日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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13 巻, 3-4 号
(3・4)
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 福田 隆真
    原稿種別: 本文
    1989 年 13 巻 3-4 号 p. 79-85
    発行日: 1989/07/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小中学校の美術科教育においては,領域として,表現と鑑賞があり,表現においては,絵画,彫塑,構成・デザイン,工作・工芸といった分野に分類できる。本稿では,美術教育における,構成やデザインの意義について考察するものである。構成は,その歴史的由来がバウハウスの予備課程にあるが,今世紀になって生みだされた,造形要素や視覚言語による色や形の系統的学習を基本としている。また,デザインは現実社会との対応から,構成の基礎的内容を応用した,問題解決学習と言える。小中学校の美術教育の構成は無目的で純粋な造形感覚,造形技術,さらには造形的創造力の育成を目的としているので,教材としては,抽象的な内容が多いが,デザインの具体的な教材と関連させながら行われている。これらの教材から抽出される造形要素や視覚言語の教育は単に美術教育という範囲に留まらず,視覚リテラシーとしての教育内容を負うものである。
  • 前田 健悟
    原稿種別: 本文
    1989 年 13 巻 3-4 号 p. 87-92
    発行日: 1989/07/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    熱の本性に関しては,生活環境における種々の熱現象は熱素的な考え方でそれなりに説明できるという特徴がある。このことと熱の科学史を考慮すれば,成人においても児童が発達過程で示す多様な思考形態が十分に存在すると推測される。この論文では,教育学部学生の熱概念認識の実態を調査し,その結果から,熱の考え方の変容過程を明らかにすることを試みた。調査の結果から,まず小学校における体膨張と熱伝導の現象の学習は,以後の熱学習に大きな比重を占めることがわかった。また熱の考え方としては,「熱いものという1成分説→熱いものと冷たいものという2成分説→粒子の運動エネルギー説」のような変容過程を辿ると考えられる。なお粒子運動の概念は,1成分説や2成分説の内容が,初期の純物質的な考えから,熱いものや冷たいものに重さ及び体積がないというような考えに移行して,初めて導入され始める。熱素的な考えでは,2成分説における「物体の加熱は熱源内の熱いものと物体内の冷たいものの交換でなされる」という考えが,調査した熱現象の説明には最も適していた。
  • 村井 護晏
    原稿種別: 本文
    1989 年 13 巻 3-4 号 p. 93-99
    発行日: 1989/07/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    皮膚抵抗反応からみた教授学習過程の研究,およびこれらのデータがいかに教授学習過程の分析に使用することができるかを研究している。結果として次のことをえた。1.皮膚抵抗反応は新奇性のあるものつまり定位反応に対しては大きく反応するが,強く注意を集中しているときは消失するという事実を教授学習過程の分析に使用することができる。2.この事実から,VTR教材は子供達の注意を強く集中させるものであることがわかった。
  • 山内 孜
    原稿種別: 本文
    1989 年 13 巻 3-4 号 p. 101-106
    発行日: 1989/07/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    「頂上に立ったときのよろこび」,the joy when I stood at the topという表現を出発点としてwhenの機能を,教室で用いられている「従属接続詞」と「関係副詞」の二極の概念から考察した。その結果この二極か併存し対持する限り上記のwhenがそのいずれの版図に所属すべきものかをめぐって教科文法の場で永久に水かけ論が続くことが予想された。このように文法的な帰属が面倒な事象があった場合に,とかく教室ではこれを言語実態とかかわりなく「あまり使われない用例か大して注目する価値のない現象」ときめつけて,問題を回避する危険性がある。教科文法としてはこのさい文部省指導要領も市販の英和辞典も,アメリカの辞書のように関係副詞という文法概念を放棄して接続詞による一本化をすべきであろう。
  • 濱田 真由美
    原稿種別: 本文
    1989 年 13 巻 3-4 号 p. 107-114
    発行日: 1989/07/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,音楽学習における問題解決活動を組織化するにあたって,問題解決過程での「反省」活動,「課題設定」活動,「情報処理」活動がいかなる影響をおよぼしているかを中学3年生のグループ活動を対象として実験,比較した結果報告である。「反省」活動は,グループ員の各々の意識を集中させ,つぎの課題を明確化する意味で問題解決活動に有効に働くことがわかった。また,「反省」活動はその内容が具体的になるにつれてより課題遂行を促進させる傾向にあった。「課題設定(反省に基づいた課題設定)」活動に関しては,それが内容的に「反省」に直結したものであり,具体的であることが,課題遂行の促進の条件と考えられた。「情報処理」活動に関しては,新奇な視点,を情報として得たり,また教師から得た情報(問いかけ)に応答するために思考したり,あれこれ試行錯誤することが問題解決活動の促進に影響をあたえていることがわかった。
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