日本大腸肛門病学会雑誌
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70 巻 , 8 号
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症例報告
  • 堤 伸二, 村田 暁彦, 加藤 雅志, 西川 晋右, 早川 一博, 森田 隆幸
    2017 年 70 巻 8 号 p. 505-511
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.肛門腫瘤,肛門痛を主訴に前医を受診.肛門に潰瘍を伴う皮下腫瘤を認め,同院にて切除生検を施行した.病理検査にて大腸由来の腺癌の可能性が高いとの診断を得たため,下部消化管内視鏡検査を施行した.S状結腸癌を認め,肛門腫瘍と類似の病理組織像を示していたことからS状結腸癌の同時性肛門転移と診断した.手術目的に当院に紹介となり,腹会陰式直腸切断術を施行した.病理診断はS,type2,tub2,pT3(SS),int,INFb,ly0,v0,pPM0,pDM0,pN0であった.肛門周囲および生検部位には腫瘍の遺残は認めなかった.原発巣に脈管侵襲がみられず肛門と離れていることから,S状結腸癌がimplantationにより肛門に転移したと考えられた.今回われわれは同時性肛門転移を契機に発見されたS状結腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
  • 鳥谷 建一郎, 中嶌 雅之, 藤原 大樹, 杉政 奈津子, 柿添 学
    2017 年 70 巻 8 号 p. 512-515
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は87歳女性.皮膚の発赤と腹痛,発熱を主訴に夜間帯に救急搬送された.精査にて腹壁膿瘍を合併した横行結腸癌での腹膜炎と診断し,同日緊急で結腸部分切除術(横行結腸),D2郭清,腹壁合併切除術を施行した.腹壁は中腹部正中部に10cm×12cm程度の全層欠損となり,Components separation法(以下CS法)を用い再建した.病理所見は結腸癌T,Type2,12×11mm,tub2>por2>tub1,int,INFb,ly0,v2,pPM0(7.0cm),pDM0(8.0cm),pT3(SS),cN0(0/8),cM0,pStage II,RM0,CurAであった.術後42日目に軽快退院となり,術後8ヵ月癌の再発や腹壁瘢痕ヘルニアは認めていない.高齢者の腹壁膿瘍を合併した結腸癌での緊急手術の際,腹壁再建法としてCS法は有用であった.
  • 須藤 剛, 阿彦 有佳, 山賀 亮介, 平田 雄大, 瀬尾 亮太, 蘆野 光樹, 佐藤 敏彦, 池田 栄一, 飯澤 肇
    2017 年 70 巻 8 号 p. 516-521
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    背景:骨盤内蔵全摘術(TPE)は一般的に腸管ストーマと尿路変更術のdouble stomaを必要とし,術後のQOLを低下させる.機能温存と根治性の両立は重要な課題である.尿路系臓器浸潤を有する局所進行直腸癌患者に対してStuder法による尿路再建を用いたstoma less TPEを施行した3例を経験したので報告する.対象:2013~2014年に3名に施行した.手術操作は,尿道を前立腺尖部処理後に離断し,直腸も肛門管直上または肛門管内で切離,腫瘍を十分なmarginを確保し摘出後Studer法による膀胱再建と肛門管内吻合,一時的回腸人工肛門造設術を施行.術後24~41ヵ月生存中で1例に術後6ヵ月目に肺転移を認め切除された.人工肛門閉鎖後,排便,排尿機能は良好に保たれている.結語:Studer法を用いたstoma less TPEは根治性と患者背景などの適応を考慮すれば有効な治療法と考えられた.
  • 池端 昭慶, 山本 聖一郎, 永瀬 剛司, 亀山 香織
    2017 年 70 巻 8 号 p. 522-526
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    宿便性大腸穿孔の多くはS状結腸,直腸に認め,横行結腸に生じることはまれである.今回,われわれは宿便性横行結腸穿孔2例を経験したので報告する.症例1:95歳,女性.下血,腹痛で近医を受診し,腹部CT検査で消化管穿孔が疑われ,当院へ救急搬送となった.腹部CT検査で横行結腸脾彎曲部近傍の網嚢内に糞塊と判断される腫瘤とfree airを認めたため,緊急手術を施行した.術中所見では横行結腸の脾彎曲よりに直径約4cm大の類円形の穿孔部を認めた.症例2:76歳,男性.胸痛を主訴に当院救急外来を受診し,経過観察となっていたが,2日後に嘔吐し,腹部CT検査で横行結腸右側に便塊による壁肥厚と粘膜造影欠損,周囲の脂肪織の濃度上昇と液体貯留を認めた.横行結腸穿孔の疑いで緊急手術を施行した.術中所見では膿様の腹水を中等量認め,切除腸管は類円形に全層で壊死に陥っていた.どちらの症例も術後有害事象なく退院した.
  • 出口 倫明, 似鳥 修弘, 加藤 亜裕, 高尾 良彦
    2017 年 70 巻 8 号 p. 527-531
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は80歳代男性.脳梗塞後遺症にて老健施設に入所中.ADLは床上,四肢も拘縮し,発語なく,全介助で経口摂取可能なPS4の状態で,下痢を主訴に当センターを受診した.内服薬で軽快しないため大腸内視鏡検査を施行した.直腸に粘膜下腫瘍様の白色調で比較的軟らかな巨大腫瘤を認め,直腸狭窄をきたしていた.CT検査を施行したところ,直腸腫瘤は径4cm大の内腸骨動脈瘤で破裂の危険があった.また,これとは別にS状結腸に全周性壁肥厚を認め,癌が強く疑われた.破裂の危険の高い動脈瘤に対してカテーテル治療を行い,その後,癌が腸重積を引き起こしたため,S状結腸切除を行った.術後18日目に軽快退院した.内腸骨動脈瘤による極めて稀な内視鏡像を報告する.
  • 杉本 敦史, 牧 淳彦, 藤田 悠介
    2017 年 70 巻 8 号 p. 532-536
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女性で下血を主訴に受診された.精査の結果,膵尾部,左腎へ浸潤を疑う左副腎転移を有する直腸癌と診断した.転移巣切除には他臓器合併切除を要するため,出血症状のある原発巣に対し腹会陰式直腸切断術を先行した.術後化学療法としてBevacizumab(BV)+FOLFOXを4クール投与したところ,転移巣は縮小し他臓器合併切除なしに切除可能と判断したので,初回手術より4ヵ月目に左副腎摘出術行った.7ヵ月目に肺転移が出現したため,化学療法をBV+FOLFIRIに変更した.その後,12ヵ月目に左肺部分切除術を施行し,1年4ヵ月生存中である.大腸癌の副腎転移は予後不良で治療方針は確立していない.本例のように他臓器浸潤を伴う副腎転移に対して化学療法を併用することで他臓器合併切除を回避して切除可能な症例があり,予後の改善が期待される.
  • 服部 晋司, 豊田 暢彦, 下村 龍一
    2017 年 70 巻 8 号 p. 537-542
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    成人での虫垂重積症は比較的まれな疾患で,今回われわれは早期盲腸癌を先進部とした虫垂重積症の1例を経験したので報告する.
    症例は86歳,女性.右下腹部痛を主訴に近医を受診し,回盲部での腸重積症を疑われ当院紹介となった.腹部造影CTでは,拡張した上行結腸内に造影効果のある腫瘤と同心円状の構造を有するtarget signを呈し,虫垂根部の腫瘤性病変を先進部にした虫垂重積および回腸結腸型腸重積と術前診断した.腹部症状も強いため,内視鏡的整復は試みず緊急手術を選択した.手術は腹腔鏡補助下回盲部切除術+D2郭清を行った.摘出標本では盲腸に主座をおき,虫垂粘膜を全置換して進展する表在型隆起性病変を認め,病理組織診断では,carcinoma in adenoma(TisN0M0,stage0)であった.
    本邦での198報告例から本疾患の診断と治療について検討した.
  • 横井 英人, 長谷川 誠司, 和田 朋子, 菅原 裕子, 渡辺 卓央, 池 秀之, 福島 忠男
    2017 年 70 巻 8 号 p. 543-548
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/24
    ジャーナル フリー
    自慰目的に挿肛したハンドグリッパーが直腸穿通をきたし,開腹手術を必要とした1例を報告する.症例は39歳男性,握力トレーニング用のハンドグリッパーを自慰目的に肛門より挿入し抜去ができなくなった.20日ほど経過し臀部痛を主訴に当院救急外来に受診した.腹部CTで片方のグリップが直腸穿通していたため経肛門的摘出は不可能と判断し,緊急開腹手術(Hartmann手術)を施行しハンドグリッパーを摘出した.術後経過は良好で第10病日に退院した.直腸異物の摘出法に関しては,一定の見解は今のところなく,全身状態,異物の大きさ,形状,材質,肛門・直腸外傷や,消化管穿孔の有無を考慮し,慎重に検討する.
第86回大腸癌研究会
編集後記
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