Zairyo-to-Kankyo
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62 巻, 1 号
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展望
解説
  • 中村 真理子
    2013 年 62 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2013/01/15
    公開日: 2013/06/26
    ジャーナル フリー
    通信線路設備は,鉄鋼などの金属で構成されており,屋外に設置されるものも多い.三宅島で長期間にわたる暴露試験を試みたのは,鋼材の腐食を防ぐために施した防食被覆が,沿岸部という金属には過酷な地域において局部的な腐食を抑えることができるのかを調べるためである.対象は,通信ケーブルを電柱によって地上に架渉するために使用されているつり線とした.つり線を構成する鋼より線には,防食対策のために,Zn被覆が利用されてきた.しかしながら,海岸地域において,Zn被覆鋼より線の腐食が認められた.これは,海から飛来してくる海塩粒子が鋼より線の表面に付着することが原因であると考えられている.そこで,海塩粒子から防食するために,Znより耐食性の高いAlが用いられるようになったが,海岸近傍においてはAl被覆においても特定箇所で腐食が起こる事態となった.これまでに鋼より線の防食被覆として使用されてきたZn,Al被覆を含めた3種類の被覆を施した鋼より線を23年間三宅島において暴露試験を実施し,防食対策として犠牲アノードテープを巻くことが有効であることを明らかにした.
論文
  • 中山 茂吉, 杉原 崇康, 能登谷 武紀, 大堺 利行
    2013 年 62 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2013/01/15
    公開日: 2013/06/26
    ジャーナル フリー
    スズ酸化物を状態別に定量する新しいボルタンメトリー法を開発した.この方法では支持電解質溶液としてアンモニア緩衝液(0.5 M NH4OH+0.5 M NH4Cl) を用いることが特徴であり,電流-電位曲線の高電位側からSnO,水和したSnO2 (SnO2nH2O) の順で0.3 V程度分離した還元ピークが得られる.電解液中のNH4イオンにはSnO2nH2Oの還元反応を容易に進行させる能力があった.一方,従来法でよく用いられるホウ酸緩衝液や十分なイオン濃度の1 M KClなどを電解液にすると,SnOの還元ピークは現れるものの,SnO2nH2Oの方は水素発生の影響を受けて不明瞭となった.開発法の活用によって,大気腐食を想定して加熱したスズ板表面には,当該の2種類の酸化皮膜が生成することが分かった.併せて100℃を超える温度ではSnOが,また100℃以下の高湿条件ではSnO2nH2Oが主生成物であること,および温度や湿度の上昇によって生成量が増加することを確認した.さらには,還元ピークの電気量から算出した酸化膜厚が,FIB/SEMによる断面観察の結果から読み取った値とほぼ一致することを明らかにした.
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