日本教科教育学会誌
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3 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 丹下 一郎
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 89-94
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    実際の教授・学習活動の多くは教育目標に即した言語活動を介して行なわれる。従って教師は児童・生徒の世界把握に寄与する言語活動の構造と機能を理解する必要がある。世界把握は教授主体と学習主体の身体的存在を前提とする。人称代名詞の構造はその基本構図で,主体と客体の相互通話は「相貌的知覚」を前提とする。世界把握が主・客融解から分化・発展してくる過程の第1は,心理的には概念が形成され,言語的には名が語に変る段階である。第2は可換的相互視点が成立するまでの過程で世界把握に様相が加わり始める段階である。第1の様相は知識的様相で,言語的には命題に法的語句が加わるものである。第2の様相は義務的様相で行動に社会的制約が加わり,それが言語的に反映されるものである。第3の様相は芸術的様相で,言語的には命題に修飾語句が加わるものである。以上のような言語事実は児童・生徒の世界把握を助ける教師の基本的教養の一部をなそう。
  • 森 秀夫
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 95-100
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    本稿は明治以降,太平洋戦争の終結に至るまでの憲法教育について,その体制を中心に史的経過を探り,今日の憲法教育の在り方に資するものである。
  • 湊 三郎
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 101-107
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    乗法九九の相対的困難度にはある種の傾向が認められる。我国の調査では,例えば,数2や5を含む九九は誤答率が低く,7や8を含む九九は誤答率が高い。筆者等は乗法九九の相対的困難度を説明するための心理学的構成概念として,内包的意味における数の困難度なるものをとりあげ,これをSD,および一対比較法から得た資料による距離尺度の構成の二方法によって量化し,尺度φおよびψを得た。これらの尺度は乗法九九の相対的困難度と密接な関係をもつことが明らかにされた。この研究は,大学生に関して得られた7つの尺度φ_1, ……,φ_5およびψ_1,ψ_2の相関関係を調べ,両尺度の信頼性を検討したものである。その結果,群平均値に関しては再テスト信頼性係数は0.993,内部信頼性係数は0.968以上,被験者群を異にした場合でも相関係数は0.815から0.989であった。各数の再テスト信頼性係数は最低0.504(数6)から最高0.812(数0)であり,他の1位数の信頼性係数はこれらの間にあることが示された。
  • 久田 隆基
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 108-118
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    本稿ではこれからの日本における理科教員の養成に関する方法と内容を探る1つの手掛りとして,イギリスの科学の教師教育プロジェクト,STEPの特徴,教授法コースの位置づけ,教育科学の理論の実践への橋わたし,活動法の採用,学生への動機づけの必要性などについて概括を行なった。それは日本の全般的な教員養成の現状及び改善の方向に対して多くの示唆を与えてくれている。それらのうち,いくつかの点について筆者の考えを述べた。
  • 村井 護晏, 江口 洋
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 119-127
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    理科教科書に関して,下記の項について客観的な分布を調べていくことによって,その構造についての特徴をとらえてみた。1.名詞の数/千字 2.専門用語の数/千字 3.文の長さ 4.話の切れの数/千字 理科教科書としては,生活理科時代のもの,および現行のものであり,学年は5年と6年である。まず分布型について次のような結果を得た。1の分布は正規分布である。2の分布はランダムによって特徴づけられるポアッソン分布より,むしろ弱伝播性をそなえているポリア,エッゲンベルガー分布である。3の分布は対数正規分布よりむしろアーラン分布である。4の分布はポアッソン分布である。また,現行および旧の理科教科書の比較について次のことを得た。1として現行教科書が旧より多い。2として5年の現行教科書が他の教科書より多く,同じ結果が伝播係数に関しても得られた。3として現行教科書は他より短い。4として現行教科書が旧より多い。
  • 角屋 重樹
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 128-133
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    子どもの主体性・自主性および創造性,すなわち,人間性を啓発していくことがこれからの教育の課題である。このような課題を達成していくための理科学習活動の構成方法を明らかにしようとするのが本研究の目的である。このため,主体性・自主性および創造性という人間性の啓発のための教育活動を次のような三つの視点で分析を行った。三つの視点とはそれぞれ次のようなものであった。i):子どもの認知構造の実態ii):子どもの認識活動の組織化iii):対象である自然の構成これら三つの視点による分析結果に基づいて,小学校・中学校・高等学校における理科の学習活動の構成を行った。
  • 藤谷 健
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 134-140
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    理科と家庭科という性格の異なる2つの教科の間の内容の係り合いを知る研究の一環として,家庭科教員養成課程における化学教育の問題をとり上げ教員養成および高等学校家庭科の内容と化学の係り合いを,教員養成課程家政専攻の学生に対するアンケート調査によって調べた。その結果,家庭科教員を志す学生は,学年が進むにつれて,すなわち専門知識の深化に伴って,家政学の基礎としての化学の必要性の認識が著るしく高まってゆくことが分った。更に,高等学校家庭科の内容の学習には化学の知識が相当に必要であること,家庭科の教員は化学についての深い素養を必要とすることなどがかなりよく認識されており,とくに教育実習を通して教育現場に触れてからのちは,この認識がとくに高まってくることが分った。以上の結果を基にして,理科と家庭科の相互補完の問題を検討した。
  • 井上 幸
    原稿種別: 本文
    1978 年 3 巻 3 号 p. 141-147
    発行日: 1978/10/31
    公開日: 2018/01/07
    ジャーナル フリー
    学校における創作舞踊指導に関する一般的傾向は,生徒の発達段階に則して「断片的な動き」から「小さなまとまり」へそして「作品」へと指導すべきであるという考え方である。舞踊創作の学習を全体システムとしてとらえると上記のことは三つの有力なサブシステムとなる。しかし階層的秩序とはサブシステムに分割することそれ自体を意味するのではない。階層的秩序とは,最終的目的に向って進む目標関数があって目標値自体が次から次へと進化する動態である。上記の一般的傾向は,全体システムのアルゴリズム概念の内容であるが,現実には目標の固定性,固執性が優位であり,hierarchical orderにadaptすることは困難であることを示した。本論文は以上のような見地から,如何なる発達段階においても「作品」をつくることが出来るのであるが,発達段階による差異は結果としての作品の具象的な表現内容から,抽象的な内容へ,バラバラなシーケンスとスコープから,統一的な表現性へと変換する態様に依存すると考えられる。
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