本研究の目的は,高等学校における「よい体育授業」の概念および仮説構造を検討し,その構成要因および要因を代表する項目を,理論妥当性および具体的データに基づき選択することである。内容妥当性の検討の結果,調査の要因として,楽しさ,成果,学び方,協力の4要因を,また,これらを測定する項目として,42項目を選択した。予備調査の結果を考慮し,ランダムに抽出したF県における高等学校の保健体育教師および生徒を対象とし,調査を実施した。データの検証を行い,教師99名,生徒938名の有効なデータを分析に利用した。本研究で選択した定義,被験者,調査項目,等々の限界の下で,以下の知見が得られた。1)楽しさ,成果,学び方,協力の4要因は,「よい体育授業」の構成要因であることが確認され,項目No.8,26の2項目を除く40項目(表1参照)は,各構成要因を代表する項目として適切である。(ただし,項目No.26は今後更なる検討が必要である。)2)40項目中6項目において,教師と生徒の適切か否かの判断に差異が認められた。つまり,必ずしも選択された全ての項目内容が,教師,生徒ともによい体育授業を捉える項目として適切ではないと考えていることが確認された。
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