Zairyo-to-Kankyo
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61 巻, 10 号
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展望
解説
  • 岡田 信宏
    2012 年 61 巻 10 号 p. 376-383
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    亜鉛めっき鋼板では,切断端面の亜鉛が早期に消失する端面腐食と呼ばれる問題がある.端面腐食は,薄い液膜が付着した環境下でのガルバニック腐食であると考えられ,このメカニズムを解明するための数値解析モデルを開発した.薄液膜下の腐食速度は,大気からの酸素供給量により律速されるため,液膜中の酸素濃度を考慮する必要がある.また,従来の数値解析モデルでは,電位と電流密度分布の情報しか得られない.腐食メカニズム解明のためには,イオン濃度,pH分布や腐食生成物分布を知ることが重要であり,これらを考慮したモデルを開発した.本モデルによる計算方法と計算結果例について詳しく報告する.
[材料と環境2012 速報論文特集]
ノート
  • 武邊 勝道, 後藤 和也, 北尾 昴平, 大屋 誠, 広瀬 望
    2012 年 61 巻 10 号 p. 397-401
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    鋼橋を取り巻く腐食環境を表す指標としては,飛来塩分量が広く用いられている.しかし,塩分が鋼板面上に留まる程度こそが腐食に直接作用すると考えられる.本研究では,2012年の2〜5月にかけて,塗装橋梁の桁内鋼板面へのCl付着速度および結露水によるCl洗い流し速度の分析を行い,Clの桁内鋼板面上の滞留時間の解析を行った.その結果,滞留時間は30〜700日と算出された.今後,分析を継続し,1年間の分析結果に基づいて滞留時間を計算する必要があると考えられる.
論文
  • 迫 良輔, 酒井 潤一
    2012 年 61 巻 10 号 p. 402-409
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    クロメート代替原料としてフェノール樹脂の皮膜形成と耐食性について検討した.樹脂の示差熱分析,皮膜の表面エネルギー測定,XPS,FT-IRを用いた皮膜特性解析を実施して亜鉛めっき鋼板上での皮膜形成のメカニズムと耐食性に及ぼす焼付け温度とリン酸添加の影響を明確にした.また,皮膜の分極測定結果から耐食性のメカニズムを推定した.
    80℃では凝集状態の樹脂が,熱エネルギーによってほぐれながら130℃以上の温度で自己架橋して緻密な皮膜を形成し,形成された皮膜は良好な耐食性を示すことがわかった.また,樹脂水溶液にリン酸を添加すると自己架橋温度以下の120℃焼付けでも良好な耐食性を示した.リン酸は樹脂の架橋を促進しており,また皮膜中に不溶化して取り込まれていることが確認された.
    架橋反応によって形成された緻密な皮膜がアノード反応とカソード反応を抑制し,さらに皮膜に取り込まれたリン酸がさらなる腐食抑制に働いたと考えられる.
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