日本大腸肛門病学会雑誌
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72 巻 , 7 号
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症例報告
  • 藤井 善章, 佐藤 幹則, 杉浦 弘典
    2019 年 72 巻 7 号 p. 433-438
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    患者は74歳男性.胸部中部食道癌に対して右開胸開腹食道亜全摘3領域郭清,胸壁前経路頸部食道胃管吻合術を施行した.病理結果は低分化型扁平上皮癌,pT3N3M0 StageIIIであった.術後9ヵ月の胸腹部CT検査にて縦郭リンパ節転移,多発肝転移,多発肺転移,大腸腫瘍を指摘された.大腸病変の生検結果は食道切除標本と類似した低分化型扁平上皮癌であったため,食道癌術後大腸転移と診断した.ADLは保たれており,病変部の狭窄が非常に強く早期閉塞が予見できたため,狭窄解除目的に腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.術後第35病日に自宅退院可能となったが,術後第81病日に永眠された.

    食道癌根治術後大腸転移は非常に稀な病態であり,本邦における腹腔鏡下切除例は検索されうる限りにおいて認めなかった.文献的考察を含めて報告する.

  • 田中 香織, 西科 琢雄, 小島 則昭, 間瀬 隆弘, 森 秀樹
    2019 年 72 巻 7 号 p. 439-443
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    症例は45歳女性で,4年前に第2子を出産後,肛門膣間に疼痛を伴う硬結を自覚していた.最近疼痛が増悪してきたため当科受診した.肛門膣間右側に分娩時の会陰切開痕を認め,直下に可動性のない径4cmの硬結を触知した.会陰部痛は月経周期に付随していた.CA125が高値を示し,MRI(T2WI)では低信号の腫瘤の内部に点状の高信号域を認めた.生検にて会陰部子宮内膜症と診断した.腫瘍が肛門括約筋に広く浸潤していたため,肛門機能を温存した腫瘍全摘は困難と判断.45歳と閉経に近く挙児希望がないことより,ホルモン療法を選択した.治療開始半年後のMRIでは明らかに腫瘍の縮小を認め,CA125も著減し,会陰部痛も消失した.会陰部異所性子宮内膜症はまれな疾患であるが,肛門診察で遭遇する可能性がある疾患である.本症例が非典型的なMRI所見を呈したこともあり,会陰部子宮内膜症のMRI所見についても考察する.

  • 岡田 拓久, 平能 康充, 石井 利昌, 近藤 宏佳, 原 聖佳, 石川 慎太郎, 王 利明, 小原 尚, 山口 茂樹, 安田 政実
    2019 年 72 巻 7 号 p. 444-448
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    直腸肛門部悪性黒色腫(Anorectal malignant melanoma;以下,AMM)はまれな疾患で非常に予後不良である.今回,リンパ節転移を伴うAMMに対して手術を施行し,長期生存を得た1例を経験した.症例は79歳,女性.下血を主訴に前医受診.下部消化管内視鏡検査にて歯状線上に腫瘍を認め,経肛門局所切除を施行しAMMと診断され,追加治療目的に当科紹介受診.CT検査で直腸傍リンパ節の腫大を認めたが,他に明らかな転移を認めず,腹鏡下腹会陰式直腸切断術,中枢側D3郭清を施行.病理検査結果は第7版AJCC皮膚メラノーマ病期分類にてpT4bN3M0StageIIICであった.術後補助化学療法は施行せず,術後6年無再発生存中である.本症例に本邦での5年以上の無再発長期生存例10例を加えた検討からは,AMMはT1でもリンパ節転移を伴う可能性が高く,直腸切断などの広範囲切除の必要性が示唆された.

  • 北野 厚生, 岡田 章良, 北川 克彦, 流田 智史
    2019 年 72 巻 7 号 p. 449-455
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    症例は66歳男性で34歳時にクローン病を発症し,計4回の手術を経て5年間の寛解を維持していた.今回,貧血,低アルブミン血症,上腹部に軟性腫瘤による膨隆を認め精査目的に入院となった.画像検査により消化管間質腫瘍を疑い手術を施行した.大網内に一部が胃に付着した血管に富む腫瘤(19×12×4cm)を認めた.病理組織検査では紡錘形細胞の不規則増殖像と胃側への浸潤像を認め,免疫染色検査ではKIT,CD34およびDOG-1が陽性であったことから大網原発のEGISTと診断した.

  • 﨑村 千恵, 堀 武治, 仲田 文造, 増田 剛, 天道 正成, 石川 哲郎
    2019 年 72 巻 7 号 p. 456-461
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    69歳,男性.前医で直腸癌に対し,内視鏡的粘膜切除術(EMR:endoscopic mucosal resection)を施行され,追加切除を拒否し,3年後に血便で当院を受診した.下部消化管内視鏡で直腸Raに隆起性病変を認め,生検でtub2であった.肛門縁直上にEMR後瘢痕を認めたが生検で悪性所見は認めなかった.腹部造影CTでは直腸Raに腫瘍と肝S4に転移を認めた.腹会陰式直腸切断術を行った.直腸Raに9cmの4型全周性腫瘍が存在し,病理診断はtub2,pT4,ly3,v3であった.また肛門側の直腸に1cm大の腫瘍を認め,2個の腫瘍の主座は粘膜固有層以深であり,粘膜上皮に異形細胞は認めなかった.EMR後瘢痕に腫瘍は認めず,2個の腫瘍とEMR後瘢痕に連続性はなく壁内転移と考えられた.その後肝転移に対し肝部分切除術を行った.直腸癌EMR後に壁内転移,肝転移再発した1例を経験したので報告する.

  • 松本 芳子, 吉田 陽一郎, 竹下 一生, 薦野 晃, 坂本 良平, 愛洲 尚哉, 小島 大望, 二村 聡, 長谷川 傑
    2019 年 72 巻 7 号 p. 462-467
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    症例は44歳女性,10年前より月経痛に対し市販の鎮痛薬を常用していた.1ヵ月前より下痢と嘔吐を認め,増悪傾向のため受診した.CTにて消化管穿孔による広範な腹腔内膿瘍を疑ったが,穿孔部位は明らかではなく,腹膜刺激症状を認めないことより,緊急手術は行わず保存的加療を行いつつ精査を進めた.透視併用下部消化管内視鏡検査にて,上行結腸および横行結腸に多発する穿孔部を確認した.画像所見のみでは膿瘍腔と腸管の区別がつきにくく,経皮的ドレナージは困難と判断し,下部内視鏡支援下に審査腹腔鏡・ドレナージ術を行った.術中所見では,上行結腸に2ヵ所,横行結腸に1ヵ所穿孔を確認し,各膿瘍腔にドレーンを留置した.ドレナージにて膿瘍は改善し,第103病日に退院となった.多発大腸穿孔の原因として,炎症性疾患や膠原病を含め精査を行ったが該当する物は無く,非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)が原因と考えられた.NSAIDsが原因と考える慢性経過をたどった多発大腸穿孔に対し,ドレナージにて改善した症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

  • 松島 小百合, 大田 洋平, 小原 尚, 佐原 康太, 高橋 正純, 鳥井 郁雄, 林 宏行, 杉田 昭
    2019 年 72 巻 7 号 p. 468-471
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/06/27
    ジャーナル フリー

    症例は52歳男性.下血・血圧低下を認め救急搬送された.来院時出血性ショックを呈し,腹部造影CT検査では横行結腸肝弯部に出血源が疑われた.直ちに血管造影を施行したところ右結腸動脈末梢からのextravasationを認めた.循環動態が安定せず選択的な塞栓は困難と判断し,辺縁動脈でコイル塞栓し循環動態は安定した.再出血と塞栓に伴う腸管虚血が危惧されたため同日結腸右半切除術を施行した.術後経過は良好で第7病日に退院した.病理組織学的にコイル塞栓を行った近傍の憩室内に露出血管と血栓を認め出血源と判断した.大腸憩室出血は時に大量出血を伴い止血処置に難渋する.出血性ショックを呈した憩室出血症例に対して血管造影で出血源の同定と可及的なコイル塞栓で循環動態を安定させ,速やかに外科的切除を行うことで出血源の同定と腸管虚血のリスク回避が同時に得られ,双方の長所を生かした治療選択肢となり得る可能性が示唆された.

第43回日本大腸肛門病学会九州地方会
第24回大腸肛門機能障害研究会
編集後記
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