日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
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71 巻 , 7 号
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原著
  • 渡辺 和宏, 倉地 清隆, 水島 恒和, 亀山 仁史, 佐々木 巌, 杉田 昭, 根津 理一郎, 舟山 裕士, 福島 浩平, 内藤 剛, 海 ...
    2018 年 71 巻 7 号 p. 283-290
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー
    クローン病は大腸癌の発生リスクが高いことが知られている.本邦では特に痔瘻癌を含む直腸肛門管癌が多く,進行癌で診断されることが多い.今回われわれは厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班の外科系施設を中心とした18施設を対象に,クローン病の直腸肛門管癌への癌サーベイランスに関するアンケート調査を行った.癌スクリーニングの適応や検査項目については,厚労省班の癌サーベイランスプログラム(案)に概ね準じて行われており,肛門病変を10年以上有している症例を癌スクリーニングの対象とする施設が多かった.癌の診断を困難にする要因としては,「肛門・腸管の狭窄症例では内視鏡検査が困難」,「画像所見では炎症と癌の区別が困難」などの意見が多かった.より早期での診断が可能となる癌サーベイランスプログラムの確立が求められており,現在,厚労省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班で検討がすすめられている.
症例報告
  • 東 幸宏, 丸尾 啓敏
    2018 年 71 巻 7 号 p. 291-295
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の男性.前立腺癌のため恥骨後式前立腺全摘術を施行した.術中に下部直腸の前壁に直径15mmほどの全層性の直腸損傷を認め損傷部分の修復および回腸人工肛門造設術を行った.術後に直径約10mmの直腸尿道瘻を合併し,経肛門的瘻孔閉鎖術を行った.再発を認めたため膀胱瘻を造設し,6ヵ月間経過観察した.瘻孔の直径は約3mmと縮小したものの完治には至らず,再度の経肛門的瘻孔閉鎖術を行い治癒した.回腸人工肛門閉鎖術後も直腸尿道瘻の再発は認めていない.恥骨後式前立腺全摘術の合併症の1つである直腸損傷の発生頻度は稀であるが,重症な合併症である直腸尿道瘻に移行するものもある.一旦,直腸尿道瘻が形成されると本症例のように難治性であることが多い.今回,膀胱瘻の造設が治癒に寄与したと考えられた直腸尿道瘻の1例を経験した.若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 山本 隆嗣, 松田 恭典, 西澤 聡
    2018 年 71 巻 7 号 p. 296-301
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.74歳時に帯下と腹部膨満感で婦人科受診していた.CEAが9.3ng/mLと上昇していたが,上部・下部内視鏡検査で異常所見なく,画像検査で右卵巣嚢胞が指摘され,経過観察されていた.経過観察中にCEAは上昇,腹部鈍痛も加わり,外科受診となった.紹介受診時はWBC:12,150/μL,CEA:13.8ng/mLで,画像検査で卵巣嚢胞周囲の炎症所見を認め,肥厚虫垂が嚢胞に接していた.虫垂炎を疑い開腹手術を施行した.肥厚虫垂の先端が卵巣に穿通しており,虫垂切除と右卵巣切除を施行した.病理検査で粘膜内限局の高分化型腺癌を認め,卵巣嚢胞は無構造の粘液貯留腔であった.術2年後現在,CEAは正常化し癌の再発はない.自験例は卵巣嚢胞による高CEA血症と考えたために術前に虫垂癌を正診出来なかった.また,虫垂癌が卵巣に穿通して腹腔内に播種しなかった点でも,まれな症例であったと考えられる.
  • 飯高 大介
    2018 年 71 巻 7 号 p. 302-306
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー
    進行大腸癌に対するFOLFIRI療法中に意識障害を伴う高アンモニア血症をきたした症例を経験した.症例は69歳男性で大腸癌腹膜播種に対してRamucirumab+FOLFIRI療法を導入した.3クール目に意識障害および血中アンモニア異常高値を認め,ただちに5-Fluorouracil (5-FU)投与の中止および輸液を行った.
    5-FU系薬剤を投与した際に意識障害を認めた場合は,高アンモニア血症を念頭におくべきである.
  • 赤井 俊也, 東 幸宏, 平山 一久, 丸尾 啓敏
    2018 年 71 巻 7 号 p. 307-311
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/13
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の女性.約40年前に子宮筋腫のため子宮全摘術の既往がある.肛門周囲痛と発熱を認め,抗生剤投与などの加療で症状は軽快したものの膣からの便汁流出が出現した.膣鏡検査において膣断端右側に瘻孔が確認され腸管膣断端瘻の診断で当院に紹介となった.直腸診,肛門鏡検査では,明らかな異常を認めなかったが,経膣的に瘻孔よりカテーテルを挿入して行った造影検査でS状結腸が造影された.S状結腸膣断端瘻の診断で手術を施行した.S状結腸は著明な壁肥厚を認め,周囲の膿瘍腔を介在して膣断端に通じる瘻孔が確認できた.膣断端を閉鎖,S状結腸切除術ののち回腸人工肛門造設を行った.術後4ヵ月で回腸人工肛門閉鎖術を施行した.以後,再発は認めず,経過良好である.本症例はS状結腸憩室炎から生じた骨盤内膿瘍が脆弱な膣断端より膣内腔にドレナージされ,その後,S状結腸膣瘻を形成したものと考えられた.
編集後記
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