目的:難治性排便障害に対する経肛門的洗腸療法(transanal irrigation,TAI)の有効性と安全性の評価.
方法:難治性排便障害をTAIで10週間治療.主な評価項目はVASによる現在の排便管理に対する満足度と研究終了後もTAI継続を希望する患者(成功者)の割合(成功率).
結果:32例にTAIを施行し,年齢中央値55.5歳,男性19例.25例(78%)が10週間のTAIを完遂し,成功者(成功率)は23例(72%).成功者での満足度(VAS)は,治療前後で中央値2.2から7.5と有意に改善.3例(9.4%)で大腸穿孔が発生し,1例は保存的に治癒し,2例はストーマ造設術を要した.
結語:TAIは,基礎疾患によって異なるものの全体として難治性排便障害患者の72%に有効であるが,9%で大腸穿孔が発生するため,患者が適切かつ安全にTAIを施行出来るよう十分な情報提供と指導を行うべきである.
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