新しい防食法として, 亜鉛粉末および黒鉛粉末を混合したセメントを鋼に塗布する方法を考案した. 3mass%塩化ナトリウム水溶液中における浸漬試験を行い, 表面観察および電位測定から, 最適な亜鉛および黒鉛の含有率を決定し, アノード分極曲線から防食が可能になる理由について考察した.
防食を達成するには, 亜鉛含有率33mass%以上かつ黒鉛含有率10mass%以上のセメントを用いればよいことを見い出した. 従って黒鉛粉末を混合することにより, 亜鉛粉末のみを混合した場合に比べて, 低亜鉛含有率で鋼を防食できることがわかった.
アノード分極曲線の測定では, 黒鉛含有率を高めるにしたがい, 亜鉛の溶解反応に伴うアノード電流が増加した. これは犠牲アノードとして機能する亜鉛の量が増加するためと思われる.
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