Zairyo-to-Kankyo
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53 巻, 11 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 原波形解析による環境劣化のダイナミックス
    竹本 幹男
    2004 年 53 巻 11 号 p. 511-519
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    本稿は, 遅れ破壊や応力腐食割れ (SCC) の AE原波形解析に関する著者の研究結果をレビューし, AEは腐食研究にどんな貢献をなしてきたかを議論する. 高強度や低強度鋼の水素誘起割れにおける微視われのダイナミックスや進展がAE信号の逆解析すなわち原波形解析によって定量的に明らかにされた. しかし, これまで提唱された理論や仮説で, 低強度鋼の水素膨れで見られる極端に早い破壊や内部膨張を説明できるものはないように思われる. オーステナイステンレス鋼の粒内SCCはAEを発生せず, 金属の活性経路に沿うアノード溶解を示唆した. 一方, 溶液中や溶融塩中における粒界SCCはAEを発生した. 環境劣化割れのメカニズムを研究するためには, AEと電位ノイズ解析などのハイブリッド技術が必要である.
  • 山田 實
    2004 年 53 巻 11 号 p. 520-523
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    我が国には, 約8万基の石油タンクがある. その多くは臨海地区に設置されているため, 腐食環境はマイルドであるとは言えない. 2003年では, 50基以上の漏洩事故が発生しており, その内約60%が腐食に起因するものであると報告されている. ここでは, (1) 腐食による漏洩事故の傾向, (2) 腐食と使用年数との関係, (3) タンク底板の腐食損傷評価と防食に関する最近の研究について報告する.
  • 長江 正寛, 桑江 真一, 吉尾 哲夫, 小田 耕平
    2004 年 53 巻 11 号 p. 526-530
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    超臨界水環境下における各種構造用セラミック材料の耐食性および腐食挙動を評価する目的で, 450℃, 45MPa, 2~50hの条件下で窒化ケイ素, 炭化ケイ素, ムライト, アルミナの腐食試験を行った. 耐食性は窒化ケイ素, 炭化ケイ素, ムライト, アルミナ, サファイアの順で高くなった. 非晶質層の生成を伴う孔食と助剤成分の溶出による粒界腐食が窒化ケイ素と炭化ケイ素でそれぞれ観察された. ムライトの腐食挙動は, SiO2の溶出とべーマイト層の生成に特徴付けられた. 高純度アルミナが最も高い耐食性を示し, その腐食挙動は, 粒界相に偏析する不純物成分の選択的溶出に起因する粒界腐食であることが分かった.
  • 廖 金孫, 北條 勝也, 岡田 斎, 屋良 秀夫
    2004 年 53 巻 11 号 p. 531-535
    発行日: 2004/11/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    浄水場に用いたSUS304ステンレス鋼管の腐食原因を究明するため, 腐食発生箇所を調査し, 鋼管中の水質と鋼管内面の付着物を分析した. また, 浄水中における鋼管の自然電位を測定し, 腐食部の形状と形態などを走査型電子顕微鏡にて詳細に観察した. 腐食は管胴部の溶接部に多数観察されたが, 管胴部の母材およびフランジ部にも発生した. これらの腐食のほとんどはすきま腐食であるが, 一部はステンレス鋼の内部に進行し, 孔食状を呈していた. 鋼管中の水は, 塩化物イオン濃度が30ppm以下で比較的マイルドな水質であるが, 亜塩素酸ナトリウム殺菌剤の注入により, 原水中の微量なMn2+が酸化され, MnO2として析出し, 鋼管内面に付着した. MnO2の鋼管内面への付着は, 鋼管の自然電位をSUS304の腐食すきま再不動態化電位以上に上昇させたため, 鋼管の腐食を引き起こしたと考えられる. また, 今回の鋼管の腐食には微生物が関与していなかったが, 微生物腐食部と同様な形態が観察された. この結果より, 腐食部の形状と形態のみから微生物腐食を判断することが困難であると分かった.
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