閉塞性大腸癌に対するステント留置36例をretrospectiveに解析し,その有用性を明らかにした.Bridge to surgery(以下BTS)が27例,緩和治療が9例であり,36例中35例に留置が可能であった.ステント留置に伴う大きな合併症は認めなかった.BTS群での手術後の飲水開始は中央値1日,食事開始は中央値3日,退院は中央値13日であった.合併症として3例に縫合不全,2例に腸閉塞を認めたが,手術後死亡例は認めなかった.緩和治療群では留置不能例を1例に認めたが,留置成功例では全身状態不良となるまで経口摂取が可能であった.大腸ステント留置により腸閉塞を解除,全身状態を改善し,安全に待機手術に移行することができた.さらに,術後の早期の経口摂取と早期の離床が可能となり良好な短期手術成績を得ることができた.また緩和治療を目的とした患者に対しても有用な選択肢であることが考えられた.