Zairyo-to-Kankyo
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53 巻, 9 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 川俣 孝治
    2004 年 53 巻 9 号 p. 426-430
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物の耐久性向上技術として, 近年注目される電気化学的防食工法について解説する. 電気化学的防食工法には, 電気防食工法, 脱塩工法, 再アルカリ化工法, 電着工法がある. これら工法の原理, 適用範囲, 施工事例などについて述べる.
  • 板垣 昌幸, 山田 祥延, 渡辺 邦洋, 額賀 孝訓, 梅村 文夫
    2004 年 53 巻 9 号 p. 434-439
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    重炭酸イオンもしくは溶性シリカを含む中性溶液中における炭素鋼のアノード反応について, 分極曲線, 表面観察および表面元素分析により解析した. 淡水のような電気伝導度の非常に小さい電解液における分極曲線は, in-situ電気化学インピーダンス測定から溶液抵抗を求め, iRドロップを補正することで決定された. 100ppmの重炭酸イオンを含む溶液中では, 安定性の大きい皮膜が炭素鋼表面に生成する. 一方, 溶性シリカを含む溶液中においても不働態皮膜が形成したが, 分極曲線測定後の電極表面に食孔が確認された. 溶性シリカ溶液中で発生した食孔をレーザー顕微鏡により観察したところ, かさぶたを有するマウンド型孔食となっていることを確認した. また, Glow Discharge Optical Emission Spectroscopy (GD-OES) による表面近傍の元素分析から, 溶性シリカの存在により炭素鋼表面に形成された不働態皮膜, および孔食上のさび中にケイ素が取り込まれていることがわかった.
  • 村上 盛紀, 矢吹 彰広, 松村 昌信
    2004 年 53 巻 9 号 p. 440-445
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    1%CuCl2水溶液を用いて, 呼び径15Aの純銅製配管の腐食試験を行ったところ, T, エルボ, およびエルボの下流側の直管に浸食が発生した. その浸食はエルボの曲がり部の外側よりも, 流速の低い内側表面の方が深かったので, 原因は流速差腐食であると推測された. 高流速域と低流速域の分極挙動, および高流速域から低流速域へ向かって流れるマクロセル電流の測定によってこの浸食が流速差腐食であることが証明された. その腐食機構に基づいた防止対策を試みたところ, エルボの内側曲り部の浸食を高流速域の外側曲り部のそれと同程度までに減らすことができた. 最後に, 加速試験溶液としての1%CuCl2水溶液が, 実際の塩水や水道水を輸送している現場の純銅製配管の腐食をどの程度まで模擬できるのかを検討した.
  • 長 秀雄, 羽毛田 祐一, 池田 隆二, 竹本 幹男
    2004 年 53 巻 9 号 p. 446-450
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    準安定オーステナイトステンレス鋼製IDブレードは, 強度の圧延加工とひずみ誘起マルテンサイトのため弾性異方性と遅れ破壊感受性を示す. はじめにラム波速度の強い異方性から弾性スティッフネスを推定した. レイリー波速度は圧延方向からはずれるに従って400m/sも減少したが, シート速度は500m/sも上昇した. 水素チャージIDブレードは受入れ材の弾性波速度よりも高い速度を示した. 水素予チャージIDブレードの破壊強さは, 圧延方向で受入材の43%, 圧延と直交方向で73%に低下した. IDブレードは, 半径方向張上げ応力のもと, 4.17ksの水素チャージで脆性破壊を起こした. AE音源位置や破面観察から, ひずみ誘起マルテンサイトが遅れ破壊を加速していることが示唆された.
  • 大島 康弘, 福本 倫久, 佐藤 芳幸, 原 基
    2004 年 53 巻 9 号 p. 451-458
    発行日: 2004/09/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    Moを含むNi-10mass%Cr合金について, HClが含まれる雰囲気中, NaCl-KCl-Na2SO4混合塩塗布下での高温腐食挙動を熱重量法, 生成スケールの分析, 電気化学的測定により調べた. とくに, この合金の高温腐食挙動に及ぼすMo添加の効果および雰囲気中のHClの影響について検討した.
    Ni-Cr-Mo合金は, 雰囲気中にHClが含まれる場合, Mo添加量の増加とともに耐食性が向上した. この場合, スケールの内層として保護的なCr2O3層が合金上に生成することが認められた. 初期に生成するスケールを分析した結果, HClを含むガスにさらされたNi-Cr-Mo合金においては, 6ks以内の初期段階において, スケール/合金界面にMoO2が生成し, その後Cr2O3層が成長していくことが明らかとなった. 電気化学的測定から, 雰囲気中にHClが含まれる場合, HClが含まれない場合に比べてアノード電流の上昇が小さくなることがわかった. さらに, 雰囲気にH2Oを導入した場合にも同様にアノード電流が抑制されることを確認した. したがって, 合金がHClと塩中O2-の反応により生じるH2Oとアノード酸化反応を起こし, 保護的なCr2O3層を生成する機構が提案された.
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