家庭科における食物学習の効果を高める一つの手段として,量感覚を身につけさせることの重要性に着目し,まず重量知覚及び食品重量判別能力の年齢的発達及び男女差について,基本的に明らかにする目的で調査研究を行った。調査対象は島根県出雲部の小・中・高・大学の男女児童,生徒,学生合計843名である。調査方法としては,検査器による重量順位弁別テスト,5種の食品による重量順位弁別テスト及び重量推測テストを実施し,学年別,男女別にその結果を比較した。これらのテスト結果を総合して考察すると,重量知覚そのものは今回の調査対象の最低学年である小学校2年生までにほぼ完成しており,男女差もないものと推定された。しかし食品を用いた2種のテスト結果には,学年的発達及び男女差の存在が認められた。このことは,食品の重量判別能力が単に重量知覚のみによるものでなく,そこに何らかの要因が存在していることを示唆するものである。
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