Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
60 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
展望
解説
速報論文特集-材料と環境2011
  • 広瀬 望, 武邊 勝道, 大屋 誠, 佐藤 誠
    2011 年 60 巻 12 号 p. 524-527
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    鋼材の大気腐食は海岸部で巻き上げられ,橋梁周辺に輸送された海塩粒子の量に依存する.しかしながら,大気中に浮遊する海塩粒子が鋼材に付着することによって,鋼材表面の付着Cl量を増加させるプロセスは明らかとなっていない.
    そこで,本研究の目的は観測結果に基づいて,大気中に含まれるCl濃度と鋼材表面に付着したCl量との関係を明らかにするとともに,地上の風向,風速が付着Cl量に及ぼす影響を明らかにすることである.
    その結果,大気中のCl濃度と付着Cl量に正の相関があること,付着Cl量は地上風の風速に強く依存することがわかった.したがって,鋼材表面に付着するCl量を正しく求めるためには,大気中のCl濃度だけでなく,地上風の状況を考慮しなければならない.
  • 田中 一弘, 岩崎 隆
    2011 年 60 巻 12 号 p. 528-531
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    コンクリート構造物に対する電気防食工法は外部電源方式が主流となっているが,通電調整を必要としない流電陽極方式が注目されている。しかしながら,流電陽極方式の防食効果を定期的かつ継続的に確認した事例は少ない.本報は,コンクリート道路橋に適用したアルミニウム系流電陽極パネル方式の施工事例と防食特性について報告する.8カ月経過後のアルミニウムパネルの外観に大きな変状は認められなかった.また,電気防食基準を常時満足しており,良好な防食状態を維持していた.
  • 村上 弘良
    2011 年 60 巻 12 号 p. 532-534
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    本論文は,原子力冷却材環境下における応力腐食割れき裂進展モデルの新たなアプローチについて報告する.多くの応力腐食割れ試験が1970年代より実施されてきた.一部のき裂進展速度は,広範囲にばらついていることが観察されている.既に報告されているき裂進展メカニズムは広範囲の応力拡大係数における予測に集中している.多くの実験結果のレビューにもとづき,応力-材料の組み合わせからなる力学系および材料-環境の組み合わせからなる化学系が協調・協同し連成するき裂成長モデルを提案した.連成は,2つの系に共通して存在する材料の状態が時系列的に2段階で遷移することにより生じる.新たな提案による方法の場合,応力腐食割れき裂進展過程において複数の律速段階の存在が可能となり実験で観察されているばらつきの説明が可能となる.
論文
  • 貝沼 重信, 宇都宮 一浩, 石原 修二, 内田 大介, 兼子 彬
    2011 年 60 巻 12 号 p. 535-540
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    大気腐食環境で機能する鋼部材の犠牲陽極防食技術を開発するための基礎的検討を行った.本技術には犠牲陽極材にAl-Zn多孔質焼結板を用いた.また,犠牲陽極反応に必要な水分を継続的に供給・保水するために架橋型繊維シートを用いた.
    本技術の犠牲陽極防食の効果を把握することを目的として,電流,電位および犠牲陽極作用の有効範囲について電気化学試験を実施した.また,本技術のモデル試験体を用いて,大気暴露試験を実施した.その結果,多孔質焼結板と架橋型繊維シートを用いた本技術の犠牲陽極作用の有効性を確認した.
  • 本田 明, 増田 薫, 建石 剛, 加藤 修, 井上 博之
    2011 年 60 巻 12 号 p. 541-552
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/05/31
    ジャーナル フリー
    放射性廃棄物の地層処分施設とその周辺の化学的条件の形成に果たす硝酸イオン(NO3)と金属との化学反応の役割を決定するために研究を行っている.高硝酸塩濃度条件でのNO3と金属の化学的相互作用を理解し,既報のモデルを改良するために,閉鎖系で,高アルカリ性かつ高NaNO3濃度の水溶液を用いた炭素鋼の浸漬試験及び自然浸漬電位の測定試験を実施した.またモデルの構成要素であるNO3のNO2への還元反応の速度式を決定するために,高硝酸塩濃度の水溶液中で,炭素鋼を作用電極としたカソード定電位電解実験を実施した.
    カソード定電位電解実験の結果から,既報モデルで採用した[NO3]に対して線形のNO3のNO2への還元反応速度式は,高NaNO3濃度条件(≧1 mol/dm3)では,過大な反応速度を与えることがわかった.これを改良するため,NO3は,電荷移動に先立ち炭素鋼表面に Langmuir 型の吸着をすると仮定して,[NO3]に対して非線形の反応速度式を導出し,電位0.85 V vs. SHE,pH 12.5の条件での実測値を用いてカーブフィッティングによりパラメーターを決定した.この新たに決定したNO3のNO2への還元反応速度式をモデルに組み込み,高NaNO3濃度域でのアンプル試験及び自然電位測定試験の結果を解析し,自然浸漬電位,化学種量の変化の傾向及び化学種量の値自体ともおおむね再現することができた.
feedback
Top