日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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34 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 堀内 かおる
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    ジーンズは,典型的な生徒の日常着である。彼らは好みや状況に応じて,適したジーンズを選び着用している。ジーンズはまた,価格の幅が広く,1000円未満の商品から3万円を超える高級品までが販売されており,低価格のジーンズは開発途上国で生産され,完成品として日本に輸入されている。そこで本研究では,教材としてのジーンズに着目し,グローバル化する消費生活への気づきを促す高等学校家庭科の授業開発を行うことを目的とした。授業は,2010年3月に,東京都立高校1校の第2学年生徒3クラス105名を対象として行われた。ジーンズに関する生徒の意識と実態を把握するために質問紙調査を行った後,4種類の異なる生産国・製造方法のジーンズを教材として家庭科教師が授業を実施した。授業場面や感想文の分析結果から,生徒は商品の製造工程の違いや労働者の状況に気づき,自分たちの消費行動と開発途上国の労働者の生活とのつながりを理解していたことが明らかになった。
  • 大矢 隆二, 太田 恒義, 伊藤 宏, 小木 しのぶ
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,児童の体育が好き・どちらでも・嫌いと学年,運動の得意,がんばるなどの属性との関係を見つけだすとともに,小学校体育授業のうれしかったことに関する自由記述文をテキストマイニングし,感想文に見られる単語の頻度や単語同士の関連から,児童の運動に対する肯定表現の結びつきを明らかにすることであった。対象は,小学校第3・4学年の児童,男子50名,女子72名の計122名であった。体育が好き・どちらでも・嫌いと他の属性との連関にはS-PLUS8.1を用いてx^2検定を行った。結果として,「運動クラブ所属」「運動の得意・不得意」「達成意欲」においての人数の分布には有意な違いが認められた。さらに,テキストマイニングは,児童が感じた「体育授業でうれしかったこと」を単語頻度から抽出し,注目語単語として分析した結果,運動ができるようになった(達成体験),基本的な動きや技能が身についた(能力向上),先生や仲間に褒められた(称賛),仲間と協力した(共有感),などが体育授業の肯定表現に結びついていることが確認された。
  • 谷田 親彦, 相澤 崇
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,「技術の評価」を主題とする技術科の授業や学習に関する基礎的知見を得ることを目的として,新たに開発される技術が,社会や生活に及ぼす影響について検討する対話の分析を行った。教育系学部生10名を調査対象者として,人型ロボットの開発・普及に対する評価をテーマとした半構造的インタビューを実施した。その結果,対話プロセスは「観点追加」「意向変化」及び「焦点化」などに分類することができた。「観点追加」からは,技術の発展による利便性の向上と反して環境的・社会的問題が発生することを理解し,適切な対処方策と持続的な発展を目指す対話プロセスが推察でき,技術を評価する際の基本的視点が示唆された。また,技術が生活・社会に与える影響には,正負の側面が混在することを理由として,適切に評価・判断することを避ける事例が抽出され,学習指導上で配慮する必要性が示唆された。
  • 吉留 文男
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,説明文の構成要素であるテクストの「つながり」に着目し,EFL (English as a Foreign Language)学習者のテクストの内容理解に影響を与えると想定される「接続語(connectives)」を用いた指導の効果を検証することである。調査対象者である高等専門学校2年生59名を「実験群」と「統制群」に分けて教育的介入を行った。指導に際しては,文と文の命題関係を理解させるために,4種類の接続語を用いたタスクを学習者に与え,接続語の機能について指導を行った。事前・事後読解テストを実施し,その結果を実験群と統制群で比較検討した。結果として,全体としては大きな指導効果は見られなかった。しかし接続語を用いたテスト,接続語を用いていない結びつきの項目のテストにおいて,実験群下位において事前・事後テスト結果に有意差が認められた。
  • 松本 勝信
    原稿種別: 本文
    2011 年 34 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2011/06/25
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,わが国おいて2000年あたりから指摘され始めた幼児教育の今日的課題としての「幼児の生活リズムの乱れや基本的な生活習慣の形成不足や,規範意識や自制心の希薄化,コミュニケーション能力の低さ等の問題」や「家庭内や地域における幼児の経験の少なさ」などについて,内発的動機づけの基盤となる自己決定力に視点を当てて検討するものである。その視点から,幼児の最も身近な人的な環境としての保護者の子育ての意識特に自己決定力に対する意識と,幼児自身の自己決定と保護者からの他者決定の割合が,幼児の自己決定力にどのような影響を与えているかを明らかにすることが本論文の目的である。そのために,幼児をもつ保護者を対象にして,「幼児の自己決定力に対する保護者の意識」,「わが子の自己決定の経験」,「わが子の自己決定力の実態」についての質問紙調査から検討した。その結果,「幼児の自己決定力に対する保護者の意識」が高い場合は低い場合に比べて幼児の自己決定力が高いことが指摘できた。しかし,「幼児の自己決定の割合」と幼児の自己決定力の高低についての関連は指摘できなかった。
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