日本教科教育学会誌
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17 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 米盛 徳市, 新屋 信雄, 吉田 一晴
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 4 号 p. 143-150
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究(3)では,沖縄県内のソフトウェア/ハードウェア業界における教育現場への参画意識,参画形態,教育支援体制,課題意識等を,現場教師の評価を加味して考察した。その結果,次のような結論が得られた。(1)沖縄県の教育現場は,コンピュータの導入に際して,ハードウェア整備面での急速な伸びがみられる反面,現場教師指導・育成等に係るソフトウェア整備面での遅れがみられる。(2)業界の参画意識は高いが,実質的な参入比率は3割で,企業自ら教育ソフトウェアを開発しているのは僅か1割である。(3)参入企業は,数多くの機種及び教科教材を取り扱っている。しかし一般的に企業規模が小さく,人材・技術面,研究開発面,教育支援面等で必ずしも十分な体制が備わっているとはいえない。(4)教育ソフトウェア市場には,教育関係者が一丸となって取組まねばならぬ諸問題がある。例えば,業界内での人材育成,教育市場の開拓,メンテナンス関連障害の除去,地理的条件からくる不利益性の克服等がある。
  • 櫛田 眞澄
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 4 号 p. 151-158
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    今日学校の荒廃が問題視され,学校の人間化への努力が切に求められている。現場では「授業はうまい」,しかし子どもだちからは好かれていない,と見える教師は意外に多いように思われる。そして授業に熱心な教師が,必ずしも生徒たちと信頼関係にあるとは限らない現実がある。国際的に見ても日本の子どもの教師への信頼感は希薄であり,「好き」「尊敬している」とするものが極めて少なく,教師をマイナスに評価するものが多いと指摘されている。教師の教育的信念や教授上の知識や技術は,実践的指導力としての学習指導案や実際の授業展開などに於いて表現されるものであり,測定も可能のため研究対象としての関心も高い。しかしこれを基底で支える子どもから教師への信頼感や心情は,イメージであり,感情構造であって非常に主観的なため,客観化することが難しい。そのため学問的に体系化することには困難が伴い,教師間および研究者間でも問題意識化されていない傾向がある。本研究では教師と子どもの人間関係を自由記述法により調査分析した結果,子どもたちは「勉強のさせ方の上手さ」よりも「良い人間関係」と「性格の良い教師」を切望していることが明確となった。
  • 安藤 美紀子
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 4 号 p. 159-165
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    現代の食生活において,食事の外部化の傾向があげられている。すなわち家庭調理が大切であるといわれながらおろそかにされている。そこで高等学校の「家庭一般」における「食生活と調理」の指導をするにあたり,高等学校2年生の女子を対象に生徒と家庭の調理学習との関係,学校の授業前と授業後における意識の変化及び学習による成果について検討し,今後の調理学習に役立つ指導法について何らかの示唆を得たいと考え本研究を行った。その結果は次の通りである。今回の調査を通して,高等学校における調理指導においては,学校と家庭との一層の連携で調理学習を推進することが大切であるということが把握された。
  • 若元 澄男
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 4 号 p. 167-173
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    教育課程の改善にともない,旧来の美術教育からの脱皮がより強力に指摘されるに至り混迷の状況は深刻である。具体的には,図画工作科の目標の誤解釈やコンセンサス未形成の問題,また,個々の教師の指導内容や方法に関する自信喪失の問題,そして評価の考え方や方法の誤謬等々広範である。放置されてきた教科の必然的混乱かもしれない。ともあれ,こうした状況の詳細については,すでに拙稿「義務教育段階における美術教育の現状と課題に関する一考察」及び「図画工作科における現実的疑問・課題の検討(1)」において論究したところである。したがって,本稿ではそれらを踏まえ今後求めるべき図画工作科像の提示を試みた。
  • 山下 智恵子
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 4 号 p. 175-180
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿は,一般市民の家庭科教育観形成にかかわる要因を明らかにすることを目的にしたものである。研究の方法としては,高松市において1988年9月に実施された「女性問題総合調査」標本を使い,家庭科教育観と生活意識とのかかわりを分析する方法を用いた。その結果,男子に家庭科を履修させることに反対する人たちは,伝統的な性別役割に賛成する人たち,あるいは「どちらともいえない」と答えた人たちと重なっており,その人たちの生活実態は,子の養育のために就業しないことを選択する傾向があった。それゆえ,伝統的な性別役割に「同感する」,あるいは「どちらともいえない」とする多数層を含む高松市における一般市民の生活意識には,男子に対する家庭科教育を受け入れにくく,同時に家庭科を女子のための母性教育や主婦準備教育として位置づける傾向があると思われる。
  • 江刺 幸政
    原稿種別: 本文
    1994 年 17 巻 4 号 p. 181-188
    発行日: 1994/12/05
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,教科教育研究に使用されている「教材」概念の整理を通して,「体育教材」の考え方を明らかにすると共に,教材研究の領域を検討することである。本研究で取り上げ,検討した「教材」概念は,「教科課程の論理的順序における教材」「教材解釈における教材」「授業の三要素としての教材」「質的段階としての教材」の四つである。本研究で得られた結論は,次のようなものである。教材は,「授業以前に,具体的な授業条件を含めて考えられる教科内容であり,『〜を〜で教える』」と言う形式を持つものである。体育教材の特徴は,場の構成や転換とそこでの運動活動を基本的な形式とし,それらに教師の言葉や行為あるいは諸資料による教科内容の指導が付加されるという二重の形式を持つ点にある。教材研究の領域としては,「教科内容の具体化」「教材づくりの原理・原則」「教材事例の分類・整理」「教材の配列」の四領域が考えられる。
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