日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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15 巻, 1 号
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  • 石田 淳一, 多鹿 秀継
    原稿種別: 本文
    1991 年 15 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1991/07/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    この研究では,割合文章題の成績が上位と下位の子どもの文章題理解過程の差異を吟味するために,小学5年生に手がかりを与えて問題を生成させ,生成した問題を解かせた。分析の結果,以下のことが見いだされた。(1)上位群は下位群よりも解答可能な問題をより多く生成した。(2)下位群に関係文構成エラーが多かった。(3)下位群も多くの解答可能な問題を生成したが,下位群にとって問題構造が複雑な難問題の解決は困難であった。また,下位群には比の第3用法の問題の生成はほとんど見られなかった。これらの結果は,算数文章題の成績の下位の子どもは上位の子どもに比べて問題を生成したり,解くのに必要な情報を統合するための知識のうち第3用法の問題タイプの知識の欠如および問題の数学的構造によっては第2用法の問題タイプの知識が利用できないことを示唆している。
  • 松岡 重信, 沖原 謙
    原稿種別: 本文
    1991 年 15 巻 1 号 p. 7-16
    発行日: 1991/07/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,わが国の生涯スポーツ運動の動きと,それに連動する学校体育との関係について,若干の疑問をもったが故に観点を設定して検討した。本来このような生涯スポーツといった概念は,かつての生涯教育の論理と同様の性格をもち,かつ生涯教育の教育の部分にスポーツが代入されたものという理解も成立するが,基本的な思想背景が異なっている点が示唆された。そして,学校体育において生涯スポーツの準備をしていくとも受け取れる具体試策は,厳密にはかなり無理を伴っている点が明らかになった。それは,例えば前回学習指導要領で性格が明らかになった選択制授業においても,肝心の生涯に向けて継続的にスポーツをする準備が出来たということの評価が極めて曖昧である点,選択と言ってもその選択幅と自由度は,かなり限定されている点である。つまり,このようなシステムで期待される生涯スポーツとは,比較的若年層の民間営利スポーツ産業に吸収される他ない程度のものといえよう。そこでわれわれは,過去から若干見られる学校施設開放運動を一歩発展させた地域連合型の学校開放運動を提案した。
  • 角屋 重樹
    原稿種別: 本文
    1991 年 15 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1991/07/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,全学年あるいは学年に固有の科学の暫定性に関する理解のしかたを調べることから,中学生は科学の暫定性という特質をどのようにとらえているのかを明らかにしようとした。このため,1年生152名,2年生150名,3年生149名の計451名を対象として変形NSKSテストを実施した。変形NSKSテストとは,創造性,テスト可能性,発展性,簡潔性の4種の尺度から成り,各尺度を構成するそれぞれの項目に関して5段階の尺度値に反応するものであった。分析は,全学年の科学の暫定性に関する理解のしかたと学年に固有のそれとの二つに分けた。全学年の理解のしかたは,4種の尺度の各構成項目における尺度値に対する人数から行った。また,学年に固有の理解のしかたは,全学年と全く逆の理解のしかたという視点から行った。上述の二つの視点から分析した結果は,以下のようになった。(ア)学年に固有の科学の暫定性に関する理解のしかたは存在しなかった。(イ)全学年の科学の暫定性に関する未理解の実態は,4種の尺度のうち,創造性と簡潔性との2種の尺度に表出した。それらは,次の2点であった。1)中学生は,法則や理論を人間の創造の所産でないと考えている。2)中学生は,科学における法則や理論の数の最少性よりむしろ最多性への志向を認めている。
  • 荒井 紀子
    原稿種別: 本文
    1991 年 15 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1991/07/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,男女共修の家族・保育学習の在り方として,青年期の自立を励まし,くらしの諸問題を解決する実践力を育てる必要があるとの認識に立ち,この視点から米国オハイオ州の家庭科カリキュラムをとりあげ検討を行なった。本報では特にカリキュラムの理念と構造を中心に分析し,次のことが明らかになった。○カリキュラムの主眼は生徒が家庭,職場,社会においてくらしの課題にとりくむことのできる判断力や創造的思考力を鍛えることにある。その意味で学習は現実の社会状況をふまえ,家族・家庭の問題に焦点をあてた内容となっている。またこれらの目的を達成する設計が,学習領域と学習方法の両面に於いてなされている。○学習領域は生活課題ごとに構造化され,課題解決の為の各学習の位置づけが明快に示されている。○学習方法は全ての学習テーマに"実戦理論プロセス"が用いられており,問題の発見から改善,解決までのプロセスを生徒が繰返し体験することが出来るよう配慮されている。
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