日本教科教育学会誌
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 林 未和子
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本論は,「実践問題アプローチ」の家庭科カリキュラムの原理的解明を目的として,実践問題の概念と特質およびカリキュラム構成上の位置づけを明らかにするものである。ブラウンは,時代や文化を越えて人間が生涯全体を通じて繰り返し直面する問題を永続的な実践問題として捉え,それらを基軸にカリキュラム内容を構成することを提唱している。この理論に依拠したミネソタ州の問題提示モデルは,永続的な実践問題をカリキュラムの中核概念に位置づけ,人間の行為体系との相互関連のもとに教育的テーマを導き出すことによって,学習内容を構造化し,具体化している。それは,生徒が永続的な実践問題の解決に向けて実践的推論の思考過程を組織化するとともに,問題の意味を探究しながらその内奥にある本質を洞察できることを目指している。問題を媒介として,生徒が自分の生きる生活世界の現実と主体的に向き合うことができるようになることに意義が見出せる。
  • 平田 昭雄, 下條 隆嗣, 福地 昭輝
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    関東地区の主として公立小学校に勤務する現職小学校教師を対象にアンケートを実施し,理科の学習指導上必要ないしは重要な知識や技能の修得について調査した。この結果,1)個々の教材に関する知識・理解,観察や実験の指導に関する基礎的な知識・技能の修得については,理科系専攻等出身の教師が教職就任時には優位に立つが,理科系以外の専攻等出身の教師もほとんどが教職経験10年頃までには修得する,2)表現や伝達の技能については,理科系以外の専攻等出身の教師では大方の者が教職経験10年頃までに概ね修得するのに対し,理科系専攻等出身の教師では修得時期に個人差がある,3)心理学的知識の修得については,出身専攻等による違いはほとんど存在せず,教職経験10年頃までに大方の教師が概ね修得する,4)情報処理に関する知識・技能については,出身専攻等に係わらず,現状では未修得の教師が多い,ということが明らかになった。
  • 藤井 美知子, 高本 明美
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    情報処理教育の中でプログラミングを教育する場合,教育効果を高めるためには講義だけでなく,演習,実習が必要である。初心者がプログラムを作成する過程において,学習者は頻繁に誤りを犯し,誤りを修正しながらプログラミングを理解していく。したがって,教員は学習者が犯す誤りの原因に応じて助言を与え学習者の支援を行うことが望ましい。そこで,プログラミング初心者を対象にプログラミング言語の基本的な制御構造の理解度を知るため調査を行い,学習者の作成したプログラムの誤り内容を調べた。誤りの内容から学習者が誤りを犯す原因を調べ,クラスター分析を用い誤りの原因の類似度によって,学習者に対する支援のありかたの検討を行った。
  • 深作 貞男, 工藤 雄司
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    筑波大学附属坂戸高校では「総合学科」としての「総合科学科」を平成6年度に創設した。「総合科学科」では,従前の専門教育の実績を基礎にして,新しい教育課程を開発して実施した。この教育課程の第一の特色は,普通・専門教育に係わる多数の選択科目を開設していることにある。多数の選択科目を開設した場合には,生徒は適確且つ効率的な科目選択によって個々の時間割を作成し,教師は出欠・成績の処理や教育指導上必須の教務関係の各種書類を作成するなどの事項が不可欠である。以上の点から,多数の選択科目を開設した場合に必要となる処理や管理方法を開発し,具体的に実践・展開して効果を検証した。これらを基礎にして,中学や高校で選択科目を開設した場合の実践可能な科目選択方法への発展的活用についても論究した。
  • 本村 猛能
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 39-49
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,情意領域を中心に,中学・高校・大学の情報教育で,ファジイ分析を用いた評価とその分析を行った。また同時にこれと従来の因子分析による教授行動評価とを比較検討した。その結果,生徒・学生の学力向上が人間的接触・実技指導・理論的指導といった具体的な教科指導力に影響していることが判った。またファジイ分析の理論であるファジイ測度とメンバーシップ関数を用いることにより,クラスター分析,因子分析で得られた結果,すなわち学力の定着と意欲,興味・関心という情意面が教師の指導力と共に深く関係していることが明確にされた。また,学力向上には,「興味・関心・意欲」と「態度」という情意面を土台として,「知識・理解」という知性面が定着するという構造を示していることもわかった。
  • 竹内 貞一
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    音楽教育においては,教師の呈示した音楽を,生徒がどの様な印象を持って聴いたかということが,大変重要な問題であると考えられる。この印象形成の際,各個人の持つ「抑うつ性」の強さの違いが,影響を与えていることが考えられたため,大学生126名を対象に,調査を実施した。調査では,4つの呈示曲に対する「印象評定」を行い,同時に「ベック抑うつ性検査」等を実施した。調査・分析の結果,「抑うつ性」の高い人と低い人とでは,音楽の動静や,明暗ついて,その感じ方に差が見られた。また,その差は,「抑うつ」に伴う心的状態による,音楽に対する注意の向け方の違いによると考えられた。このことを通して,音楽と,人の心的状態との関連性について,その一端を明らかにし,音楽鑑賞時の児童・生徒の心的状態を考慮した,望ましい鑑賞教育の,1つのあり方について考察した。
  • 松永 洋介
    原稿種別: 本文
    1998 年 21 巻 1 号 p. 59-65
    発行日: 1998/06/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本論では,小学生の音楽創作活動において,子どもが表現しようと意図する音のイメージの形成から,それが音へと具現化されていく過程を探り,その過程においてイメージと音とがどのように関わっているのかを明らかにすることを目的とした。その前提として,まず,汎用される「イメージ」という言葉の意味を定義した。次に小学校2年生,4年生,6年生のそれぞれの学年で実験授業を行い,その中から抽出児を選んで,この定義をもとに,イメージが音へと変わっていく過程を分析した。その結果,イメージの形成から音への具現化までには,(1)操作,(2)認識,(3)予測,(4)選択,(5)創造の5つの段階があり,これらが絶えずフィードバックされながら進んでいくことが明らかになった。
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