本研究では,第1〜6学年までの児童437名を対象として,音高再生能力,音高弁別能力,及び「話し声」と「歌声」の使い分けの技能を横断的に調査した。その結果,(1)音高再生能力は第2学年で著しく発達し,音高弁別能力は第2,3学年で著しく発達する,(2)第4〜6学年では,音高再生能力水準別の児童の比率はほとんど変化がみられない,(3)音高再生能力の高い児童は低い児童よりも,音高弁別能力,使い分けの技能が共に有意に高い,(4)音高再生能力水準の低い児童には,音高弁別能力,使い分けの技能が共に低い児童が多いが,どちらか一方だけが低い児童も少なからずいる,(5)音高再生能力水準の低い児童には,第1,2学年では,音高弁別能力,使い分けの技能が共に低い児童が多いが,第3,4学年ではどちらか一方だけが低い児童が多くなり,第5,6学年ではどちらも高い児童が多くなる,ことが明らかになった。
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