日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
最新号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
原著
  • 太田 学, 鯉沼 広治, 本間 祐子, 太白 健一, 佐田友 藍, 直井 大志, 井上 賢之, 堀江 久永, 味村 俊樹, 佐田 尚宏, 森 ...
    2021 年 74 巻 8 号 p. 447-452
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    目的:大腸憩室出血治療の現状を調査し,外科治療必要症例の頻度や臨床的特徴を検討した.対象と方法:2010年1月から2020年4月までに当院で経験した大腸憩室出血194例を対象とし後方視的に検討した.結果:手術は7例(4%)に行われていた.手術理由は内視鏡止血困難5例,内視鏡+IVR治療困難2例,循環動態不安定3例であった(重複あり).全例とも上行結腸で,経過中にショック状態となり輸血を受けていた.手術は開腹の結腸右半切除が行われていた.左右結腸の多発例で,抗凝固薬を内服していた1例は術後3年間に3度血便を認めたが保存的に治癒した.結語:当院における憩室出血治療は概ねガイドラインに沿って行われていた.手術例では,ショック状態で輸血例であったが,周術期治療成績は良好であった.切除範囲については術後のQOLを考慮に入れた総合的な判断が必要と考えられた.

  • 大野 吏輝, 風間 伸介, 西澤 雄介, 西川 武司, 品川 貴秀, 岡本 知実
    2021 年 74 巻 8 号 p. 453-460
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    【目的】高難度症例に対するロボット支援下直腸切除術の有用性について検討する.

    【方法】2019年6月から2020年10月までに当科で施行された高難度症例に対するロボット支援下直腸切除術(R群)24例,腹腔鏡下直腸切除術(L群)26例の手術成績を比較検討した.高難度症例は,①Rb症例,②Ra症例のうちa)男性,b)BMI≥25kg/m2,c)腫瘍径≥5cmのいずれかを満たす症例と定義した.

    【結果】R群で出血量は有意に少なかった(p=0.007).R群において,Clavian-Dindo分類Grade2以上の術後合併症は3例(12.5%),Grade3以上は1例(4.2%)であり,L群と比較して術後在院日数は有意に短かった(p=0.024).

    【結語】高難度症例に対するロボット支援下直腸切除術の短期手術成績は良好であり,ロボット支援下手術が高難度症例に対して有用である可能性が示唆された.

症例報告
  • 河原 慎之輔, 沼田 正勝, 山中 正二, 渥美 陽介, 風間 慶祐, 玉川 洋, 湯川 寛夫
    2021 年 74 巻 8 号 p. 461-468
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    症例は36歳男性.血便に対し施行した下部消化管内視鏡で下部直腸に15mmの粘膜下腫瘍を認め,生検でNET G1と診断.CTで左閉鎖リンパ節腫大を認めたが,石灰化を伴い,PETではSUVmax2未満,MRIでは拡散制限を認めず,増大時切除の方針とし,ロボット支援下腹会陰式直腸切断術(D3LD0)を施行.病理診断はNET G2,pStageⅢB.補助療法としてcapecitabine療法を施行.術後7ヵ月のCTで左閉鎖リンパ節の増大を認め,ソマトスタチン受容体シンチグラフィで集積を認めた.以上より左閉鎖リンパ節転移と診断し切除した.病理診断は直腸NETの転移であった.これまでNETの側方リンパ節転移は12例の報告があり,いずれもCT/FDG-PET/MRIで診断されていた.今回,ソマトスタチン受容体シンチグラフィが転移診断に有用であった1例を経験した.

  • 吉田 公彦, 金子 奉暁, 吉野 翔, 三浦 康之, 鏡 哲, 長嶋 康雄, 吉野 優, 白鳥 史明, 牛込 充則, 二本柳 博, 船橋 公 ...
    2021 年 74 巻 8 号 p. 469-475
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    症例は62歳,男性.腹痛を主訴に受診した.血液生化学検査所見では貧血と炎症反応を認め,腹部所見で右側腹部に腫瘤を認めた.腹部CTで右下腹部に14cm大の巨大な腸間膜血腫を認め,腸間膜内の動脈瘤破裂の疑いから緊急で血管内治療で止血を行った.止血後,絶食と抗菌薬で炎症所見は改善したため経口摂取を開始したところ,再び腹痛と発熱が出現し炎症反応が再上昇した.腹部CTで血腫の感染が疑われたため手術を施行した.開腹所見では血腫は黒色調で悪臭を認め,血腫感染と診断した.血腫を可及的に除去したが,感染コントロール目的に結腸右半切除術を施行した.培養結果は,歯周病の原因菌として多いPorphyromonas gingivalisであった.腹部内臓動脈瘤,特に回結腸動脈瘤は稀であり,過去報告例も8例と少ない.文献的に動脈瘤破裂に対するIVRは有用な治療と考えられるが,一旦感染をきたした場合には手術が必要とされる.

  • 上田 恭彦, 新田 敏勝, 石井 正嗣, 片岡 淳, 千福 貞勝, 石橋 孝嗣
    2021 年 74 巻 8 号 p. 476-481
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    本邦における消化管異物は魚骨が占める割合が多く,稀に消化管穿孔を起こし治療を要する.今回,われわれは魚骨によるS状結腸穿孔の1例を経験したので報告する.症例は86歳,女性.腹痛,下痢,嘔吐を主訴に当院を受診された.CT検査ではS状結腸に直線状の高吸収域像を認め,異物によるS状結腸の穿孔と診断した.術中所見では,S状結腸の穿孔と膿瘍形成を認めたため,穿孔部切除・吻合に加えて,膿瘍腔ドレナージと回腸人工肛門造設を行った.本邦における魚骨による大腸穿孔の報告は検索しうる限り自験例を含めて38例であり,男性に多く,横行結腸とS状結腸に多い傾向にあった.術前のCT検査で腹腔内膿瘍や腹水が疑われた症例では,そのおよそ9割が手術を要していた.また,人工肛門造設については,高齢者や術前より汎発性腹膜炎を呈している症例,術前のCT検査や術中所見で腹水や腹腔内膿瘍を認めた症例に施行されている傾向にあった.

  • 豊田 純哉, 木村 英明, 大谷 方子, 遠藤 格
    2021 年 74 巻 8 号 p. 482-490
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    Filiform polyposisを伴った潰瘍性大腸の2切除例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.

    症例1は25歳,男性.1年間の潰瘍性大腸炎の治療中に貧血,低栄養が遷延し,次第に体動時の息切れを認め,緊急入院となった.大腸内視鏡検査で盲腸から横行結腸,およびS状結腸に広範なinflammatory polyposisを認めた.通過障害を伴い,内科治療で改善せず,大腸全摘術を施行した.

    症例2は54歳,女性.13年間の潰瘍性大腸炎の治療経過中に再燃と寛解を繰り返していた.腹痛,下痢,血便が増悪したため,緊急入院となった.大腸内視鏡検査で盲腸から横行結腸にinflammatory polyposisによる腸管狭窄を認めた.内科治療で改善せず,結腸亜全摘術を施行した.

    病理では,いずれも血管拡張と粘膜下層の線維筋増生を認め,filiform polyposisと診断した.

  • 小山 能徹, 阿部 正, 石崎 俊太, 又井 一雄, 大熊 誠尚, 山崎 哲資, 衛藤 謙
    2021 年 74 巻 8 号 p. 491-494
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    症例は19歳男性.自宅で自身で鉛筆を経肛門的に挿入し,摘出困難となったが,症状を認めなかったため様子をみていた.しかし翌日に下腹部痛,血便を認めたため,近医受診.対応困難とのことで当院に救急搬送となった.当院での腹部レントゲンおよび腹部CTではS状結腸から直腸上部にかけて棒状の構造物を認めた.肛門からの用手的摘出が困難であったため,内視鏡的に摘出した.入院後は特に腹部症状増悪なく,術後4日目に無事退院となった.

  • 出口 正秋, 大野 徳之, 小林 純也
    2021 年 74 巻 8 号 p. 495-501
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    直腸切断術後の続発性会陰ヘルニアは稀な合併症である.今回われわれは,直腸癌に対する腹腔鏡下直腸切断術後に続発性会陰ヘルニアをきたした肥満患者で,かつ農業従事者で仕事中に会陰部に大きな荷重がかかることが予想されたため,メッシュの固定に工夫し確実な修復術を行い得たと思われる症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は63歳男性,身長170cm,体重91kg,BMI 31.49.初回手術後37日目に腹腔鏡下修復術を行った.吸収性癒着防止剤付き楕円形メッシュをお椀型に形成し骨盤底に置いた.メッシュの前方2点および後方2点にメッシュテープを縫着し,両側のクーパー靱帯と仙骨岬角にメッシュを釣り上げる形で縫合固定し,重量に十分耐えうるようにした.術後15ヵ月の時点で再発は認めていない.骨盤底に大きな荷重がかかり術後再発が懸念される症例には本術式は有効であると考えられた.

  • 吉本 裕紀, 石橋 慶章, 古賀 史記, 室屋 大輔, 宗 祐人, 森光 洋介
    2021 年 74 巻 8 号 p. 502-508
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    症例は70歳代の男性,左水腎症にて他院外来通院中であったが,背部痛が増悪し当院紹介受診となった.精査の結果,S状結腸癌,転移性肝腫瘍(外側区域),原発性左尿管腫瘍の診断となった.S状結腸癌の狭窄が切迫していたため,肝切除は二期的に行うこととし,まず後腹膜鏡下左腎・尿管切除術および腹腔鏡下高位前方切除術(D3)を施行した.術後経過良好で術後第13病日に退院となった.術後の病理所見で,尿管癌は原発性ではなく大腸癌からの転移性腫瘍と診断された.術後のCT検査で切除した左腎付近に腫大したリンパ節があり,転移・遺残が否定できなかったためPET-CTを施行したところS4-5レベルに仙骨骨転移を認めた.転移性尿管腫瘍は高率に遠隔転移を伴い予後不良であるため,集学的治療目的に当院がん治療センター紹介となり現在加療中である.

  • 名西 健二, 日野 仁嗣, 塩見 明生, 大石 琢磨, 賀川 弘康, 眞部 祥一, 山岡 雄祐, 陳 開, 前田 周良, 小嶋 忠浩, 塩井 ...
    2021 年 74 巻 8 号 p. 509-514
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

    【緒言】非常に稀な大腸癌の鼡径管転移の1例を報告する.【症例】53歳,女性.下部消化管内視鏡検査でS状結腸腫瘍を認め,生検結果は中分化型腺癌であった.腹部CT,MRIで領域リンパ節,両側卵巣の腫大と右鼡径部に2cm大の不整結節を認めた.腹壁・卵巣転移を伴うS状結腸癌の診断で開腹S状結腸切除 D3郭清,両側付属器切除,右鼡径部腫瘍切除を施行した.術中,右鼡径部腫瘤は鼡径管内に認めた.病理検査で卵巣,鼡径管腫瘍はともに転移性大腸癌だった.術後補助化学療法施行後,術後19ヵ月で左鼡径管および骨盤内に多発再発を認め,現在化学療法加療中である.【考察】腹部悪性腫瘍の鼡径管転移の経路として子宮円索に沿ったリンパ経路,ヘルニア嚢を介した腹膜播種経路が報告されており,本症例もいずれかの経路で鼡径管転移をきたしたと推測される.【結論】卵巣転移や腹膜播種を伴う大腸癌では,鼡径管転移の可能性も考慮する必要がある.

第45回日本大腸肛門病学会九州地方会
編集後記
feedback
Top