを約14cm程度可能な限り引き出し,腸間膜付着側と90度の位置2ヵ所で自動縫合器を用いて長軸方向に切開し,更に切開した腸管を割の入った高さで短軸方向に切離し手術を終了した.出血量は少量,手術時間は18分であった.症例2は71歳の女性でストーマは双孔式で左中腹部に造設されており,口側が約10cm脱出していた.同様の手技で修復を行い,出血量は少量,手術時間は22分であった.いずれも術後の経過は良好で再発を認めていない.同術式はコストの問題はあるが,侵襲性が低く,短期入院で治療が可能であり有効な方法であると考えられた.若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 太田 裕之, 望月 慶子, 塚山 正市, 川浦 幸光, 園田 寛道, 清水 智治, 谷 徹
    2014 年 67 巻 5 号 p. 336-340
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    大腸癌の術後経過中にPET検査で陽性を呈し再発腫瘍を疑った縫合糸(Silk)が原因の異物肉芽腫(Schloffer腫瘍)の2例を経験したので報告する.【症例1】62歳,女性でS状結腸癌に対してS状結腸切除術を施行した.術後8ヵ月に癒着による絞扼性イレウスをきたし小腸部分切除術を施行した.初回手術後2年のCTで大動脈分岐部近傍にリンパ節再発を疑う腫瘤を認め,PET検査においても同部位にFDG集積を認めた.リンパ節再発の術前診断で,硬く腫大した腫瘤と一塊となった小腸間膜を含めて小腸部分切除術を施行した.病理診断では縫合糸による異物肉芽腫の診断であった.初回手術後4年を経過し再発徴候を認めない.【症例2】77歳,女性で上行結腸癌と胆石症に対して結腸右半切除術および胆嚢摘出術を施行した.術後1年のCTにおいて肝S4に転移を疑う結節を認め,PET検査においても同部位にFDG集積を認めた.肝転移の術前診断で,肝S4部分切除術を施行した.病理診断では縫合糸による異物肉芽腫の診断であった.初回手術後1年6ヵ月を経過し再発徴候を認めていない.
  • 三浦 洋輔, 小川 勝洋
    2014 年 67 巻 5 号 p. 341-346
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    特発性腸間膜静脈硬化症(Idiopathic mesenteric phlebosclerosis,IMP)は静脈硬化症を伴う稀な疾患である.今回われわれは便潜血陽性を契機に受診し,内視鏡生検にて診断された無症候性IMPの1例を経験したので報告する.症例は41歳の男性で,洞不全症候群にて当院循環器内科通院中に貧血,便潜血陽性を指摘され受診した.下部消化管内視鏡検査では盲腸から横行結腸にかけて粘膜は浮腫状で暗青紫調変化を認めた.腹部CT検査では同部の壁肥厚と周囲の点状・線状石灰化を認めた.病変部粘膜の生検にて粘膜内にHE染色で染まる無構造物質の沈着を認め,アザン染色にて膠原線維と判明し,IMPと診断された.IMPの臨床所見と病理所見について文献的考察を加え報告する.
  • 前田 知世, 遠藤 俊吾, 竹原 雄介, 大本 智勝, 向井 俊平, 池原 貴志子, 日高 英二, 石田 文生, 工藤 進英, 浜谷 茂治
    2014 年 67 巻 5 号 p. 347-352
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    転移性痔瘻癌に対して局所切除を行い,長期生存が得られた2例を経験した.
    症例1は58歳,男性.直腸S状部癌に対し,直腸切除術(D3郭清)を施行した.診断は,tub1>tub2,pSE,pN1,cM0,fStage IIIaだった.8年前より痔瘻があり,術後8ヵ月目に肛門周囲に硬結が出現し,生検にて痔瘻癌と診断した.症例2は65歳,男性.下部直腸癌に対して直腸低位前方切除術(D3郭清)を施行した.診断はtub1>tub2,pMP,pN0,cM0,fStage IIであった.術後9ヵ月目に肛門に硬結を自覚した.肛門に腫瘤を認め,生検で痔瘻癌と診断した.いずれの症例も腫瘍と瘻孔を含めた局所切除術を行った.2例とも先行する直腸癌に類似した組織像を示し,抗サイトケラチン抗体,粘液形質などの免疫染色法から直腸癌の転移性痔瘻癌と診断した.症例1は術後8年3ヵ月,症例2は術後5年10ヵ月無再発生存している.
  • 鏡 哲, 船橋 公彦, 栗原 聰元, 小池 淳一, 塩川 洋之, 牛込 充則, 平野 直樹, 石川 由起雄, 渋谷 和俊, 金子 弘真
    2014 年 67 巻 5 号 p. 353-358
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/30
    ジャーナル フリー
    症例は,65歳女性.肛門部違和感を主訴に他院を受診し,内・外痔核の診断で手術目的に当科紹介された.直腸指診で下部直腸前壁に5cm大の粘膜下腫瘍を認め,針生検にて平滑筋腫と診断した.直腸腫瘍の摘除にあたっては,経肛門的超音波検査で経腟的アプローチが有効と考えられ,経腟的直腸腫瘍局所切除術を施行した.術中所見では,腫瘍は被膜を有し,一部内肛門括約筋との連続性が認められたことから内肛門括約筋由来と考えられた.組織学的には,紡錘形細胞が錯走配列を呈しており,核異型や核分裂像は認めなかった.免疫組織学的には,α-SMA陽性,desmin陽性,c-kit陰性,CD34陰性で,平滑筋腫と診断した.内肛門括約筋由来の平滑筋腫は非常に稀で,直腸前壁の平滑筋腫に対し経腟的局所切除術が有効と考えられた1例を報告した.
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