ステンレスに対する淡水の腐食性を評価する指標としてマハラノビス・タグチ法 (MT法) を用いる手法が瓦井らにより提案され, 淡水中の水質成分から算出したマハラノビス距離により, 腐食性の有無が判定可能であることが示されている. しかし, この手法を用いた場合でも, 実際の腐食事例と一致しない例が確認されるなど, 課題が残されている.
ステンレスに対する淡水の腐食性には, 水質成分間の交互作用が有意な影響を及ぼすことが経験的に知られている. そこで, 本研究では, 6項目の水質成分 (pH, 導電率, SO
42-, Cl
-, Mアルカリ度, 全硬度) に加え, 2成分の乗算値を交互作用項目として使用することで, MT法による腐食性判定に,水質成分間の交互作用の影響を考慮する手法を提案し, その有効性評価を行った.
その結果, 交互作用項目の追加により腐食性判定の際の誤判定数を減少させることが可能であること, さらに, 判定に使用する項目を望大粋性のSN比に基づき選択することで, 現状の淡水データの腐食性を精度良く判定できることが確認された. ただし, 望大特性のSN比に基づき選択された項目は, 必ずしも最適な項目の組み合わせではなく, 腐食メカニズムに基づく評価項目の設定など, 今後さらに検討が必要である.
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