本研究では動電位分極曲線と定電流分極を用いた淡水中における銅の腐食診断法を開発した.淡水を模擬した様々な組成の試験水において,以下の手順で銅の腐食診断を行った.(銅の動電位分極曲線の測定→500 μA cm
−2における10分間の定電流分極→定電流分極における電位変化に基づく銅の溶解形態の診断.)以上の腐食診断より,腐食マップ3Dを作製した.腐食マップ3Dは,第1軸に500 μA cm
−2の定電流分極における10分後の電位,第2軸に銅の動電位分極曲線0.2 V vs. SSEにおける電流密度,第3軸に試験溶液のpHで構成されている.淡水を模擬した試験水を腐食マップ3Dにより解析することで,試験水中における銅の溶解形態を4種類(全面腐食,全面マイクロピット,孔食,腐食なし)に分類できることが明らかとなった.本研究で提案する腐食診断法により,水質が不明な淡水を腐食マップ3Dにより解析することで,銅の腐食診断が可能であると考えられる.
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