日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
  • 内田 史武, 森山 正章, 小山 正三朗, 渋谷 亜矢子, 和田 英雄, 田場 充, 内藤 愼二, 黨 和夫
    2024 年 77 巻 7 号 p. 401-406
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    症例は49歳の男性で,下血で受診し,腹部造影CTで進行下行結腸癌が疑われた.2日後に発熱と激しい腹痛のため救急搬送され,腹部単純CTで既知の腫瘤周囲に腸管外ガスを認め,後腹膜への穿通と診断した.後に下部消化管内視鏡で下行結腸に粘膜下腫瘤様病変を認め,スコープは通過せず,生検ではGroup1であった.亜閉塞状態かつ穿通も認めたため,手術を行った.術前にICG蛍光左尿管ステントを留置後,腹腔鏡下結腸左半切除術を行った.左性腺動静脈の合併切除を要したが,左尿管は蛍光ステントで温存を確認した.病理組織診の結果,腺扁平上皮癌,pT3N1a,pStageIIIbの診断であった.大腸腺扁平上皮癌は稀であり,同様の報告は自験例が初めてであった.

  • 佐久間 崇, 青松 直撥, 辻尾 元
    2024 年 77 巻 7 号 p. 407-411
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    症例は84歳,女性.腹痛および嘔吐を主訴に当院受診となり,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.術中所見では小腸に多数の非連続性腫瘍性病変を認め,1ヵ所で穿孔していた.穿孔部の小腸を部分切除し,機能的端々吻合で一期的再建した.検体の一部はホルマリン固定せず,生検体で提出した.術後4日目にフローサイトメトリー(FCM)の結果が判明し,大型のリンパ腫細胞でB細胞系抗原が強陽性を呈した.免疫染色と合わせて,最終的にびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した.術後経過良好で,化学療法導入目的に術後20日目に他院血液内科へ転院となった.小腸悪性リンパ腫は消化管穿孔を機に発見されることが多く,穿孔例は予後不良とされる.そのため早期の病型診断および化学療法の導入が必要である.FCMを組み合わせた診断は迅速で有用であり,一部をホルマリン固定せず生検体で提出するなど,取り扱いに留意すべきと考えられた.

  • 辻尾 元, 貝崎 亮二, 中田 真一, 国本 友浩
    2024 年 77 巻 7 号 p. 412-417
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    61歳,女性,55歳時に子宮内膜異型増殖症に対して単純子宮全摘,両側付属器摘出術を施行された.3週間ほど前より持続する膿性帯下および下腹部の違和感を主訴に当院紹介受診となった.腹部造影CT検査においてS状結腸に脂肪織濃度の上昇を伴う憩室を認めた.S状結腸には索状の構造物を介し腟断端と連続している部位を認めた.腟鏡にて腟断端に数mm大の瘻孔を認め,同部位より造影剤を注入したところ瘻管およびS状結腸が造影された.S状結腸憩室炎,結腸腟瘻の診断にて手術を施行した.手術は腹腔鏡下に施行した.S状結腸から直腸は膀胱および腟断端に広範囲に癒着しており,慎重に剥離後瘻管部を含めて直腸低位前方切除術および回腸双孔式人工肛門造設術を行った.腟側の瘻管断端は縫合閉鎖した.術後経過は問題なく,約4ヵ月後に人工肛門閉鎖術を施行した.

臨床研究
  • 青木 沙弥佳, 角田 明良
    2024 年 77 巻 7 号 p. 418-426
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    【目的】上皮下瘻管の処置が異なるLigation of the Intersphincteric Fistula Tract(LIFT)関連術式の成績を検証する.

    【方法】痔瘻に対して5つのLIFT関連術式を行った.すなわち一次口または上皮下瘻管の処置をtranscanal advancement flap repair(A法),切離(B法),片側結紮・切離(C法),両側結紮・切離(D法),C法+一次口瘻管切除+上皮弁移動術(E法)を行い,各群の一次治癒率を比較した.

    【結果】A,B,C,D,E法の一次治癒率は64%(7/11),68%(26/38),88%(30/34),72%(18/25),100%(20/20)とE法は他群より有意に高率であった.

    【結論】E法は全例で一次治癒が得られ,上皮弁移動術により再開通が阻止されたと考えられた.

  • 河野 聡美, 角田 明良, 青木 沙弥佳
    2024 年 77 巻 7 号 p. 427-431
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/06/25
    ジャーナル フリー

    裂肛随伴性痔瘻に着目した報告は少なく,治療方針に関する意見の統一はみられていない.本研究では肛門狭窄を伴わない慢性裂肛に随伴した痔瘻症例に対する外科的治療の成績を後方視的に検討した.

    対象は2018年4月から2023年5月の間に随伴痔瘻を伴った裂肛手術症例12例.年齢中央値は49歳,観察期間中央値は17ヵ月であった.痔瘻分類はI型が4例(33.3%),IILS型が8例(66.7%).術式としては瘻管開放術,内肛門括約筋部分切開に加えて肛門上皮弁移動術を行う方法を行った.12例中11例(92%)で一次治癒が得られ,創治癒までの期間は9週(6-14週)であった.安静時最大肛門内圧は術後減少する傾向が認められた(p=0.05).

    瘻管開放術+内肛門括約筋部分切開・肛門上皮弁形成術は,肛門狭窄をきたさない慢性裂肛随伴性痔瘻に対する有効な術式になる可能性がある.

編集後記
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