小中学校の美術科教育においては,領域として,表現と鑑賞があり,表現においては,絵画,彫塑,構成・デザイン,工作・工芸といった分野に分類できる。本稿では,美術教育における,構成やデザインの意義について考察するものである。構成は,その歴史的由来がバウハウスの予備課程にあるが,今世紀になって生みだされた,造形要素や視覚言語による色や形の系統的学習を基本としている。また,デザインは現実社会との対応から,構成の基礎的内容を応用した,問題解決学習と言える。小中学校の美術教育の構成は無目的で純粋な造形感覚,造形技術,さらには造形的創造力の育成を目的としているので,教材としては,抽象的な内容が多いが,デザインの具体的な教材と関連させながら行われている。これらの教材から抽出される造形要素や視覚言語の教育は単に美術教育という範囲に留まらず,視覚リテラシーとしての教育内容を負うものである。
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