日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
  • 大畠 将義, 沖川 昌平, 髙田 厚史, 永岡 智之, 渡部 美弥, 發知 将規
    2026 年79 巻2 号 p. 45-53
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    【目的と方法】右側閉塞性大腸癌に対するBridge to Surgery(BTS)の治療成績を検討するため,原発切除を行った95例を対象とし,BTSを行った82例をステント群(S群)41例と経鼻イレウス管群(T群)41例に分けて比較した.

    【結果】S群はT群に比べ,食事開始可能例,減圧後退院例が多く,術後在院日数も有意に短縮された(7日vs. 8日,p=0.015).術後Clavien-Dindo(C-D)GradeIII以上の合併症はS群4例,T群3例で,縫合不全はそれぞれ1例,3例であった.長期成績では5年無再発生存率(45.5% vs.55.7%),5年全生存率(54.2% vs.75.7%)に有意差はなかった.

    【結語】右側閉塞性大腸癌におけるステントを用いたBTSは,経口摂取の早期再開を可能とし,患者負担の軽減に寄与する可能性がある.

臨床研究
  • 内田 正昭, 山本 佳生
    2026 年79 巻2 号 p. 54-63
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    目的:内痔核に対するALTA療法の長期予後を評価した研究は少ない.本研究では10年以上の治療成績と再発因子を検討した.

    方法:適応基準を設けず226名の患者にALTA療法を施行.再発をGoligherII度以上の再脱出と定義した.年齢,性別,Goligher分類,外痔核膨隆,巨大痔核,ポリープ,皮垂,ALTA注入量,注入痔核数の9項目を解析対象とし単変量および多変量解析にて分析した.

    結果:無再発期間の中央値は1.99年(95%CI:1.29-2.57年).無再発率は1年で61.7%,5年で31.9%,10年で19.9%であり,年齢60歳未満(HR 1.69)と皮垂がない症例(HR 1.54)が独立した再発因子であった.

    結論:ALTA療法は短期的には高い効果を示すが,長期的な治療効果は限定的である.従来の適応外症例では再発因子が認められず,適応基準の柔軟な適用が妥当である.

症例報告
  • 田中 香織, 森 俊治, 山田 英貴, 森 秀樹
    2026 年79 巻2 号 p. 64-68
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    基底細胞癌は露出部位である顔面や頭頚部に好発し,肛門周囲に発生することはまれである.今回われわれは肛門周囲に発生した基底細胞癌の2例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例1は77歳男性.肛門痛と出血および痔核腫大を主訴に当院受診した.7時の肛門周囲皮膚に9×9mm,黒色調,やや隆起した結節を認めた.症例2は72歳男性.半年前から肛門に腫瘤を認めていたが,最近擦れて痛みが出現するようになったため当院受診した.7時の肛門周囲皮膚に18×15mm,やや黒色調,可動性良好な結節を認めた.2例とも腫瘍辺縁から5mmのマージンをとり,肛門括約筋が露出するように皮下組織を含めて切除した.病理組織検査にて基底細胞癌と診断し,切除断端は陰性であった.

  • 小泉 範明, 多加喜 航, 松本 辰也
    2026 年79 巻2 号 p. 69-74
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    症例は78歳,女性.X年7月,直腸Rbの30mm大の0-Is型病変に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が施行され,病理検査にて深達度がpT1b以深の直腸癌と診断された.追加切除の適応と考えられ,同年9月に中枢側D3郭清を伴う腹腔鏡下直腸切断術が施行された.病理検査の結果,局所に癌遺残はなく,リンパ節転移も認めずpStageIと診断された.術後補助化学療法は行わずに経過観察されていたが,X+1年9月に施行したCT検査にて大動脈周囲から総腸骨動脈周囲にかけて多数の腫大リンパ節を認め,PET/CT検査では同リンパ節に加えて左頸部にもFDGの集積を認めた.左頸部リンパ節の生検を行ったところ直腸癌の転移と診断された.全身化学療法が開始されたが徐々に病勢が進行し,X+3年3月に永眠された.大腸癌の跳躍リンパ節転移の頻度は約10%とまれである.早期の癌であっても定期的なサーベイランスが必要である.

  • 大西 一穂, 赤本 伸太郎, 田渕 諒介, 井上 耕佑
    2026 年79 巻2 号 p. 75-81
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    65歳,男性.RS直腸癌に対してロボット支援下腹腔鏡下高位前方切除術を施行し,tub2>muc>por2,pT3N1M0,StageIIIbと診断された.術後6ヵ月のCTで吻合部近傍に嚢胞性病変を指摘された.増大傾向であり,原発切除標本に粘液癌の成分を認めたことから吻合部再発を疑われた.術前放射線化学療法(CRT)を施行後に初回手術後1年で手術を施行した.病理検査で粘液結節内に細胞成分や腫瘍壊死を示唆する所見は認めなかった.術後補助化学療法は施行せず,再手術後2年1ヵ月の現在再発所見を認めていない.本症例は,implantation cyst,または吻合部再発に対するCRTで腫瘍細胞が死滅した病変のいずれかを考えた.CRT後の画像所見で腫瘍縮小はなく,悪性所見や粘液結節内に腫瘍細胞の壊死を示唆する所見を認めなかったことより,稀な良性疾患であるimplantation cystと診断した.

  • 中村 祐介, 福田 啓之, 石田 康生
    2026 年79 巻2 号 p. 82-87
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/01/23
    ジャーナル フリー

    胎児消化管類似癌は胃癌でしばしば認められる予後不良な組織型であるが,大腸癌での報告は少なく,その臨床病理学的な特徴には未だ不明な点も多い.今回われわれは大腸原発胎児消化管類似癌(colorectal adenocarcinoma with enteroblastic differentiation,以下CAED)の2例を経験したため報告する.症例1は75歳女性で直腸S状部の2型病変,症例2は61歳男性でS状結腸の2型病変であった.いずれの症例も病理組織検査で胎児消化管上皮に類似した淡明な腫瘍細胞の増殖を認め,免疫染色で胎児消化管マーカーであるGPC3,SALL4にそれぞれ陽性となりCAEDと診断された.CAEDの報告例はPubMedで検索した限り,自験例を含め25例のみであったが,領域リンパ節転移や遠隔転移を高率に認め,稀ではあるが高悪性度の腫瘍として認識しておくべきと考えられたため報告する.

第102回大腸癌研究会学術集会
編集後記
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