Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
60 巻, 9 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
展望
解説
論文
  • 本岡 隆文, 山本 正弘
    2011 年 60 巻 9 号 p. 394-401
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    原子力及び生体材料に適している金属材料について,水酸化ナトリウム溶液における腐食挙動を調査し,熱力学データから予測される安定化学種との対応を検討した.試験材はジルコニウム,チタニウム,タンタルとニオブである.これらを0.1~6.1 mol/dm3水酸化ナトリウム溶液に48時間浸漬した後,重量減量測定,X線回折分析とXPS分析を実施した.また,動電位分極測定を水酸化ナトリウム溶液で実施した.腐食速度はNb>Ta>Ti>Zrの順序で大きかった.分極曲線では,Ti,Ta,Zrは不働態化すること,Nbは腐食が激しいことが示された.X線回折の結果,Nbはニオブ酸塩として溶解したことがわかった.XPSスペクトルは,Zr,TiはZrO2,TiO2,の酸化皮膜を表面に形成していることを示した.SEM写真では,試験材は均一腐食していることが示された.熱力学データから予測される安定化学種と腐食試験と表面分析結果より想定される安定化学種に異なりが見られたことから,アルカリ域での熱力学データの充実が望まれる.
  • 伊藤 公夫, 若井 暁, 鶴丸 博人, 飯野 隆夫, 森 浩二, 内山 拓, 三木 理, 原山 重明
    2011 年 60 巻 9 号 p. 402-410
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    嫌気性条件(N2(80%)+CO2(20%))の海水培地において,金属鉄を電子供与体として,CO2を電子受容体かつ炭素源として利用可能なMPAは,純鉄試験片を腐食した.主要な腐食生成物はFeCO3であった.このMPAが,同様に金属鉄を電子供与体として利用可能なSRBと共存することで,MPA単独の場合よりも腐食が約2.3倍促進されることが明らかになった.MPAとSRBが共存する場合の腐食生成物も,MPA単独による腐食生成物と同様にFeCO3であった.
    また,嫌気性条件(N2(80%)+CO2(20%))での腐食速度と,引き続く好気性条件(空気下)での腐食速度を比較した結果,MPA単独,あるいは,MPAとSRBが共存する場合の腐食速度は,嫌気性条件(N2(80%)+CO2(20%))の方が高い値となった.
    本研究で腐食試験に使用したMPAとSRBは同一の原油タンクのスラッジから単離されたものである.油井など高濃度のCO2とClが存在する実際の嫌気性腐食環境においては,金属鉄を電子供与体として,CO2を電子受容体や炭素源として利用可能なMPAと同じく金属鉄を電子供与体として利用可能なSRBが共存している可能性も想定される.したがって,金属鉄を電子供与体として利用可能なMPAとSRBの共存による微生物腐食に対しても留意すべきと考えられる.
  • 中村 真理子, 齋藤 博之, 東 康弘, 澤田 孝, 半田 隆夫, 工藤 保, 渡辺 正満, 松本 守彦
    2011 年 60 巻 9 号 p. 411-416
    発行日: 2011/09/15
    公開日: 2012/02/22
    ジャーナル フリー
    通信線路設備は,鉄鋼などの金属で構成されている.鋼より線の防食対策のために,Zn被覆が利用されてきた.しかしながら,海岸地域において,Zn被覆鋼より線の腐食が認められた.これは,海から飛来してくる海塩粒子が鋼より線の表面に付着することが原因であると考えられている.そこで,海塩粒子から防食するために,Znより耐食性の高いAlが用いられるようになったが,海岸近傍においてはAl被覆においても腐食が起こる事態となった.この現象は,従来の研究によれば,雨水を防ぐために巻かれているシーリングテープと鋼より線のすき間が原因とされている.日本は,海に囲まれた地理的条件下にあるため,最も効果的な被覆方法についての検討が求められる.そこで,3種類の被覆を施した鋼より線を,23年間三宅島において暴露試験を実施することにより,有効な防食対策について検討を行った.
feedback
Top