日本教科教育学会誌
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29 巻, 2 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 松尾 千秋
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 1-9
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    今日では,全国の小,中,高等学校の運動会・体育祭などにおいて,「南中ソーラン」がブームとなり,運動会・体育祭などを席巻しつつある。そこで,本研究では,人々の興味・関心を抱かせる教材とは何かについて探求するため,(1)用語から抱かれるイメージ,(2)ビデオ視聴後のイメージ変化,(3)体験後のイメージ変化などを調査した。その結果,"日本の民俗舞踊"という用語に対する,重い,暗いイメージは,舞踊ビデオ視聴によって,大きい,明るい方向へ変化し,さらに,「南中ソーラン」を体験することにより,強いイメージが増し,むずかしいイメージは軽減されていた。これらのことから,人々の興味関心を抱かせる「南中ソーラン」の教材的価値を推測することができた。
  • 岡田 みゆき
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 11-20
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    家庭科の学習指導要領や教科書で提示されてきた父親がどのようなものであったかを,文部時報に表わされた父親との比較から検討した。その結果,文部時報では,青少年の健全育成の施策をもとに,家庭における父親の役割の重要性を指摘した。家庭科の教科書も文部時報も,子どもに直接関わることを通して父親の役割を果たすことを求めてきた。家事の分担についても,父親の役割として,家庭科は1977年から提案してきたが,文部時報では,男女共同参画社会推進の施策以後である。しかし,性差別のない家庭科とは異なり,文部時報では,母親とは異なる父親の役割も強調し続けている。
  • 谷田 親彦, 上田 邦夫
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 21-27
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,「ものづくり学習」を行う学習者の思考を分析・把握した結果から得られた枠組みに基づいて,工具や機器を用いる製作活動の前段階に適用可能な学習指導モデルを提案することを試みたものである。既報で得られた学習者の製作活動に対する思考の因果モデルと,技術科教育の学習指導に関する先行研究の知見に基づいて,「目的の意識化」「内容の明確化」「試行・練習」「内容の詳細化」及び「製作の具体化準備」の順に構成される学習指導モデルを提案した。さらに,学習指導モデルを各製作段階における主要な学習指導内容の順序・配列化に資することを意図して,鉄工やすりを用いた「切削」の場面における具体的な指導過程について検討を行った。この学習指導モデルは,先行研究で示された授業構成法の枠組みに則ったものになっているため,技術科教育に適したモデルとして考えることができる。
  • 水谷 浩文, 松本 伸示
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 29-37
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,Reasoning Skillの育成を目指した授業を構想し,その有用性の検討を試みたものである。そのために,Reasoning Skillの事前評価を活かして,Philosophy for Children(以後「子どものための哲学」とする)の焦点的活用を取り入れた授業設計を行った。授業については,「子どものための哲学」プログラム,先行研究をもとに,日本語版のリーディングテキスト,教師用マニュアル,討論計画を作成し,実践を行った。Reasoning Skillの評価は,The New Jersey Test of Reasoning Skillsをもとに作られたReasoning Skill調査問題を用いて行った。Reasoning Skill調査においては,授業前と授業後の調査の平均値に有意な差が認められ,授業によるReasoning Skill育成の効果を確認することができた。
  • モーモー ニェン
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 39-48
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,米国の教育改革史をEquityの視点から整理を行った。具体的には,米国の改革史を4つの年代区分に整理し,国際社会や様々な団体によるEquityの議論を概観するとともに国際社会におけるEquityの研究の動向を把握した。教育におけるEquityの研究を3つに分類し,さらにEquityの概念をインプット,プロセス,結果と目標達成という観点からまとめた。社会集団における格差の再生産を断ち切るため,関連する諸問題をEquityの枠組で明確化し,数学教育のなかにEquityに関連する目標を持ち込み,その目標を達成するためのカリキュラム開発の研究を行う必要があることを示した。
  • 岩田 昌太郎
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 49-57
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本論文では,アメリカにおける先進的な事例としてコロンビア大学の体育教員養成プログラム,とりわけ「指導法に関する科目」に該当する部分について焦点を当て,その特徴を導出することが目的である。さらに,それを日本のプログラムと比較することで得られた示唆によって,わが国の体育教員養成のプログラムを構築していく参考になることが期待される。その結果,以下の5点の特徴が明らかになった。(1)「反省的実践家(reflective practitioner)」としての教師の育成を目指したカリキュラムである。(2)シラバスの内容が帰納的である。その一方で,日本の場合は演鐸的である。(3)シラバスがトップダウン的な配列で構成されている。(4)カリキュラムやプログラム立案などを中心として,教師として新たなものを開発できる能力の育成を目指している。(5)到達目標の設定から具体的な評価まで詳しく明確に記載されている。
  • 栢野 彰秀, 高橋 均, 山王 憲雄
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 59-68
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    化学の学習内容が活用されるエネルギーや資源,環境に関する理科学習とは,どのような学習なのであろうか。この問題意識のもと,「化学I」の学習内容とエネルギーや資源,環境に関する学習が関連づけられるようなエネルギー・環境教育的アプローチを導入した学習教材を開発し,授業で実践し,その評価を試みた。本単元の学習を通して,「化学I」の学習内容がエネルギーや資源,環境に関する学習と関連づけられて理解されるとともに,「化学I」の学習内容のうち,反応熱に関する理解の深化にもつながった。
  • 竹中 伸夫
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 69-78
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本小論の目的は,イギリスのLongman社が1970年代から1980年代にかけて発行した初等・中等用の2つのシリーズを手がかりとして,そのシリーズの内容編成を解明することである。なぜなら両シリーズが,歴史教育の根本的な問題である学習の皮相化と無批判的な現状肯定意識の形成という2つを克服する試みとして組織された,と見なしうる独自の内容編成となっているからである。そのため両シリーズを手がかりとして,そこに内在する教育内容編成の構造と原理を解明・抽出し,その編成構造と原理の歴史的意義を解明する。分析の結果,歴史学研究的教育内容編成として定義づけられるような,両シリーズの教育内容編成の構造と原理を解明し,そうした構造と原理に基づく先述の問題点の克服方略を明らかにした。
  • 平野 真
    原稿種別: 本文
    2006 年29 巻2 号 p. 79-87
    発行日: 2006/09/10
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,卓越した教授技術をもつ指導者による小学校低学年児童への指導過程と,児童の変容をまとめたものである。仮説としては以下の3つを考えた。(1)小学校低学年に合った相互学習により,子どもたちに技能の変容がみられる(2)スモールステップによる学習により,子どもたちに技能の変容がみられる(3)子どもたちの技能の変容と心理的な変容には関連がある特に(3)については,これまでの体育授業で取り上げて検討することがなかったが,子どもが技能面での達成を目指して学習を進めるうちに,当然心理的な変容があると考えられる。本研究によって,意欲・関心だけでなく,成果,学び方,協力などについて心理的な変容の客観的な情報を求め,特徴を知ることで指導に活かしていくことができると考えている。
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