アノード電位ステップ応答電流を解析することにより, Ni電極表面の酸化膜の形成機構を検討できることを示した.
過渡電流は式
i(
t)=
i0[1+(
t/τ)]
-1/2で表され, その1/
i2 vs.
tプロットから各電極電位φにおける時定数τが求まった. この時定数τおよび
i02τ vs. φプロットから, 形成酸化膜の厚さと, 膜内イオンの総合移動度が得られた. 各プロットはいずれもよい直線をなし, 本解析法の妥当性を示した.
Ni電極表面には, 電極電位φがφ
c=0.02 V vs. SCEよりアノード側にシフトすると酸化膜が形成されはじめ, その厚さは0.2~0.4 V vs. SCEの範囲において約1.3 nmになることがわかった. また, この膜内イオンの総合移動度はμ=9.9×10
-20m
2V
-1s
-1であった.
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