先行研究(I)では,「教材」概念の使用法に関する整理と定義を行うと共に,教材が「〜を〜で教える,考えさせる」と言う形式を持つこと,また体育教材の特徴は,二重の構成形式を持つことであることを明らかにした。本研究では,この二重形式を更に検討し,それが教材の一般的な形式として考えられることを提案している。二重の構成形式とは基本形式と付加形式である。前者は,学習場面づくりであり,具体的な場の構成を伴う新しい学習活動の構成によって児童・生徒に新しい見方や考え方を提示するものである。後者は,その様な学習場面における指導の要点づくりを中心とした指導場面づくりである。教材の一般的な表現としては,「児童・生徒達に〜の条件で〜の活動をさせながら,要点として〜で〜を教える,考えさせる」と言う形式になる。本研究ではさらに,この様な教材の構成形式の検討から,教材研究と「授業案」の関係を問い,全教科に渡る統一的な表記法を提案すると共に,各教科における教材研究の基本的な課題が基本形式の検討にあることを明らかにしている。
抄録全体を表示