悪性腫瘍に対する化学療法や放射線療法の後に白血病を発症することがあり,治療関連白血病として分類される.今回著者らは,治療関連白血病の2例を経験したので報告する.症例1は,63歳男性で,直腸癌に対して術前化学放射線療法を施行した.術後6年目,白血球810/
μlと減少を認め,精査にて急性前骨髄球性白血病と診断された.化学療法を施行し完全寛解となり,発症後5年半再発を認めない.症例2は,71歳男性で,直腸癌術後の切除断端陽性に対し化学放射線療法を施行した.術後3年目,白血球39,000/
μlと増加を認め,慢性骨髄性白血病と診断された.ニロチニブ(チロシンキナーゼ阻害剤)を服用し,細胞遺伝学的完全寛解した.
化学放射線治療を施行した大腸癌症例では,治療関連白血病の発症を考慮し,術後5年目以降も定期的に経過観察が必要である.
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