循環器理学療法学
Online ISSN : 2758-0350
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原著論文
  • 佐藤 祐介, 杉谷 歩
    2026 年5 巻1 号 p. 1-11
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2025/09/25
    ジャーナル フリー

    〈目的〉

    経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)を施行される大動脈弁狭窄症(AS)患者への効果的な循環器理学療法を探求するため,サルコペニアがTAVI後早期の生活の質(QOL)変化に関連する要因か否かを明らかにする.

    〈方法〉

    AS患者41例を対象に,TAVI前のAWGS基準2014に基づくサルコペニア,ASの病態,ならびに身体機能を評価し,TAVI前後のQOL変化との関係を検討した.

    〈結果〉

    サルコペニアを有する患者は身体機能が有意に低値であったが,QOL変化とは関連しなかった.重回帰分析では,有症候性が身体的QOLの低い変化量,および精神的QOLの高い変化量と独立して関連したが(adjusted R2=0.149 および 0.115)サルコペニアは関連しなかった.

    〈結論〉

    サルコペニアの有無に関わらず,TAVI前に有症状の患者では身体的QOL改善に向けた循環器理学療法が重要と考えられた.

  • 月城 一志
    2026 年5 巻1 号 p. 13-27
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2026/03/18
    ジャーナル フリー

    〈目的〉開胸心臓手術患者におけるSARC-F・SARC-Calfと入院関連能力低下(HAD)との関連を明らかにし,予測因子としての有用性を検討すること.

    〈方法〉74例を解析対象とした.SARC-F・SARC-Calfをカットオフ値に基づき2群に分類し,傾向スコアを用いた逆確率重み付け(IPW)法を適用後,修正ポアソン回帰分析とROC解析を行った.

    〈結果〉SARC-F≧4点(RR:2.80,95%CI:2.26-3.45,p<0.001,感度43.0%,特異度95.0%)およびSARC-Calf≧11点(RR:1.96,95%CI:1.42-2.69,p<0.001,感度67.0%,特異度84.0%)はHAD発生の独立したリスク因子であり,いずれも良好な予測能を示した.

    〈結論〉術前のSARC-F・SARC-CalfはHADと有意に関連し,HADの予測因子として有用である可能性が示唆された.

研究論文
  • 磯邉 崇, 村重 美佳, 鈴木 貞興, 石原 剛
    2026 年5 巻1 号 p. 29-41
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2025/07/16
    ジャーナル フリー

    本研究では,心臓血管外科手術後の早期離床における術後出血傾向の影響を明らかにすることを目的とし,101例の手術患者を対象に調査を行った.術後1日目の離床状況に基づき,離床可能群と離床困難群に分類し,さらに離床困難群を術後出血傾向群と出血傾向以外の要因群に分類した.その結果,術後1日目の出血傾向が離床困難と関連していること,およびヘモグロビン値が8.9 g/dL以下の場合には離床が困難である可能性が示唆された.ただし,患者の個別の状況や輸血・輸液の影響を総合的に評価する必要があり,特に早期離床においてはこれらの要因を考慮する必要がある.

  • 石岡 新治, 横田 純一, 森川 夏香, 渡邊 菜緒, 白川 三桜, 川岸 亮, 関 栞, 成田 憲紀, 市川 博章, 横山 公章, 富田 ...
    2026 年5 巻1 号 p. 43-54
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    〈目的〉経カテ-テル的大動脈弁留置術 (Transcatheter Aortic Valve Implantation:TAVI) 後における入院関連機能低下 (Hospitalization-Acquired Functional Decline:HAFD) と睡眠の質との関連について検討した.

    〈方法〉2021年4月から2024年4月にTAVIを施行し, 術前後に検査が可能であった157例を解析した. HAFDの定義は術後のShort Physical Performance Battery (SPPB) が術前よりも1点以上低下とした. 睡眠の質はJapanese version of The Richards-Campbell Sleep Questionnaire (J-RCSQ) を使用し, 術後1日目から術後3日目まで調査した. 統計解析は従属変数をHAFD, 独立変数をJ-RCSQ, 年齢, 身体フレイル, 術前SPPB, 術前Mini-cog, 術後せん妄とした多変量ロジスティック解析を実施した. なお, 多変量解析は, せん妄患者を包含したフルモデルおよび除外したサブモデルの2モデルで解析した.

    〈結果〉HAFD発生率は40.1% (63例) であり, 2群比較 (HAFD vs Non-HAFD) にて, HAFD群の術後1日目のJ-RCSQはNon-HAFD群よりも有意に低値であった (49.4±32.8 mm vs 63.8±30.8 mm, P=0.008). 術前SPPBは, HAFD群でNon-HAFD群よりも有意に高値であったが (9.2±2.5点 vs 8.1±3.5点, P=0.033), 術後せん妄の発生率は2群間で差はなかった (10.5% vs 13.8%, P=0.612). フルモデル (OR=0.981, 95%CI:0.967-0.995, P=0.007), サブモデル (OR=0.982, 95%CI:0.966-0.997, P=0.018) ともに術後1日目のJ-RCSQはHAFDと有意な関連がある独立変数であった. HAFDの有無に関連する術後1日目J-RCSQにおけるカットオフ値は56.0 mmであった.

    〈結論〉TAVI術後1日目のJ-RCSQはHAFDの予測因子であった.

症例報告
  • 幅口 亜紀, 片野 敏唆, 長岡 凌平, 本間 傑, 沼澤 暸, 鴨田 樹, 山埜 光太郎, 神津 英至, 大堀 克彦, 矢野 俊之, 片寄 ...
    2026 年5 巻1 号 p. 55-66
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2025/07/25
    ジャーナル フリー

    〈緒言〉

    周産期心筋症(PPCM) は妊娠後期から産褥期に発症する稀な疾患である.今回,PPCM患者に対する運動耐容能改善と家事・育児復帰を目指した理学療法介入を検討した.

    〈症例〉

    30歳代女性.第2子出産後にPPCM発症で入院.心不全代償化後に産後の運動禁忌や循環動態に注意し,有酸素性運動や筋力トレーニングを実施した.児の体重相当の重錘を用いた家事・育児動作評価と安全域設定を行った.

    〈成績〉

    心不全増悪なく第27病日に退院した.6分間歩行距離(436→529 m),左室駆出率(26.6→53.2%),心不全知識尺度(11→15点),エジンバラ産後うつ病質問票得点(不安3→1点;抑うつ2→0点) が改善した.退院後,心不全の増悪なく家事・育児復帰を達成した.

    〈結論〉

    PPCM患者への理学療法は運動耐容能向上,心理状態改善,心不全再入院予防に寄与する可能性が示唆された.

  • 髙橋 直哉, 五十嵐 達也, 橋本 亜佐美, 小林 壮太, 森下 篤
    2026 年5 巻1 号 p. 67-74
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2025/08/14
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    〈目的〉

    頻回な通院が困難であった冠動脈バイパス(Coronary artery bypass graft:CABG)症例に対し,退院後の身体活動の評価と運動指導を行った症例の経過を検討した.

    対象と方法:2枝病変の急性心筋梗塞後,X−21日にCABGが施行され,X日に自宅退院となった40代の男性.症例は運動習慣がなく,入院中は臥床傾向であった.自宅が遠方で頻回な通院が困難であったため,外来通院時に活動量計による日々の身体活動量を評価し,身体活動のフィードバックと運動指導を実施した.3週に1回の外来通院にて30分/日の中高強度活動を目標値として指導した.

    〈結果〉

    X+3/+6/+10週の順に座位活動,低強度活動,中高強度活動はそれぞれ,463.0/421.4/387.7分/日,138.1/202.0/260.0分/日,2.1/20.1/26.9分/日であった.目標値は達成しなかったが,X+15週から業務内容を調整した上で時短勤務が開始となった.

    〈結論〉

    低強度活動,中高強度活動は経過に従い漸増した一方で,目標値には達成しなかった.今後は,自己効力感やアドヒアランスをより詳細に評価する必要があると考える.

  • 木本 祐太, 田平 一行, 大西 教平, 高橋 尚暉, 杉谷 竜司, 白石 匡, 東本 有司, 篠崎 広一郎
    2026 年5 巻1 号 p. 75-82
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2025/10/29
    ジャーナル フリー

    〈背景〉

    集中治療後症候群(PICS)の症例に対して身体・認知・精神機能に対する介入により,一定の効果が得られたため報告する.

    〈症例〉

    40歳代,女性.COVID-19陽性後に心原性ショックとなりICUへ入室した.ICU退室時にMRC score 36点,MoCA-J 17点,HADS 抑うつ 11点でありPICSと判断した.理学療法では筋力運動と神経筋電気刺激療法,離床練習を行った.作業療法では記銘課題を用いて認知機能の賦活を図った.運動強度は精神障害を考慮して調整した.退院時にはMRC score 48点,MoCA-J 29点と改善したが,HADS 抑うつ 16点と抑うつ症状は残存した.

    〈結論〉

    精神機能への介入方法の検討や退院後のフォローが課題となった.身体・認知機能は良好な経過が得られた.

  • 橋本 葵, 川野 拓紀, 古谷 直弘, 木村 雅彦
    2026 年5 巻1 号 p. 83-92
    発行日: 2026/03/31
    公開日: 2026/04/22
    [早期公開] 公開日: 2026/03/18
    ジャーナル フリー

    〈はじめに〉がん及び多発大動脈瘤の告知と経過により抑うつ症状を生じたが,多職種連携を通して抑うつの病期に応じた理学療法を実施し,周術期の身体機能の維持と日常生活動作(ADL:Activities of Daily Living)を再獲得した症例を報告する.

    〈症例情報〉70歳代女性で,S状結腸穿孔で手術を施行した.入院時CTで多発大動脈瘤を認め,全弓部大動脈人工血管置換術と術後の化学療法が必要であった.

    〈臨床経過〉病名告知後,抑うつ症状が顕在化した.臨床心理士の助言を得て急性期は支持的に関わり,亜急性期は軽負荷の運動介入を行った.第28病日にTARを施行し,抑うつ症状が続いたが,術後2週時点では術前同等の身体機能を再獲得した.第58病日に自宅退院した.

    〈結論〉抑うつ症状が理学療法の遂行に影響したが,病期に応じた理学療法と多職種・家族との連携により,身体機能とADLの再獲得が可能であった.

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