日本大腸肛門病学会雑誌
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74 巻 , 3 号
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原著
臨床研究
  • 大澤 郁子, 角田 明良, 高橋 知子
    2021 年 74 巻 3 号 p. 162-167
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル フリー

    [目的]便失禁患者の体位が生理学的検査値に及ぼす影響を探索する.

    [方法]女性の便失禁患者51例を対象に左側臥位と立位で肛門内圧を測定した.

    [結果]排便造影所見では,31例が直腸肛門重積(RAI),20例が非直腸肛門重積(non-RAI)であった.肛門内圧検査では,RAI群では随意収縮圧(MSP)[cmH2O,中央値(範囲)]が側臥位より立位で有意に低値であったが[121(66-454)vs. 147(65-604),p=0.046],non-RAI群では体位の差で有意差はなかった.サブグループ解析では,直腸瘤のないRAI群(n=21)ではMSPは側臥位より立位で有意に低値であったが,直腸瘤を有するRAI群(n=10)ではMSPは体位の差で有意差はなかった.

    [結論]RAIで直腸瘤を有しない女性の便失禁患者では,立位での随意収縮が抑制されている.

症例報告
  • 高津 有紀子, 盛口 佳宏
    2021 年 74 巻 3 号 p. 168-174
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル フリー

    症例は75歳,男性.他院で腹部大動脈瘤に対して行った人工血管置換術の術中所見で横行結腸癌がみつかり,待機的に右半結腸切除が施行された.術前に発熱を伴う末梢血好酸球増多を認めプレドニゾロン(PSL)を投与後解熱し好酸球も正常化した.その後転居に伴い当院に紹介,PSLは漸減中止されていた.術後1年後にS状結腸癌がみつかり,術前検査で末梢血好酸球の増多,発熱,肺結節が出現した.PSLを再開後好酸球数は減少しハルトマン手術を施行し退院した.好酸球増多はPSLを漸減中止後1,646/μlに再上昇したため5mgを再開した.CT検査で明らかな再発巣は指摘できず,術後1年7ヵ月経過した現在PSLを2mgまで漸減し経過観察中である.固形悪性腫瘍における末梢血好酸球増多の合併は稀で,大腸癌に合併した症例の報告は本邦で5例のみである.2度にわたり大腸癌の発生と好酸球増多を繰り返した症例を経験したので報告する.

  • 二科 オリエ, 阿部 立也, 山口 正明
    2021 年 74 巻 3 号 p. 175-178
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル フリー

    症例は93歳男性.主訴は肛門出血.肛門周囲皮膚に15mm大の表面平滑な易出血性の無茎性隆起型ポリープを認めた.老人性疣贅の診断にて単純切除し,病理検査に提出したところ,基底細胞癌の診断で,断端陽性であった.入院の上,腰椎麻酔下に病変部全周性に3mmのmarginをおいて追加切除を行った.永久標本では治癒切除を確認できた.基底細胞癌は,多くが露出部皮膚に出現し,肛門周囲皮膚での発生は稀である.医中誌で検索したところ,当症例は国内報告例で最高齢であった.肛門周囲皮膚の疣贅を認めた際には,基底細胞癌の可能性も考慮する必要があると思われた.

  • 吉田 亮介, 宇野 太, 山下 和城
    2021 年 74 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル フリー

    75歳,女性.右下腹部痛を主訴に受診した.CT検査で領域リンパ節転移を伴う盲腸癌と診断し,さらに大動脈周囲リンパ節への転移を疑う所見を認めた.回盲部切除術,D3リンパ節郭清術,大動脈周囲リンパ節のサンプリングを施行し,病理組織学的検査で腸管傍リンパ節と大動脈周囲リンパ節に転移を認めた.術後右外腸骨動脈周囲リンパ節に再発をきたし,全身化学療法を施行した.その後新病変を認めず,初回手術の1年9ヵ月後に大動脈周囲から同部位に至る範囲のリンパ節郭清術を施行した.その3ヵ月後に右下腹壁動脈周囲リンパ節,5ヵ月後に小腸間膜リンパ節に再発を認めた.原発巣の組織を用いた検査で,BRAF V600E遺伝子変異陽性とMSI-highの結果を得た.大腸癌の遠隔リンパ節への転移形式について,BRAF遺伝子変異やMSI,原発部位との関連性を含めた更なる検討が期待される.

  • 島田 有貴, 水内 祐介, 目井 孝典, 佐田 政史, 永吉 絹子, 永井 俊太郎, 山田 裕, 古賀 裕, 小田 義直, 中村 雅史
    2021 年 74 巻 3 号 p. 184-189
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/02/25
    ジャーナル フリー

    症例は1型糖尿病を原疾患として脳死下膵腎同時移植術の既往がある55歳の男性.術後5年のCTで膵グラフトの腹側に嚢胞性病変を指摘され,移植膵由来の仮性嚢胞が疑われたがMRIによる精査で虫垂由来が疑われ,虫垂粘液性腫瘍の術前診断で,回盲部切除術を施行した.術中,膵グラフトの損傷に留意しながら操作を行った.術後病理検査で低異型度虫垂粘液性腫瘍と診断した.本邦および海外でも膵移植後の虫垂粘液性腫瘍に関する報告は認めず,極めて稀な病態と考えられ報告する.

第41回日本大腸肛門病学会北海道地方会
第202回大腸肛門病懇談会
第203回大腸肛門病懇談会
編集後記
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