Zairyo-to-Kankyo
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55 巻, 8 号
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展望
解説
  •  
    松島 巖
    2006 年 55 巻 8 号 p. 332-338
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    過去半世紀におけるわが国の社会資本構造物及び建築物の防食技術の発展を、社会の変化及びそれによって生じたニーズと関連付けて概説した. これは現在の防食技術の歴史的背景を新世代に伝承することを意図している. 短い歴史的概説に続いて, 10項目のトピックについてより詳細に述べた. 取り上げたのは, 無塗装耐候性鋼の利用, 初期における埋設パイプラインの電気防食, 鉄筋の腐食を避けるためのコンクリートの品質管理, 高力ボルトの遅れ破壊対策, 水配管に用いる耐みぞ状腐食電縫鋼管の開発, 建物周辺の埋設配管の早期腐食対策, 長大海上橋梁への重防食塗装系の適用, 海水飛沫帯防食のためのライニング, 『荒廃するアメリカ』 (P. Choate, S. Walter著) の衝撃的教訓, 及びアメニティのための建築物外装への耐さび性ステンレス鋼とチタンの使用である.
論文
  • ―家電製品を模擬した腐食試験法の開発 (1)―
    藤井 和美, 大橋 健也, 梶山 浩志, 藤田 栄
    2006 年 55 巻 8 号 p. 349-355
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    家電製品の使用環境を模擬できる腐食試験法の開発に先立ち, 使用されている表面処理鋼板の腐食実態が調査された. 国内4地域から家電製品を回収し, 家電製品が使用されている環境の温湿度や家電製品に付着していた塩分量も測定した. エアコン室外ユニットでは, 離岸距離や設置場所の影響が認められた. また, エアコン室外ユニットや洗濯機では, 付着塩分量が腐食速度を支配する主要因子であった. 一方, 冷蔵庫の腐食は軽微であった. 家電製品の種類によって使用されていた環境の付着塩分量や温湿度が異なっていた. これら使用環境の違いが家電製品に使用されている表面処理鋼板の腐食状況の違いに影響を及ぼしていると考えられる. 家電製品の使用環境を模擬できる腐食試験法としては, 付着塩分量を広範囲に制御して腐食速度を評価することが重要である. また, 絶対湿度が一定で温湿度を変化させ, 湿潤率を50%以下に設定した試験環境が望ましい.
  • ―家電製品を模擬した腐食試験法の開発 (2)―
    梶山 浩志, 藤田 栄, 藤井 和美, 酒井 政則
    2006 年 55 巻 8 号 p. 356-363
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    環境への配慮から家電製品に使用されている表面処理鋼板のクロメートフリー化を進めている. 本研究は, 今後家電製品に使用されるクロメートフリー表面処理鋼板の耐食性を適正に評価するため, 適正な腐食試験法を開発することを目的とした. 従来の腐食試験法 (SST, JASO M609-91) は, 材料の腐食形態や耐食性序列の点で実環境における腐食との相関が低かった. 従来の腐食試験法によりクロメートフリー鋼板を評価する場合, 実環境を反映しない耐食性評価をしてしまう危険性がある. そこで, 実環境における家電製品の腐食実態と従来の腐食促進試験法の課題を踏まえ, 実環境との相関が高い家電用表面処理鋼板の新腐食試験法ACTE (Accelerated Corrosion Test for Electrical appliances) を開発した. 新試験法は塩分付着工程と乾湿繰り返し工程とで構成される. 新試験法の特徴は, 実環境を模擬した試験条件 (人工海水の使用, 絶対湿度一定) であることと, 試験条件を変化させて主要腐食因子 (付着塩分量など) の依存性のデータを取得することにより, 広範囲にわたる使用環境における材料の耐食寿命推定が可能であることである. 新試験法を適用することにより, 実環境を反映したクロメートフリー鋼板の適正評価が可能となった.
  • 加賀山 浩司, 米津 明生, 長 秀雄, 小川 武史, 竹本 幹男
    2006 年 55 巻 8 号 p. 364-370
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    本論文は, アコースティック・エミッションと腐食電位揺動を測定して調べた二相ステンレス鋼の363K, 35%MgCl2溶液中における環境助長割れのメカニズムを議論した. 著者らは, 巨視的き裂の成長特性が測定できる新しい破壊力学試験装置を使用した. 二相ステンレス鋼は, この溶液中においては, オーステナイト粒のAPC-SCCよりは, フェライト粒の遅れ破壊を受けることがわかった. 試験期間中には強力なAEが検出されたが明瞭な腐食電位揺動は検出できなかった. AE音源はき裂先端から1~3mm離れた, 遅れ微小破壊の発生する高静水圧部に標定された. 原波形解析は, 高速の脆性破壊を明らかにした. 破面観察は, 水素によるフェライト相の遅れ破壊とそれに続くオーステナイト相の延性破壊を支持した.
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