Zairyo-to-Kankyo
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55 巻, 12 号
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展望
解説
  • 田中 誠
    2006 年 55 巻 12 号 p. 526-531
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    鋼鉄道橋の維持管理においては, 防食仕様 (塗装) の適切な適用が求められている。防食塗装の有効性や寿命の予測を適切に行うためには, 実構造物における塗膜劣化要因・劣化パターンを明確にしておく必要がある。そこで, 多くの実構造物を対象に, 塗膜劣化状況の調査を実施した。その結果, 塗膜劣化は, 構造物の架設後経年や架設環境の違いを因子として, 塗膜下腐食, 塗膜割れ, 塗膜はがれなどのパターンに分類できることが示された。
論文
  • 大村 朋彦, 小林 憲司, 宮原 光雄, 工藤 赳夫
    2006 年 55 巻 12 号 p. 537-543
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    オーステナイト系ステンレス鋼の水素脆化感受性を高圧水素ガス環境および陰極チャージ下での低ひずみ速度引張試験 (SSRT, Slow Strain Rate Testing) により調査し, その試験結果をSSRTと同環境において鋼材中に吸蔵される表面水素濃度で整理した. 水素脆化感受性は高圧水素ガス環境および陰極チャージに関わらず, 表面水素濃度で整理できた. 限界表面水素濃度は304L鋼では10ppm以下, 316L鋼では約100ppmであった. 316Lの限界値は45MPaの高圧水素ガス環境で鋼材中に吸蔵される水素濃度よりも高く, この結果は高圧水素ガス環境において316Lが十分な耐水素脆性を有することを示すと考えられた.
  • 兒玉 歩, 池田 寛子, 中瀬 智穂, 増田 尊子, 北原 惠一, 荒井 貞夫, 小沼 良雄, 林 宏爾, 山下 順三, 會川 義寛
    2006 年 55 巻 12 号 p. 544-548
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    アノード電位ステップ応答電流を解析することにより, Ni電極表面の酸化膜の形成機構を検討できることを示した.
    過渡電流は式i(t)=i0[1+(t/τ)]-1/2で表され, その1/i2 vs. tプロットから各電極電位φにおける時定数τが求まった. この時定数τおよびi02τ vs. φプロットから, 形成酸化膜の厚さと, 膜内イオンの総合移動度が得られた. 各プロットはいずれもよい直線をなし, 本解析法の妥当性を示した.
    Ni電極表面には, 電極電位φがφc=0.02 V vs. SCEよりアノード側にシフトすると酸化膜が形成されはじめ, その厚さは0.2~0.4 V vs. SCEの範囲において約1.3 nmになることがわかった. また, この膜内イオンの総合移動度はμ=9.9×10-20m2V-1s-1であった.
  • Hitoshi Yashiro, Masaru Kawata, Masahiko Itoh, Kenji Machizawa, Ken-ic ...
    2006 年 55 巻 12 号 p. 549-553
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    吸収式冷凍機においてインヒビターの添加による腐食制御は極めて重要な技術であることから, 428Kにおいてモリブデン酸塩と硝酸塩を含む17.3mol/kg LiBr+0.1mol/kg LiOH溶液中での鉄の不動態化挙動を, 電気化学的測定と高周波グロー放電発光分光分析 (rf-GDOES) によって検討した. その結果, モリブデン酸塩はこの系における主要インヒビターとして位置づけられ, モリブデン酸塩が孔食を誘発することなく鉄を不動態化できることが示された. しかし, モリブデン酸塩の酸化力はあまり高くないため, 鉄上に十分早く不動態被膜を形成させることはできない. これは硝酸塩を添加することによって補うことが可能であり, モリブデン酸塩と硝酸塩を両方含む溶液中では鉄は素早く不動態化する. ただし, 特にモリブデン酸塩濃度が低い場合, 硝酸塩は孔食を誘発しうることに注意しなければならない. モリブデン酸塩と硝酸塩を両方含む溶液中で生成する不動態被膜は, モリブデン酸塩のみを含む溶液中で生成する被膜よりずっと薄いことがわかった.
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