日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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18 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 羽賀 敏雄, 船水 美智代
    原稿種別: 本文
    1996 年 18 巻 4 号 p. 177-184
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    中学校家庭科について,エプロン製作を題材として「快適な衣生活」を実現するための学習目標を抽出した。学習目標はいくつかの性格の異なるグループに分けられ,階層構造を形成している。抽出した目標をガニエらの方法により分類したところ,運動技能の目標要素は少数であった。この結果と運動技能の吟味から,本題材についてCAI学習法は意味があると考察した。作成した目標構造図を参考に,コンピュ-タ言語BASICにより,CAI教材を作成した。コンピュータの特徴を生かすため,動的な動きやデザイン,配色の工夫を行った。プログラムは被服製作の先行学習としての位置づけで作成したが,家庭科教師により,先行学習を含む多様な使い方が示唆された。
  • 江刺 幸政
    原稿種別: 本文
    1996 年 18 巻 4 号 p. 185-193
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    先行研究(I)では,「教材」概念の使用法に関する整理と定義を行うと共に,教材が「〜を〜で教える,考えさせる」と言う形式を持つこと,また体育教材の特徴は,二重の構成形式を持つことであることを明らかにした。本研究では,この二重形式を更に検討し,それが教材の一般的な形式として考えられることを提案している。二重の構成形式とは基本形式と付加形式である。前者は,学習場面づくりであり,具体的な場の構成を伴う新しい学習活動の構成によって児童・生徒に新しい見方や考え方を提示するものである。後者は,その様な学習場面における指導の要点づくりを中心とした指導場面づくりである。教材の一般的な表現としては,「児童・生徒達に〜の条件で〜の活動をさせながら,要点として〜で〜を教える,考えさせる」と言う形式になる。本研究ではさらに,この様な教材の構成形式の検討から,教材研究と「授業案」の関係を問い,全教科に渡る統一的な表記法を提案すると共に,各教科における教材研究の基本的な課題が基本形式の検討にあることを明らかにしている。
  • 入江 和夫
    原稿種別: 本文
    1996 年 18 巻 4 号 p. 195-202
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    家庭科教育における目標は家庭生活をより充実させることであるが,昨今,環境汚染や環境保護が地球的規模で問題になってきた。そうした状況において,家庭科教育の内容も変化し,教科書の中にエコマークが取り上げられてきた。本稿では,まず教育学部学生によるエコマークが意味する環境にやさしい理由の理解を調査した。その結果,エコマークの品目のいくつかは理解しにくいものがあることがわかり,それらを留意点として活用できるように示した。次に,家庭科教育と環境との相互作用に関連づける教材としてエコマークを考え,この教材の展望を述べた。
  • 西園 芳信
    原稿種別: 本文
    1996 年 18 巻 4 号 p. 203-208
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本論文では,芸術,就中音楽の認識方法と表現の形成過程を究明することによって音楽の教育的価値と指導方法の原理を論究した。芸術は,人間の感情を直観によって感じ取りその意味を種々の媒体を通じ表現するものである。中でも時間芸術である音楽は,人間の感情を時間性を中心に表現し認識させるものである。かくして芸術・音楽は,次の教育的価値を持つといえる。芸術・音楽の経験によって人間の認識する範囲は拡げられ,人間の感情経験や作品に現われた感情への洞察力が育成されると共に感情の範囲と質が発達する。この芸術・音楽の認識方法から音楽科の指導方法の原理は次のように演繹される。(1)生徒の感情経験を音の構成によって表現させ,自己の感情を認識させる。(2)鑑賞の経験によって音楽の構造を認識させ,その音楽の感情を共有させる。
  • 前田 洋一
    原稿種別: 本文
    1996 年 18 巻 4 号 p. 209-215
    発行日: 1996/02/20
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,中学校理科における観点別評価と評定の実態を明らかにするために行ったものである。平成5年度末に,指導要録に記入された理科の観点別評価と評定を収集した。調査対象となった生徒は,男子538名,女子535名の合計1073名である。その結果,以下の2点が明らかとなった。(1)「関心・意欲・態度」,「知識・理解」,「技能・表現」の観点については,生徒の80%前後が達成していたが,「科学的思考」では生徒の約65%しか達成していなかった。(2)評定と観点別評価の間の相関値を見てみると,評定と最も相関の高い観点別評価の項目は,どの学年でも知識・理解の観点であった。相関係数は,0.80から0.84と高い正の相関値を示した。教師は生徒の能力を多面的に評価しようとしているが,本研究の結果は,知識・理解と評定の関連性を強調するものになっている。生徒の学力を多面的に評価するために授業と評価を一体化させることが急務である。
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